最後の晩餐にはまだ早い


麻布十番「グリグリ」(2014年9月)

 秋風の便りを聞くと共に、今年も関西から「最強料理人」がやって来る季節になった(笑)。彼とは年に1、2回食卓を囲むのだが、普段なかなか聞けない業界話などを知る事が出来るので毎回楽しみにしている。ただ一つだけ困る事があって、それは店選びを任される事、これがとても難しいのだ。東京の名立たる店は殆ど行っている筈なので、彼が初めて行く事になる店で、料理のクオリティがそれなりに高く、尚且つ重厚長大な彼の料理とは対照的な料理を出す店の方が面白かろうと考えると更に難しくなる。何日か悩んだ末に選んだのが麻布十番のフランス料理「グリグリ」、今回はこの店で決行?する事に決めた。
 私は過去2回訪れていて料理には瞠目すべきものがあったが、何れもランチタイムだったので、ディナーでどんな料理が出るのか楽しみだったし、最強料理人が来るとなると伊藤料理長もかなり本気になる筈と、少々意地悪な期待もあった(笑)。
 折角だからと、食仲間達に呼びかけた処、平日夜にもかかわらず参加表明してくれる人が続々と?現れて、総勢7名での集まりになった、呼びかけ人としては嬉しい限りだ(笑)。

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 現地集合は19時、異業種混合集団でこの日初顔合わせの人もいるが、皆食べる事に関してはオーソリティ、同好の士というものは直ぐに打ち解けられるものだ(笑)。

 まずは伊藤憲料理長が提供するこの日の料理を紹介したい、 

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・アミューズ1(胡麻のギモーヴ、パプリカのサブレと茄子のピュレ、ムールマリネとイカ墨と米のチップス)

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・アミューズ2(サツマイモのムースとオリーブオイル、ピンクペッパーとバラの香り)

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・ホタテとアボガドのタルト、バニラとライムの香り

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・鰻のパイアッソン、ピーマンのジュ、ピマンデスペレッド、レモンの皮、バスク豚のチョリソー

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・鮪とフォアグラ、サマートリュフのロッシーニ、セルバチコのグラス、アーリーレッドのマリネ

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・鮃とシャンパンのエムルジョンソースとキャビア

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・栃木産鳩のコンソメとトリュフと春菊のベルランゴ

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・同じく鳩のロティー、そのジュ ルバーブ、内蔵を詰めた股肉のコンフィ

・(ラクレットのガレット)画像撮り忘れました(笑)。

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・燻製牛乳のアイス ライムの香り

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・マルドン塩を効かせたモンブラン2014バージョン

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・ミニャルディーズ

 料理長は色々と考えてくれて、まず前菜ではこの店のスペシャリテを中心にした構成になった、ホタテとアボガド、鮪とフォアグラは相当自信作なのだろう、WEB上でこの店を紹介されるケースではよく画像が紹介されている。盛付は綺麗で丁寧、味も複雑過ぎず単調にもならない適度な刺激がある。
 鮃はフランス・ヴァランスの三ツ星「ピック」の料理、伊藤料理長はこの店の魚部門にいたので同じ料理(実際には鱸を使う)を作っていたそうだ、これはスペインではなくソースに包まれた紛れもないフランス料理、極めて軽いブールブランと良質な鮃の火入れは見事の一言。
 そして肉料理は2皿仕立て、この鳩を使うつもりでいたが取引先から「在庫がない」と云われ、「今日は大事な客が来る、入れてくれないと困る」と云った処、捕りに行ってくれたそうだ(笑)。フランスの鳩が骨太で妖艶なら、この鳩は柳腰で繊細、一皿目は軽いソース、二皿目はソースなしで味わうが、この淡麗でいながら濃厚さもある鳩の味覚は暫く忘れられないものになりそうだ(笑)。
 デセールはバスクの「エチェバリ」にインスパイアされた薫香のアイスと、2014バージョンになったモンブラン、どちらも秀逸で前回・前々回より良くなっていると感じた。

 一人厨房のフランス料理店は割と利用する方だが、この日の料理は異次元的に精度が高く且つ7人分同時に出しても味やドレッセがブレない、それでいて料理が滞る事無くスムーズに出て来る、同規模店では頭一つ抜けていると感じた。
 そして最も感心したのが「音」だ、私はオープンキッチンに近い側の席に座っていたが、鍋の音や油の爆ぜる音、話し声や時によっては舌打ち、厨房にありがちなこの種のノイズが殆ど聞こえない、これは凄い事だ。おそらく料理人は判った上でオープンキッチンを採用した筈だ、その上で客に不快な思いをさせない様細心の注意を払っている、これは「ピック」「マルティン・ベラサテギ」と云う三ツ星店を2店経験している料理人が、厨房経験で得たものだと推測する。フランス料理に限らず、オープンキッチンを展開している全ての飲食店で見習って欲しい事だと思う。
 サービスを担当するのがマダムで、私はこの方の嫌味のない「癒し系話術」にとても惹かれている(笑)、フランスでサービスの仕事に就いた経験がありながら、控え目で一歩引いた姿勢はとても好感が持てる。

 悩んだ末にこの店を選んで良かったと思う、料理がいいと当然話は弾むもの、オフレコ話が多かったので、ここでは詳しく書けないが(笑)、とにかく濃くて密度の高いディナーになりました。
 料理長ご夫妻、そして参加された皆さん、遅くまでありがとうございました、私は次何処の店で開催しようか今から悩み始めます(笑)。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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