最後の晩餐にはまだ早い


代々木八幡「アルドアック」

 食にかける労力とお金は私など足元にも及ばず、日頃から尊敬しているグルメなご夫妻のお誘いに応じて、この夜に初めて訪れたのは、小田急線代々木八幡駅&メトロ千代田線代々木公園駅から近い、モダン系スペイン料理「アルドアック」。夫妻が最近「一押し」で、私自身も「行きたい」と思いながらも、我家から遠いのと夜しか営業していない事もあり、行きそびれていた店だった。

 店の場所は、富ヶ谷交差点近くの商店街の中にある小さなビルの2階で、目立たずフリの客は来ないロケーション、近くに自然派パンの店「ルヴァン」があり、そこへ来ていたからすぐ判ったが、土地勘の無い人は迷うと思う、2階に上ると店名の書いていないドアがあり、「本当に此処?」と不安になりながら開けると、カウンターが目に入って来て一安心(笑)。
 この店は料理人一人で全て対応する、料理の仕込みを行い、客が来たら酒を注ぎ、調理をして盛り付ける、もちろん会計まで担当する。このため店内はカウンターだけの9席、この日は我々を含め6名の利用で、それも時間差があったので問題なかったが、これで同時に満席になったら、さぞ大変だろうなと想像してしまう。

 料理人は酒井涼氏、まだ33歳の若さだそうだ。WEB情報によると都内の有名スペイン料理店で働き、料理長も務めた後に独立、2012年6月にこの地に開業した。スペイン本国では食事に行った時に内緒で厨房を手伝った?程度で、特に修行歴は無いとの事だ。
 此処へ来たかった理由は、この日同行した夫妻を始め、食仲間の評判がとても良かったからで、この点最近では「シック・プッテートル」と双璧の店だ。

 イケメンの酒井氏と挨拶を交わし、始まったこの日の「ムニュ・デギュスタシオン」(こうメニューに書いてある)(7,500円)全品を紹介する、

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・チャコリを注ぐ酒井氏、チャコリはバスク産の発泡白ワインで、バルでピンチョス(タパス)を味わうにはベストマッチとされ、この様に高い位置からグラスに注ぐのが一般的。

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・スナップエンドウの鞘のスープ

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・アミューズ(鰯のマリネ、塩鱈のブニュエロ、生ハムのクリームコロッケ、エンパナディージャ、ナンプラーバターを詰めたオリーブ、リンゴとブルーチーズにミルクチョコ)

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・蛸の煮込み、生ハムで出汁を取ったスープ

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・イカのプランチャ

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・アホブランコ、ハモンイベリコ

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・ミロの絵画を思わせる、ピキージョ(赤ピーマン)と椎茸の詰め物

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・長崎産黒鯛、鯛の白子、スープ仕立

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・イカスミのパエージャ

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・煮込んでからプランチャした岩中豚、赤ワインビネガー風味

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・エスプレッソのプリン、バニラとペドロヒメネスのアイス?

 店の規模と事前のWEB情報で、この店ではサン=セバスチャンのバル、例えば旧市街にある「ラ・クチャラ・デ・サン・テルモ」みたいな、ちょっと凝ったピンチョス的料理を出すのかなと思っていたが、予想とは少し違った。バルと云うよりもっと体系的に流れを考えた料理で、料理構成は日本の板前割烹の「おまかせ」に近い感覚だ。ブログに書いた、大阪「桜花」の料理をスペインの料理法でアレンジしたら、こんな感じになるのでは?とも思った(笑)。
 特に印象的だった料理を挙げておくと、先ずは「アホブランコ」を含むスープ3種、さりげない物だが丁寧な仕事が感じられた、それと「アミューズ」と表記しているが、紛れもない「ピンチョス」である皿盛りの前菜、これは和食なら「八寸」だ(笑)。
 鯛の料理とパエージャもいい出来、中国料理の技法を応用と話していた豚料理は、酸味が「酢豚」みたいで面白い。料理全体的に酸の使い方が巧いし、スペイン現地料理より塩分・脂分が抑えてあるので、酒飲みでない私には嬉しい(笑)。
 一人厨房ながら盛付けも丁寧で、よくここまでやると感心する。その割にテンションを高くしている訳ではなく、話しかけても応えてくれるし、淡々と料理を進めて行く姿は、今までいなかったタイプの「新世代的料理人」と言えそうだ(笑)。

 これは噂に違わない店だ、そしてこれからも上昇しそうな勢いがある。僅かながら「一人調理の限界」も感じないでもなかったので、スタッフが増えれば更にポテンシャルは上がると思う、でもそうなると次はこの店の容量では足りなくなるし、値段も上がってしまう事になるが(笑)。
 ここはまた来てみたいし、特にモダンスパニッシュの本場?である、関西の食通の友人達を連れて来て感想を聞いてみたいと思った(笑)。我家から遠いのが難だが、ローテーションに入れたい店がまた増えてしまった、いい料理でした。


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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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