最後の晩餐にはまだ早い


八丁堀「シック・プッテートル」(2014年5月)

 この日は、3月で職場を定年退職した人の慰労会を開いたのだが、毎度の事ながら私が店選びを任された。内輪の集まりで総勢6名、メンバーは既に仕事をリタイアした人もいて、平日昼に行いたいとの希望だった(私を含め年配者は夜遅いのが苦手(笑))、主役はフランス料理に行きたいとの事で、平日のランチタイムでもゆっくり出来、料理もいい店となると、これが結構限られてしまう、最近個人店では平日ランチ営業を止めている店も多く、営業しているのは1,000~2,000円のビジネスランチ中心か、銀座辺りの昼でも客単価1万円越えの超高級店のどちらかに両極化している。
 私達みたいな普通の市民?が自分の財布で楽しめる店が少ないのだ、そこで思い浮かんだのが、このブログではお馴染みの八丁堀「シック・プッテートル」、「もう予約は無理かな?」と思いながら電話をしたら、幸運にも席が確保出来たので一安心、この店のクオリティなら集まる連中に、決して文句は言わせない(笑)。

 当日は五月晴れの絶好のランチ日和、この店に来る日は不思議と天気に恵まれる(笑)、私以外は初訪問になり現地集合は不安なため地下鉄八丁堀の駅で待ち合せて店へ向かった。12時予約なのに少し早目に着いてしまったが(年配者は集合が早い(笑))、オーナーの星氏が笑顔で迎えてくれた。
 あらかじめお願いしていたのは6,000円の昼メニューで、「今日は年配者が多い」のは事前に伝えてあった(笑)、すべてお任せで何が出るかは楽しみの、生井料理長の「カルトブランシュ」だが、料理内容は以下のとおり。

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・ラングドック産三日月形オリーブ

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・バスク、キントア豚のサラミ

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・クッキー2種(パルメザンとキャラウェイ、桜海老とアーモンド)

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・浜名湖の青海苔のチュイール

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・トマトとルーコラのスフェリフィケーション

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・仏産グルヌイユのパネ、温かいニンニクのクーリーとパセリのオイル

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・クミンをきかせたトリ貝とホッキ貝、新玉葱のマリネ クレソンのサラダを添えて

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・ホワイトアスパラの温かいエスプーマ、 ズワイガニと卵黄のコンフィ

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・仏産プーサンの低温調理 、ニンニクをきかせたジュのクレム

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・アメリカンチェリーのコンポート シナモンのアイスとキャラメル ムースオフロマージュを添えて
・ココナツのサブレ
・エスプレッソ

 結論を先に言ってしまうと「素晴らしい」の一言、悔しいがこれ以外の言葉が思いつかない(笑)。前回利用時のメニューでは、途中「トリップのグラタン」みたいな理解に困る料理もあったが、今回はそうした寄り道?も無く、全体に隙を感じさせない料理構成。
 青海苔のチュイエールはブラス、トマトとルーコラはモダンスパニッシュ、グルヌイユ(蛙)はロワゾーを連想させた(笑)、でも模倣ではなく精神として自分の料理にしている。なお「スフェリフィケーション」とは「球体のソース」の意味で、ゲル状にした液体を「あんこ玉」みたいな形にしたもの(笑)。
 トリ貝&ホッキ貝は皆が「美しい」と感嘆した皿、特に新玉葱の扱いが見事。次のアルペルジュブランは濃厚でいながら淡麗、吟味した食材と調理により「洗練されたグラタン」と云う印象。
 そして肉料理のプーサンで唸った、低温スチームオーブンで長時間加熱された鶏肉は、軽いけれど濃い肉質、繊細で気品を漂わせる料理になっていた、微かに感じるソースの苦さが味を複雑にしてグレードを上げている。

 料理個々を見ると「この店でしか味わえないオンリーワン料理」と云うより、何処かモダンスパニッシュやモダンノルディックの影響を感じるのだが、全体の流れと調理が適格なのでオリジナリティを充分感じる。例えればMLBで活躍中のダルビッシュ有みたいな、緩急を付けた見事なピッチング、まさに「手も足も出ない」感じだ(笑)。
 星オーナーと北野ソムリエールのサービスは更に良くなっているし、この店が現在持っているポテンシャルの大きさには、この店の小ささはもう不釣合いなのかも知れないと思った。

 超高齢化社会を迎える日本で、リタイア後の毎日の過ごし方は大きな課題、年金生活者になっても、月に一度位はこうした素晴らしいレストランで食事が楽しめる様、今から健康維持と貯金に励まないといけないなと改心?した(笑)、これからレストラン側も高齢者対応を真剣に考えるべきだと思う。
 今回も美味しくて素敵な午後になりました、シック・プッテートルの皆さん、何時にも増して素晴らしい料理とアンビアンスを提供していただき、ありがとうございました、また必ず伺います(笑)。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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