最後の晩餐にはまだ早い


池尻大橋「オギノ」

 レストランの定点観測については、前々回のブログ記事に書いたが、それとは逆のケースになるのが「行きたいと思いながら、ずっと行けていない店」で、実はこれが結構ある。我家が東京の外れにあるので、往復に時間がかかる西東京方面に特に多い、そしてそこが「予約が取り難い店」になると猶更だ。
 その一軒が池尻大橋にあるフランス料理店「オギノ」だった。今更私が説明するまでもないが、料理長は荻野伸也氏、人気店「キノシタ」の副料理長、「キャスクルート」の料理長を経て2007年に独立し、自身の名前を冠した店は「予約が取れない店」の代名詞にもなっている。1978年生まれだから私から見ればバリバリの若手、もう一つの予約が取れない店の代表格「フロリレージュ」の川手料理長と同年で、指向する料理は少し違うが、二人共に東京を代表するアンファンテリブルな料理人だ(笑)。
 その「オギノ」を今回初めて利用する事になった、これは偶然からで、SNSがきっかけで親しくなった方よりお誘いがあり、それも土曜日の夜と云うプラチナチケット級の席、これは万難を排して伺うしかないと(笑)、即時参加表明をさせてもらった。

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 店は東急田園都市線池尻大橋駅を出て、国道246号に沿った抜け道みたいな通りに面しているのですぐに判った、この日は地下の個室を貸切り、総勢6名の集まりで男女混合、皆さん食べる事にかけては量も質も並外れた人?ばかりだ(笑)。
 注文はムニュではなく全てアラカルトで、相手がいればハーフポーションでも注文可能、店の常連からあった「この店では魚より肉です」との言葉に従い、以下の肉メニューを選んだ、

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・アミューズ代わりの野菜ピクルス

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・ホワイトアスパラガスのベニエと砂肝、フレッシュトマトソース、フェンネルシード添え(ハーフ)

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・自家製カンパーニュ(美味しい、他店もこの位のレベルのパンを出して欲しい)とリエット

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・自家製ソーセージと季節野菜のオーブン焼き

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・ブルターニュ産仔牛骨付きロースのロースト、マスタードソース(ハーフ)

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・白いけどコーヒー風味のブランマンジェ

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・フィナンシェ

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・カモミールのアンフィージョン

 本日のお勧め食材は「ブルターニュ産仔牛骨付きロース」だったので、6人中4人が注文、私もこれをメインにした。まずアスパラガスの皿は無難で判り易い味、次の自家製ソーセージは、サービスの女性が一押しだったので注文した料理だが、ニンニクとスパイス類でちょっとクセを感じるソーセージが焼き野菜の旨味に絡んで、美味しいと云うより「旨い」と言いたい味(笑)、ビジュアルはあまり良くないが、「旨ければ文句ないだろう」と云う説得力がある、次の仔牛がハーフの注文だったので、この料理をメイン的に食べようとして結果失敗した(笑)。
 その仔牛が凄かった、これでハーフとは信じ難い量で、間違いなくフランスサイズ。こうした物は早目に食べるのに限る、冷めると余計食べられなくなる。この料理は2003年に訪れた、仏ブルターニュ地方の二つ星(当時)「オーベルジュ・ブルトン」で体験した「コート・ド・ヴォー」を思い出した。肉質は僅かながら落ちているが、これは長旅を考えれば仕方ないだろう、淡白さの中にも濃い味わいが感じられ、記憶どおりの見事な仔牛だった。途中でギブアップしそうだったが、何とか肉だけは完食、ガルニのトレヴィスの肉詰めは無理、同席者にフォローをお願いした(笑)。
 デセールは「コーヒー味」はあまり感じなかったが、いい出来のブランマンジェだった。

 久しぶりに「肉を喰った」と云う印象(笑)、この店に小食人間は向かない、フランス人みたいに前菜に肉、メインも肉の塊、それで甘いデセールもしっかり食べる、こうした人にこそ行って欲しい店、この日のメンバーがそうだった(笑)。
 全体的にシンプル味付けで直球勝負、フランス料理ビギナーからベテランまで十分楽しめると思う、値段も安いし、これなら「予約の取れない店」になる理由が判った。
 料理以上に感心したのが店内サービスで、若いスタッフ達によるものだが、皆感じ良く笑顔を絶やさない、地下の席だと目が行き届かないのでは?と思ったが、頻繁に階段の途中から邪魔にならない程度に客席の進行具合を見ている。そして6人バラバラの料理注文ながらオーダーを間違えない、当たり前の事ながらこれが出来ない店は結構ある。
 この日料理長は代官山のデリカショップへ出向き不在だったが、それでこの料理とサービスが維持できるのは立派だ、人材不足の東京で、これだけ優秀なスタッフを抱えていられるのが、この店の一番誇れる資質ではと思った。

 楽しくてお腹一杯になる夜でした、お誘いありがとうございました。昔話に浸れる同年代グルメとの集まりも勿論いいが、この日みたいに次世代の若いグルマン達と話すのは刺激があって面白い。やはり料理は一人より二人、二人より四人、そしてこの日みたいに六人揃えば、楽しさは六倍になる(笑)。

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  2. フランス料理
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仔牛おいしかったですね〜(^ ^)

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  2. 2014/06/07(土) 15:42:00 |
  3. URL |
  4. うずら
確かに、あの仔牛はなかなか頂けない味でした。メインに選ばなかったことを後悔しましたf^_^;
魚介類、肉類、キノコ類など、新鮮さやそのときどきの事情で波はありますが、かなりのものが日本国内でも頂けるようになったのはありがたい限りです。つい20〜30年くらい前までは、フランス国内星付きレストランであっても、ちょっと内陸に入れば鮮魚の入荷は週一回だったと聞くと、冷凍保存技術の進展が食文化に与える影響は本当に大きいと思います。

  1. [ 編集 ]
  2. 2014/06/07(土) 16:58:33 |
  3. URL |
  4. トシ・オンクレ
うずらさん
日本でも「ボーヤファーム」の仔羊や、滝川産の鴨、石黒農場のホロホロ鳥、土佐赤牛、岩手短角牛など、ようやく評価できるレベルの食肉が出てきたと思います、これから楽しみですね。あとはそれらが採算ベースに合うよう、食べる側が熱心にレストランで消費するのが重要だなと感じます。神戸牛は輸出して外貨を稼がせ、我々は国産赤身を食べましょう(笑)。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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