最後の晩餐にはまだ早い


阿佐ヶ谷「ラ・メゾン・クルティーヌ」

 この日の昼に伺う事になった、阿佐ヶ谷のフランス料理「ラ・メゾン・クルティーヌ」は、親しくしている料理人から教えてもらった店だ。オープンは去年の9月で、オーナーシェフは善塔一幸氏、パリ「ターブル・ダンヴェール」「ルレ・ルイ・トレーズ」を経て、一つ星(当時)「メゾン・クルティーヌ」では実質的な料理長を務める、その後「アラン・サンドランス」からフランス南西部ポー(PAU)の町で新規ビストロの料理長を経験し帰国、六本木のフランス料理店で料理長を務めた後、念願の独立を果たした。自店のブログでフランス時代を回顧しているが、なかなか読ませる文章で、料理にかける熱い気持ちが伝わってくる。
http://chefkazu.blog.fc2.com
 店名は働いていたパリ時代の同名店から取ったもの、この店名については「物語」があるので、興味のある方はブログを読むか、実際に店へ行って料理長にぜひ訊いてみてください。
 この店を教えてくれた料理人によると「善塔は料理バカです」との事(笑)、これを言った人間も相当なものなので、会うのが楽しみな料理人だった。

 店の場所は阿佐ヶ谷駅南口を出て高架沿いに歩いて5分、近くには飲食店が軒を連ねていて、どことなく「昭和」の匂いも漂う一角にある、テントの色に使っている黄色が店のイメージカラーみたいだ。席数は20でその他に個室もある、厨房は善塔氏と洗い場?の女性、店内は男性が一人で対応している。お昼は1,900円と3,980円の二種だったが、3,980円はメインが「牛ヒレ」であまり気乗りしなかったので、1,900円のものに前菜のパテ・ド・カンパーニュを半分追加してもらう事にした。

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・アミューズ(プチシュー)

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・阿佐ヶ谷駅前「エディ」のバケット

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・「究極の大根」のスープ

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・パテ・ド・カンパーニュ(1/2)

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・仔羊のナヴァラン、クスクス添え、ホウレン草のプランチャ

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・洋梨とフロマージュブランのクレープ

 経歴とブログでの印象から、フランス的に「力技」を全面に押し出すタイプかなと勝手に想像していたが、意外に柔らかく優しい料理だった、スープは大根の繊維を残して繊細過ぎず、そうかと言って野暮ったくはならないギリギリの線で味を決めている、盛付けのセンスもいい。パテも日本人向けで優しい味、ナヴァランはトマトの酸味を生かした軽い煮込みで、私の好物であるクスクス(スムール)との相性は抜群、鉄板で焼いたと聞くホウレン草も美味しい。
 これで1,900円(パテは別)はかなり勉強価格、本当なら最低2,500円は欲しい処だが、開店して間も無く店を知ってもらうための「出血サービス」だろう。この日店内は4組の客、フランス人男性が来ていたが、あとで料理長に聞いた処、パリ時代に一緒に働いた人で、某有名店の実質的な料理長だそうだ、日本に来る事になり時間を割いてこの店まで食べに来てくれたとの事。

 ランチ1回だけで判断するのは早急かも知れないが、この料理人の料理は好きだ、根に確かな「フランス」を感じるが、それを日本人に向けて上手く変容させていると思った。可能ならば定期的に訪れてみたいと思う、阿佐ヶ谷はこの手の店は少ないし、いい客が付けば人気店になれる可能性ありと見た。この店を教えてくれた料理人が、「毎年フランス、スペイン、北欧からたくさん日本人料理人が経験を積んで帰って来る、彼・彼女達との競争だ」と語っていたが、まさにそんな時代になった、客側としては嬉しい事だが、料理人にとってはこの業界で残るのは更に厳しくなり、固定客を掴むのには何らかの特筆した「個性」が要求されると思う。
 食後に善塔氏と話をさせてもらったが、文章と同じく真摯に料理に取り組む姿勢には好感を持った、家からのアクセスはあまり良くないが、近い内に再訪したいと思う。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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