最後の晩餐にはまだ早い


札幌・西18丁目「プロヴァンサル・キムラ」(2014年札幌食べ続け⑥)

 「札幌のフランス料理店は何処がいいの?」、こう訊かれたとしたらとても返事に困る、「いい店」と云うのは各自の嗜好や経験値で変わる相対的なもので、十人居れば十のいい店があって当然の筈だ。そして札幌のフランス料理は平均レベルが高く、各店間の力量もそう離れていない、つまり4割打者級の突出した店は無いと感じているので、「オーナー料理人の店で、ネット上での評判がいい5店へ行ってみなさい、その中には自分の好みに合った1店は必ずある筈」、こんな言い方しか出来ない。でも質問を変えて「あなたが札幌で一番好きなフランス料理店は何処ですか?」こう訊かれたとしたら、今の私なら「それはプロヴァンサル・キムラ」と答えると思う(笑)。
 「札幌食べ続け」最後の夜に訪れるのは、私にとって定番となったその西18丁目にあるフランス料理「プロヴァンサル・キムラ」へ、この店を外す訳にはいかない。

 「何故この店が好きなのか?」と問われたら、北の地である札幌で日本人が食べて美味しいと思える正統的南仏料理を提供し続けている事に加え、サービスを担当するマダムと料理長の素敵な夫妻のおもてなしに、いつも「この店へ来て良かった」と、実家へ帰ったみたいな安心感を覚えるからだ、大阪の「びすとろぽたじぇ」が「大阪の我家」なら、この店は「札幌の我家」と呼びたい場所だ(笑)。
 この夜は札幌在住の若い友人が同行してくれる事になり、18時半に近代美術館近くの見慣れた黄色いテントの店に到着、ドアを開けたら既に満席に近い盛況で、この活気ある雰囲気と賑わいはフランス料理店には何よりのBGMだ(笑)。
 マダムに挨拶して着席、ディナーが始まるが、料理長おまかせでお願いした料理をまず紹介したい、

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・アミューズ(ボーヤファーム仔羊のトリップ、枝豆とトウモロコシ&黒オリーブのカナッペ)

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・牡丹海老のマリネ、赤ピーマンソース、紅しぐれと蕪のサラダ、いくら添え

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・昆布森産ムール貝とホタテ貝のフリカッセ、無農薬人参のフォンダン、オレンジ風味

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・ソイのポワレ、烏賊とゲソ、ズッキーニのラビオリ、無農薬トマトのソース

・紫蘇のグラニテ

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・滝川産合鴨スノーホワイトチェリバレーのロースト、山ブドウのソース、林檎のソテー添え

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・ミニトマトのコンポート、蜂蜜風味

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・ガトーマロン、カカオのアイスクリーム添え

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・ミニャルディーズ

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・フランス産デトックスティー

 料理全体の印象を云うと、以前は脇役だった野菜が主役級になり、全体的に料理の厚みが増して立体的になった印象を受けた、寒冷地である北海道の食材を使用して南仏プロヴァンスを彷彿とさせる料理を作るのは、考えてみればかなり難しい事だ、料理人は過去に相当葛藤もあったと思う、それでも今回の料理を体験してみて、何か迷いが吹っ切れたみたいな爽快さを感じた。
 前菜2種は海老と貝が主役だが、それを喰ってしまうかの様な濃い野菜の味で印象深い皿になっている。道産ソイと烏賊の皿は無農薬トマトのソースによって見た目も味も鮮烈な印象、そして肉料理の滝川産合鴨は去年札幌の別の店で初めて食べたが、とても美味しい鴨肉で個人的にはシャラン鴨よりこちらを好む、それを的確な火入れと酸味のある山ぶどうソースにより一層美味しさが際立っていた。
 そしてデセールはフランス的に甘味がしっかりとして美味しいのが、この店の特徴だ。

 木村浩料理長は1968年生れ、フランスでは1990年代に主に南仏で働いていた、あの「黄金の1990年代」だ、実際に料理を体験してみると、本当にいい時代のフランスの料理が身に付けていると感じる、そして日本へ帰って来てから料理が変に日本的変容をしていない、これは大事な点だ。レストラン界に魑魅魍魎がうごめく東京や大阪で働かなかったのが、結果として良かったのではないか?とも感じている(笑)。

 店内サービスを担当するのはマダム、バレリーナみたいな軽やかさと笑顔で満員のテーブルを回る、料理の間には各席で話しかけて「料理を待つストレス」を客に感じさせない様気遣っている、最近の東京でこれだけ活気あるマダムがいたかな?と思いを巡らせたら、8月に利用した駒込の「レザントレ・コウジイガラシ・オゥ・レギューム」のマダムに似ていると思った、あそこの料理長も控え目な渋いイケメンタイプなので、このコンビも同じだ(笑)。
 食後、他の客が帰った後に木村料理長と遅くまで話し込んでしまった、彼が修行時代に一緒に働いた、元「タイユヴァン」料理長のミッシェル・デル・ブルゴの皿割り事件等、実に貴重な?話を聞かせてもらった(笑)。

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 美味しくて忘れ難い楽しい夜になりました、木村料理長夫妻遅くまでお付き合いありがとうございました、また「プロヴァンサル・キムラに帰る」ために、必ず札幌に来たいと思います(笑)。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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