最後の晩餐にはまだ早い


青山「フロリレージュ」(2014年1月)

 この日は、今年になって初めての青山「フロリレージュ」のランチへ、勿論2ヶ月前に予約した席だ、風邪など引いていられない、仕事は休んでもこの店は休めない(笑)。
 行かれた人なら知っていると思うが、店へ向かうには東京メトロの外苑前か、表参道のどちらかで地上へ出る、私は後者だ。フロラシオン青山を過ぎ住宅街へ入ると歯科医院があってこれが目印で、そこを左折して更に細い道を奥へ進むのだが、大抵いつもこの辺りで、フロレリージュへ向かうと思われる客と出会う(笑)、この日も前を歩く若い女性二人連れがそうだった、入店がバッティングしない様に遅めに歩いたのだが、結局追い付いてしまった、いいレストランへ向かう道は、ゆっくり歩くのは難しい(笑)。

 入店後、新しい支配人に案内されたのは奥の個室、この部屋は2回目だが、周りを気にせず喋れるので気が楽だ、特にこの日は若い人達が多かったので、年寄りは混ざらない方がお互いに良かったと思う(笑)。
 サービス担当が4人になっていたので、「サービス増えたのですか?」と訊いたら、今までホールに出ていた女性は料理人で、今度厨房に入る事になり、代わりに若い男性がホール担当になるとの事、彼もフランス帰りの料理人だが、まずはサービスから開始するのはいい事だと思う、店によって客層は違い当然嗜好も違う、客が何を求めてこの店に来るかを知ってから料理を作るのは、プラスの要素が大きい筈だ。
 支配人から説明を受けた1月のプリフィクスメニューから選んだのは、

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・焼き芋(笑) ※これはメニュー外

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・定番の四角いグリーンオリーブのパン

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・背景のタイル壁に映える(笑)「ル・ルソール」のパン

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・北海道産鱈白子のムニエル、墨イカと下仁田葱

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・宮崎産カルガモのロースト

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・二品目は鴨肉ミンチと白菜のポトフ

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・宮崎産日向夏とフレッシュチーズのムース

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・苺のパート・ド・フリュイ

 この時期、鱈の白子は美味しくない訳がない(笑)、それでも和食の様なイカの墨和えと合わせたセンスは、やはりフロリレージュの料理、柚子を効かせた酸味のあるマヨネーズ風なソースが後を引く。
 カルトには‘canard japonaise’と表記された網捕りのカルガモは、お堀端を親子連れで歩くのと同じ種類なのか不明だが(笑)、青首鴨とは違った味わい、個性があまり強くないので食材としての可塑性はありそうだ、内臓を使うサルミソースが実に軽やかな味わいだった、ガルニの細牛蒡が面白い。二皿目は白菜を使ってポトフ仕立てにしたもの。鴨のソースサルミ&ポトフと聞くと、イメージするのは重い料理だが、そうならないのがこの料理人の非凡さだ。
 デセールは奔りの日向夏を使った、軽くてあっさりしたもの、これはもう一捻り何かアクセントがあった方が良かったか。
 何度も書いているが、この充実した内容で4,200円は破格だと思う。

 私がこの店を初めて訪れたのは3年前だが、それ以降でも料理は進化している、開店当初から通っている客はたぶんもっと変化を感じている事だろう。料理人の個性表現がより明確に伝わってきて、誰のものでない川手料理になりつつあると感じた。
 パリとリヨンの料理が違う様に、国内でも東京と大阪、札幌のフランス料理は違っていい筈だ、何処も同じフランス食材を並べるだけの料理は、もう卒業していい時代ではないだろうか、日本人料理人のポテンシャルはそこまで来ていると思う。
 そして今の東京という、巨大で複雑な街の個性を表現出来る料理は何処なのだろうと考えると、私が訪れた店の中では、この「フロリレージュ」を第一に置きたい。古いものと新しいものが混然一体となり、絶えず増殖と変容を繰り返す、この街を体現する「同時代‘Contemporain’」が、此処には存在する。

 最後は川手料理長の料理本にサインを貰うと云う、実にミーハー的行為をして(笑)、いつもの様に料理長と支配人の見送りを受けて退店。
 「一回来ればいいか」と思う店はあるが、此処みたいに「次の訪問が待ち遠しい」、「次は料理人がどんな球を投げて来るか」、こう期待出来る店は、東京でもあっちにもこっちにもある訳では無いと、あらためて思ってしまう、次回の予約もしないといけない(笑)。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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