最後の晩餐にはまだ早い


札幌・西17丁目「餅菓子商 白谷」(2014札幌食べ続け⑧)

 「バンケット」での豪勢なランチ後に、皆で札幌医大付属病院近くを歩いていたら、先を行く友人が「大福を売っている」と叫んだ(笑)、見ると目の前に和菓子販売らしき小さな店舗がある、札幌はファサードに駐車スペースを設けている店が多く、入口が奥に引っ込んでいるので気付かないと通り過ぎてしまう。友人の「入ってみましょう」との言葉に誘われ思わず入店してしまった、店の名前は「餅菓子商 白谷(しろや)」。

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 この場所は病院に来る人を想定しているのか飲食店が数店在る、和菓子店の2階は「喜香庵」と云う界隈では知られた蕎麦屋で、2年前に利用したがなかなか美味しい蕎麦だった記憶がある、その時もこの店はあった筈だが気が付かなかった。
 入ってみると意外に奥に広く喫茶スペースもある、左側に菓子類を並べた小さなガラスケース、見ると大福専門店という訳ではなく、通常の和菓子店で売っている「みたらし団子」みたいな物もあった、販売をしている若い男性が店主みたいだ。
 頭の中は既に大福モードだったので此処は「黒豆大福」(130円)を買い、店内で食べる事にする。

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 店奥の喫茶スペースは6席、特にお茶を注文しなくてもいいが、「抹茶150円」の文字を見て、思わず「安い」と頼んでしまった、大福と抹茶で合計280円は格安、スターバックスならコーヒー小1杯の値段だ(笑)。
 喫茶スペースの横には作業場が見えるが、どうやら店主一人で菓子の制作と販売、更にはお茶まで淹れている。

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 棚には抹茶碗や小物類、誰だか不明だが店を訪れた著名人?の色紙もある。物の配置等を見ると、この店主なかなかの美意識の持主、決して高価な物ばかり並べているのではなく、選んだ人間のセンスの良さが感じられるアイテム達だ。

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 先ずは大福からいただくが、形は小さめで外側の皮の部分は柔らかくしっとりとしている、中の餡は北海道産の小豆を使っているみたいで甘さを控えて上品、これなら2~3個位いけそうだ(笑)。

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 続いて店主が運んで来たのが抹茶、私は茶碗については「井戸だ、唐津だ」と薀蓄を語るのは好きなのだが、肝心の茶の作法については習った事はなく不案内だ、それなのでこの抹茶がどの程度の茶葉で、点て方が上手なのかどうかは語れないが、甘さを抑えたこの大福に合う軽やかで苦味が少ない飲み易さだった。使った茶碗も高価な物ではないと思うが、シンプルで趣味のいい器だ。

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 フランス料理店で食事後の中年?男子二人が、対面で大福と抹茶をいただくと云う、珍しくもあまり見たくない昼下がりの光景だが(笑)、美味しくて心豊かになれる時間になった、繰り返すがこれで280円は安い。
 東京のコーヒーショップは騒がしく、今コピー機でコピーしましたと云う感じの安手な絵を飾り、どうも落ち着く空間ではない、特に最近は殆どの席でスマホやタブレット端末を操作している人ばかりなのも気になる、そうかと云って土地代&賃料の高い東京で大福+抹茶を280円で提供し、長時間粘る客が居たらもう赤字必至で長く続かないが(笑)。
 こんな洒落た店がさりげなく存在する事自体、札幌が魅力を有した文化都市である証だと思う、また寄ってみたい店だ。

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 話は札幌のフランス料理に戻るが、今回訪問した4店、何処も個性的で面白かった。毎回札幌フレンチのレベルの高さには感心するが、今年はそれに加えて若い料理人達が、自分達の料理方向について模索しているなと云う印象も受けた。世界の流行に乗ろうとすると料理はグローバルになり、東京料理との差異がなくなる、それを札幌でやる意味があるのかどうか?一方「ガラパゴス的」と云っては失礼だが、1990年代のフランス料理を地道に継承して行こうとする料理人もいる。地元客を対象にするのか道外のグルメ達にも来て欲しいのか、料理人として何処へ向かうべきなのか、彼等も悩んでいるみたいに感じた。
 でも悩む事はいい事だ、「我思う、故に我あり」はデカルト先生の名言だが、料理人は「我思う、故に我の料理あり」であって欲しいものだ(笑)。
 今年訪れた店が次回変わっているのか変わっていないのか、新たな才能が出現しているのか、帰ったばかりだが次回の札幌訪問を今から楽しみにしている。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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