最後の晩餐にはまだ早い


神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」(2013年12月)

 9月以来となってしまった、神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」のランチ、この日は時間があったので、店に行く前に神楽坂の街を少し歩いてみた、正午直前だったが意外に人が出ていない、飲食店で客が入っていそうなのは、何処もランチ1,000円以下の店ばかり(笑)、昼1,000円、夜8,000円と云う極端な価格差の和食店があって、昼だけは盛況との事だが(笑)、この飲食店供給過剰とも言える神楽坂で生き残るのは、本当に大変だなとあらためて思ってしまう、政府やマスコミは盛んに「景気上向き」を謳っているが、少なくともこの街を歩いている限りは、それを感じる事は出来なかった。

        131211-1.jpg

 「オー・トレーズ・ジュイエ」は価格を改定し、昼500円、夜700円基本のメニューを値上げした、食材料の高騰が続いている中で止むを得ないと思うが、1,000円ランチで客の奪い合いをしている神楽坂で、値上げは結構勇気のいる事だと思う、今まで来ていた客が、これを機に他店へ流れる事も考えられるのだ、私も客入りを心配していたが、平日のこの日私を含めて5名の来客、夜も予約が8名入っているそうで、更には食事中も予約照会の電話が数件来ていたので、取りあえずの心配はなさそうだ(笑)。
 12月のメニュー(2,800円)の内容は、

    131211-2.jpg
・アミューズ(温かいリエットの上に、甘くないチュイール)
 ※これは料理長からのサービス(笑)

        131211-3.jpg
・珍しいギリシャ産の白、始めは松脂みたいな香りもしたが(笑)、温度が上がるとスペインワインに似た風味になった

    131211-4.jpg
・チカと赤キャベツの温かいエスカベッシュ、ゴルゴンゾーラのシャンティ

        131211-5.jpg
・北海道産メヌケと湯葉のヴァプール、柚子の香りのブロッコリー

    131211-6.jpg
・若鶏モモ肉の燻製、レフォールの泡、根菜のクスクス

        131211-7.jpg
・りんごのタルト・アルザス風、黒ビールのグラス

 「チカ」はワカサギに似た小魚、これを赤キャベツと共に酢漬けし、ゴルゴンゾーラを混ぜたクレームシャンティを添える、スタートに最適な一品。魚料理は料理長が最も得意とする分野だが、道産メヌケを湯葉と合せ、ブリッコリーのソースを和えた手法は良かった。肉料理は骨付きの鶏モモ肉を燻製風味で火入れし、根菜類やスムールを付け合せにし、クリスピー感を出したもの、デセールは「アルザスのノエル」を表現したみたいで、黒ビールのアイスクリームが面白かった。
 佐藤料理長は技術を持っているので、若干「料理をやり過ぎる」事がある、これが長所でもあり短所にもなり得る、個人的にはもう少し皿上を整理した方がいいのでは?と感じる時もあるが、神楽坂の地盤と店の客層を考えると、現時点ではこの方向で合っているのだろう。
 これから年齢を重ねて行く中で、たぶん余分なものは取れていくと思う、これは他人が言うより、自らが納得した上で減らすものだ。

 フランス料理業界では、ランチ2,800円と云うのは決して高額料金ではない、だがサラリーマンやOLにとって昼飯に2,800円は結構な支払額だ、同じ神楽坂では1,000円、いや1,000円以下でランチが食べられる店は幾らでもある、その中で客に来てもらうためには何が必要なのか考えると難しい、料理が美味しい事は勿論だが、それにプラスした居心地の良さと、昼食に2~3時間かけても寛げる場所、つまり家で得る事は難しい料理+空間+時間に客はお金を払う、そのためにはサービス体制も充実させ、店内のアンビアンスも良くしないといけない、テナント家賃や食材料が高騰し、飲食店で働こうと云う人材が激減している今、オーナー料理人は料理以外で悩む事が、あまりに多いと思う。

 店主も判っている事だが、あえて書いてしまうと、この店にあと欲しいのはサービススタッフだろう、今年行って好印象だった「シック・プッテートル」と「グリグリ」は、どちらも小さい店ながらサービスが優れていて、とても居心地がいい、小さい店だからこそ猶更サービスの重要度が問われると思う、9月に訪れた札幌のフランス料理店でもそれを感じた。別の見方をすれば、それだけ今の日本人料理人の技術は優秀で、料理に関しては「差」を見つけるのが難しくなったとも言える(笑)。

    131211-8.jpg

 同じ神楽坂では、今年オープンして既に閉店してしまったフランス料理店もある(笑)、それを考えれば「オー・トレーズ・ジュイエ」は、これで3年目を迎えたので、よく頑張っていると思う、ただ私の勝手な思い込みだろうが、この料理人はまだまだ実力を全部出し切っていない様に見える、料理人をもっと本気にさせる客を、たぶん待っている筈だ(笑)。
 最近はあまり店にはありがたくない、ランチ専門客になってしまったが、次回のメニューが楽しみだ(笑)。
スポンサーサイト

  1. [ edit ]
  2. フランス料理
  3. / trackback:0
  4. / comment:0


 管理者にだけ表示を許可する
 


プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

訪問者

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

« 2017 08  »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -