最後の晩餐にはまだ早い


代官山「ル・ジュー・ドゥ・ラシェット」

 「初めて行くレストランで美味しいものにありつける」、実はこれがかなり難しい事なのだ。私の経験上でも初訪問時は店も客もお互いがよく判らない、だから店側も安全運転をするので、その店の平均値的な料理が出てくる事が多かった。「(同じメニューで)隣席は鳩なのに私達には鶏だった、残念」等ブログに書かれる事あるが、これはある程度仕方ない事だ。
 江戸時代に隆盛を極めた吉原遊郭の看板花魁となると、客が一緒に床入れ出来るのは3度目の登楼からだった、それまでの2回は言わば「お見合い」みたいなもの、それだけ「客との相性」が重視された。
 レストランと客の関係も似ていると思う、その店で本当に旨い物を食べたかったら何回も通うのが最善なやり方だ、ブログを書いている私がこんな事を言うのも変だが、一回来ただけで料理を批評されるのは、店側にとって決して本意ではない筈だ。

 それでも初めて行く店で良い思いをしたかったら、「その店の常連客と行く」あるいは「常連客の紹介で行く」だと思う、もしこれが出来なかったら「その店に睨みの効く人物と行く」だろうか?例えば有名料理人や料理業界関係者、あるいは有名ブロガー(笑)等だ。
 この日初めて訪れた、代官山のフランス料理店「ル・ジュー・ドゥ・ラシェット」だが、同行したメンバーが睨みの効く怖い存在だったからか(笑)、結果素晴らしい料理体験になった。それに加えて夏休み中の平日昼席で、マダム達も少なく空いている日だった事も幸いしたと思う、
 先ずはこの日に出た料理全品を紹介したい、

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・真鯛の炙り、米の泡を纏わせて

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・枝豆のチュロス

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・稚鮎と牛蒡のフリット

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・アーモンドのブランマンジェ、スナックエンドウの冷製スープ

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・フォアグラの冷製、ドライオレンジ

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・42度の鰯、ジャガイモのピュレ

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・鮎とメロン、鮎のヴルーテ

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・世界一軽いスフレオムレツ、サマートリュフ

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・温製フォアグラ、いちぢく、牛タンのスープ仕立て

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・平目のポワレ、サザエの壺焼き

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・ラカン産小鳩、内臓のアンチョビ仕立て、軽いソースサルミ

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・桃のコンポート、紫蘇のグラニテ

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・ショコラバナーヌ、パッションフルーツソース、バナナのグラス(バナナの飾り)

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・トンカ豆のムース、塩キャラメルのシュー・クリーム
・エスプレッソ

 料理+デセールで14皿、私の経験における国内最多記録だと思う(笑)。品数が多いだけでなく、前の料理と今の料理、その後ろの料理が有機的に繋がり飽きさせない。起承転結があって緩急取り混ぜているので、何時の間にか27人が打ち取られ、完全試合が達成されていたと云う印象だ(笑)。
 個々の料理について説明すると長くなるので簡単に留めるが、軽い前菜に始まり冷製フォアグラで最初の頂点が来る、鰯と云う高級店ではなかなか使い難い食材を的確な調理でガストロ料理として昇華、鮎とオムレツの軽さで一休止した後、温製フォアグラで2度目の頂点。そして平目と鳩で両頬を平手打ちされ、デセール3品で絶頂を迎える。
 最後のエスプレッソの時間はオーガズムみたいな開放感(笑)、満腹だけれどあくまで軽い食後感で、心身の緊張が消えて行く。今年の東京では三指に入れたい料理だと思った。

 高橋雄二郎料理長は噂以上の注目すべき才能だ、1977年生れだから今年37歳。青山「フロリレージュ」川手料理長(1978年生)とは同世代だ、この二人の料理は似ている様で少し違う、店名の「ル・ジュー・ドゥ・ラシェット」は仏語で「皿上の遊び」だが、皿の上で遊ぶのは川手料理で、高橋料理はもっと計算された「遊戯」だと感じた、どちらも国際都市東京の今を代表する若手料理人だと思う。

 この店は元々現在地にあった店舗を「オー・グー・ドゥ・ジュール」グループが譲り受け、現在の店名にした。その時の料理長は現「ア・ニュ・ ルトゥルヴェ・ヴー」の下野氏で、彼が独立開業後に高橋氏が料理長に就任する。店舗は経年により内外に古さも目立ち、2階店舗へのエントランスは暗くて、トイレはコーヒーショップみたいに平凡、店全体にもう少し「非日常感」があったらもっと良くなるのにと思う、今は料理だけが突出してしまっているので、少々残念な印象も受けた。
 あくまでも想像だが、おそらく高橋料理長は「この先」も考えている事だろう、どういう方向に進むにせよ、今後追いかけたい料理人だ。

 12時からスタートした「おまかせランチ」、店を出たら3時半になっていた、料理も凄かったがこの日の会話内容も凄く濃かった(笑)、おかげで楽しくて充実した一日になりました、ご一緒出来た皆様ありがとうございました、またの機会があります様に。

 
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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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