最後の晩餐にはまだ早い


発寒中央「ラ・ロッシュ・ベルナール」(2014年札幌食べ続け③)

 札幌二日目の昼に訪れるのは、JR発寒(「はっさむ」と読む)中央駅近くに昨年9月にオープンしたフランス料理「ラ・ロッシュ・ベルナール」。
 この店を知ったのは偶然で、ブログ記事のため仏ブルターニュ産仔牛肉の事をネットで調べていたら店のWEBページに辿り着いた、そして「ラ・ロッシュ・ベルナール‘La Roche Bernard’」の店名でピンと来た、「この料理人は間違いなく、ジャック・トレルの元で働いていた筈だ」そう思った。
 フランス・ブルターニュ地方南部にある小さな町、ラ・ロッシュ・ベルナールの二ツ星(当時)のホテルレストラン「オーベルジュ・ブルトン」を訪れたのは2003年の事、事前情報の少ない店だった事もあり、あまり期待していなかったのだが、ここでカルト注文した骨付き仔牛(コート・ド・ヴォー)の料理が素晴らしかった、シンプルで力強く骨太な料理で、私の「生涯三大肉料理」の一つになっている。ジャック・トレル料理長ともカタコトで話をしたが、「おぬしはキィジニエか?」と訊かれた事を覚えている(笑)その位に日本人は滅多に来ない場所だった。
 そこで働いていた料理人の店なら是非行ってみたいと、今回無理に日程に入れる事にした、初めての土地で迷うといけないと思いランチに訪れたのだが、駅からは判り易い道だった(笑)。

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 店内は思っていたより広く個室まであった、25席位だが結構余裕を持って席配置をしてある、厨房も広いがこの店内を厨房一人サービス一人で対応している。この日は木曜昼だったが満席に近く、予約なしで入店して来た客も居た。
 カウンター席に案内されてメニューを見るが2,000、3,000、5,000円の三種類、初訪問なので3,000円(税込)のものをお願いする事に、料理は以下のとおり。

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・道産リーフ野菜のシーザーサラダ、プロシュート添え

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・南瓜のスープ、コンソメジュレ

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・自家製パン

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・枝幸産帆立貝のポワレ、バジルソース

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・十勝産ポークのコルドンブルー、トリュフソース

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・デザート盛合せ(チーズケーキ、クラシックショコラ、果物)
・コーヒー

 全体の印象を言えば見かけも味も1990年代テイスト、でもこれが堪らなく美味しく(笑)私が好きな料理だ。前菜の「シーザーサラダ」は、最近東京で出て来るみたいな農園野菜に酢と油を塗しただけのものか?と思ったが、予想と違い生ハムで野菜を巻きチーズをかけていて、野菜の質やヴィネグレットの味も申し分ない。
 次の何気ない南瓜スープが大変美味、素材を吟味していて中に加えたコンソメジュレが丁寧、冷製コンソメは酸化して嫌な味になる事もありがちだが、それは全くなかった。帆立貝も小ぶりながら上質な味、これは札幌でも原価高い物だと思う。
 メインは東京ではまずお目にかかれない伝統料理の「コルドンブルー」、本来なら仔牛を使用する料理だが、原価を考えてだろう十勝豚で代用していたが充分美味しく納得出来る味、札幌郊外でこれ程トラディショナル且つまともな料理に出会えるとは思わなかった。
 料理に比べるとデセールは普通の出来だが、まあこの値段でこれ以上望むのは酷だろう。使っている食材の質を考えたらこの料理内容で3,000円は安い。

 満席の店内はマダム一人で対応するので大変そう、それでもあまり客を待たせず料理が出て来るので、この料理人は日本やフランスの厨房で相当修羅場の戦場を潜り抜けて来たと思う(笑)。
 食後、マダムに店主が働いていた「オーベルジュ・ブルトン」に行った事を話すと、既に料理を出し終えて休憩中の料理長を呼んでくれた、スキンヘッドでマッチョな体格の長谷川料理長は一見怖いが(失礼)、話してみると穏やかな口調ながら料理に熱い人だった、「今のフランスの料理は、全くいいと思いません」とこれは私と同じ意見(笑)、その後はジャック・トレルとマダムの話で盛り上がってしまった(笑)。
 「オーベルジュ・ブルトン」で働いていたのは1998年だそうで、多分店の料理が一番いい時期だったのではと思う、そして「フランス黄金の1990年代」だ、あの時代のフランス料理に感化された料理人なら、きっと旨いものを作れる筈だ。確認はしなかったが、働いていた店の地名を店名にしたのは、師の店へのリスペクトからだろう。

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 この発寒という地には今までフランス料理店はなかった、そこへ本格的で真っ当トラディショナルなフランス料理を提供する店を開くのは、相当勇気が必要だったと思う、でもこうして人気店になりつつあるのは、日本の地方も食に関して成熟して来たのかなと思う、これから続いて欲しいと願わずにいられない。
 料理長とマダムの見送りを受けて退店したが、今年40歳と聞くこの料理人の料理は東京では出会えない個性がある、また食べに来てみたいと思った。
 

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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