最後の晩餐にはまだ早い


麻布十番「グリグリ」(2013年11月)

 この日はFacebookを通じ親しくなった料理業界関係者の方と、「何処かでランチをご一緒しましょう」との話しになり、場所を考えた末に8月に初めて行き好印象だった、麻布十番のフランス料理「グリグリ」を再訪問する事にした。
 来月末は年間の総集編で、「今年印象に残った店」を書くつもりでいるが、この店はもう一度行ってみて確認をしたいと思っていたので丁度良かった(笑)。
 店は判り難い場所に在るが、麻布十番商店街に続く道に面しているので、「フロリレージュ」と違い道を間違える心配は無く、2回目はすぐ着けた(笑)、開店時間前だったので店の周りを歩いてみたが、日曜日で場所柄外国人も多く、「ここは何処の国?」と不思議な感覚になる、同じく外国人の多い浅草や神楽坂とも違う雰囲気、街歩きには面白い場所だと思う。昔の麻布十番は交通アクセスが悪く、「陸の孤島」と呼ばれた時期もあったが、今は南北線と都営大江戸線の開通により便利になった、六本木にも出られるので、これから更に注目される地域ではないかと思う。

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 12時に入店し、マダムから「ベンチシートでもカウンターでもお好きな方を」と言われたが、今日は初対面の方との同席なので、前回と同じ窓側の席に座る事にした。
 最初この店内の雰囲気は少々「メルヘンチック」とも思ったが、2回目になると不思議な個性に感じる、店内を流行の黒一色や白一色にするよりは面白い、そして後述の様に独創的な料理のイメージに合っていると思った(笑)。
 今は「初対面」と云っても、ネット上で何回も遭遇していると「初顔合わせ」とは思えず、特に同好の士と云うのは、会った早々に打ち解けられるもの、疑似恋愛と恋愛は違うが、ネット上の友人と実際の友人との差はあまり無い気がする(笑)。

 「グリグリ」の11月のランチメニュー(4,500円)は以下のとおり、料理名は後で伊藤料理長に確認したもので、実際にはもっと細かな説明があったが、長くなるので一部省略させてもらった。

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・アミューズ 透明なポテトチップとピマンデスペレットとレモンのピュレ、ラプサンスーチョンとニシン卵のマカロン、カカウェットのギモーブサレ

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・豊富なグラスワイン

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・オニオングラタンスープのエモーション(オニオンのコンソメ、パンのエスプーマ、チーズの泡)

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・『全部卵』(外側はメレンゲ、中に低温調理した卵黄、ウニ、カラスミ、ソースマヨ3種<パプリカ、ほうれん草、アンチョビ>)

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・『ホタテと根セロリのパラドックス』(根セロリのパートグロッセル<岩塩とパン生地を混ぜたもの>包み焼きと、香ばしいホタテと発酵バターのソース)

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・シャラン産鴨胸肉のロースト、そのジュとルバーブのコンフィ、赤タマネギのマリネ

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・イザラ(バスク地方のリキュール)風味のモンブラン。

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・ミニャルディーズ(カヌレ、マカロン)

 この日2人での食事だが、メインの鴨とデセールは同じ、それまでは違う料理だった。
 私がレストランで料理を評価するポイントは、「食べて美味しい、素材の持ち味を壊していない」「独創的で、人真似でない個性が感じられる」、まずこれだが、もう一つ「皿上のドレッセが美しい」がある、過去美術業界に首を突っ込んだ私は結構これを重視する、見た目を無視した雑な料理はそれだけでパスしたい(笑)、私が知る限り、今の東京フレンチでこの3つの条件を満たしているのは、まずは「フロリレージュ」、次に「シック・プッテートル」だが、その次位にはこの「グリグリ」を選びたいと思った、それ程独創性で美味しく、且つビジュアルの美しさを感じさせる。
 特に印象に残ったのはセロリラブの料理、塊をパン生地で包み火入れしたもので、肉も魚も細かく切らず、骨付き塊のまま調理した方が美味しいのは知っていたが、野菜特に根菜も同じなのを知った、これは今年最高の野菜料理になりそう、ソースはフォアグラ?と思ったがバターベースだった、なぜ「パラドックス」なのかは、通常はホタテのポワレに添える事の多いセロリラブを主役にする、主従逆転の料理だからとの事だ。
 鴨の火入れも抜群で、変なスパイス等使用せず素材の本質を際立たせているが、シャラン鴨自体他店で何回も経験済で感動出来なくなり、この才能ある料理人ならもっと別の食材を知りたいと思った、これも一種の「知恵の悲しみ」だろう(笑)。

 前回気付かなかったが、マダムのサービスが控えめながら好印象で、癒し系と感じる喋りの温かさと、料理やワインの知識もありながら、「私がマダムよ」との気負いやアクの強さがない(笑)、失礼ながら「以前からこのお仕事でした?」と聞いた処、元々この業種を志して、国内やフランスのレストラン数店でサービスを担当して来たそうだ、どうりで「俄かマダム」では無いと思った(笑)。ポテンシャルを有した料理人とマダムの良店は、これからもっと評価される筈だ。

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 此処は再訪して良かったと思った、そして楽しい食話を延々と出来て収穫も多かった、お誘いありがとうございました(笑)。

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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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