最後の晩餐にはまだ早い


神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」(2013年9月)

 「札幌食べ続け」から帰って来て、最初に行った東京フレンチは、現在定期観察中の神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」。
 南千住のイタリアン「パスティチェリア・バール・アルテ」の2,100円ランチが、私が選ぶ東京一ハイコスパなイタリアンランチなら、フレンチではこの店の2,300円ランチが今の処その有力候補か、札幌で軽くなった財布には優しい店だ(笑)。
 この日は平日昼だったが昼夜の定員10名になっていた、つまり満席、そして私が人気店のバロメーターと思っている「営業時間中の予約電話」、これが3件架かっていた。店主は常連客と口コミ重視姿勢で、あまりマスコミには顔(店)出ししていないが、予想通りに人気店になりつつある。料理は昼夜ムニュのみで、原則アラカルト対応もしていないので、どんな客にも門戸を開いている訳ではないが、それでも何処からか集まって来る人達の嗅覚は凄いと思う(笑)。
 サービス担当だった若手男性は退店し、この日は若い女性が手伝っていた、従業員募集中との事だが、ここも他店と同じで人がなかなか来ないらしい、慢性的な人不足は今東京の飲食店が抱える一番の問題だ。
 月替わりの9月のランチメニューは以下のとおり

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・アミューズ(バターナッツかぼちゃのスープ)

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・ロワールの白‘Clos le Grand Beaupreau Domaine de la Bergerie.’は、個性的な味わい

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・秋刀魚と里芋のテリーヌ、梨のサラダ、バニュルスヴィネガー

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・鱈のポワレ、パルメザンのサブレ、トマトのクーリ

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・雛鳥のポトフ、蓮根のラペ

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・オレンジのゼリー

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・フレンチ大福

 札幌のフランス料理店でも旬の秋刀魚料理が3店で出たが、これは日本のフランス料理には難しい魚だと思う、何故なら日本人は塩焼きの美味しさを知っているので、それを超える料理にしないと作る意味がない、札幌では「リアン」の「秋刀魚のテリーヌ」が良かったが、この店も手法は同じで、秋刀魚の皮目を焼いて茹でた里芋と共にテリーヌにする、アクセントにした梨が面白い相性だ。
 魚は鱈のポワレで、パルメザンのサブレと炒めた茸と一緒に味わう、このサブレを使ったのが、ひと捻りした処だ。
 肉料理は鶏肉をミンチにした後鶏皮で巻き、これを蓮根のラペ(擦りおろし)、牛蒡、紅芯大根等とポトフにした料理、これがとても素朴な味わいで良かった、この料理の主役は根菜達で、そのアクをすべて除くのではなく風味を生かす方向で仕上げていて、味わうと「畑と土」の風景が浮かんでくる、洗練された都会の料理と云うより、もっと根源的な‘Recettes de La Grand-Mere’(祖母の味)とでも呼びたい料理だ(笑)。
 そして「傑作」と思ったのが、デセールの「フレンチ大福」(笑)で、遊び心と美味しさが詰まったもの、料理長が後で説明してくれたが、中身はパイナップル、キウイ、ネクタリン、グレープフルーツ、リンゴを刻み、バニラとシナモンシロップでマリネして、ジェノワーズと共に詰めた物だそうだ、かなり「遊び」で作ったのが、客の評判が良いので料理人自身驚いているとの事、名作が生まれる時は意外とこんな感じなのかも知れない(笑)。

 札幌フレンチ食べ続けの後だっただけに、札幌と東京の違いも見えて来た、生産地に近く優れた食材が使用可能なため、それを複雑にいじらない料理として出せる札幌に対し、東京はそれだけでは移り気な客達にすぐ飽きられてしまう、そこで「ひと捻り」を加える料理が多くなる、それを何処までどうやるかに料理人のセンスが問われるのだと思う。
 佐藤料理長が言うには「来月も楽しみにしています」と、客に言われるのが結構プレッシャーだとの事、月替わりのムニュを構成するために、自分の抽斗の中身を常に補充しておかないといけないと云う事だろう。

 一人の客としては、十年変わらない料理を出す店より、訪れる毎に料理の進化が感じられる店は面白い、今の処は変な脇道には逸れていないし、このまま追いかけてみたいと思わせてくれる店だ。

 
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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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