最後の晩餐にはまだ早い


竹下鹿丸「焼締片口鉢」

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 竹下鹿丸氏は、1977年に陶芸の町栃木県益子に生れた若手陶芸家だ、実父も現役の陶芸家で、栃木県立窯業指導所を卒業後プロの世界に進む。2000年に中世日本では一般的だった「穴窯」を築き、「焼き締め」と呼ばれる釉薬を使わない器の製作を始める、2002年25歳の時には益子陶芸展で審査員特別賞を受賞、以降は地元栃木や東京のギャラリーで個展を開催し、一部の陶芸好きには注目されていた。
 去年の東日本大震災時の激しい揺れで使い続けていた穴窯が壊れてしまった、益子では他の作家(工房)の窯も被害を被ったが、彼はいち早く再建に取り組み、今回は耐震性を考慮した窯を築き上げたそうだ。

 器を焼く窯の熱源は昔から薪だったが、現在は資源の枯渇や周囲への影響(煙・匂い)等で、ガスや電気が主流になっている、それでも薪窯に拘る少数派の作家がいるのは、どうしてもこれでないと出せない「味」があるからだ、一言で云うと「作為の無い非均質性の表現」だろうか。

 画像は数年前に六本木の陶芸店「サボア・ヴィーブル」での個展時に購入した片口鉢、歪んでいるが作為的な嫌らしさが無い、緋色の入り方がいい景色になっている。そして一番大事な点だが見た目より軽いのだ、片口と云えば本来は水や酒を注ぐための物、デザイン優先で重くなった物は「用の美」とは云えない筈だ。この個展の時に居た作者と少し話をしたが、芸術家というより本当に肩の力の抜けた好青年という印象だった。
 今は好きなのは陶器(焼き締め)ではこの人と、北海道の工藤和彦か、今後の更なる活躍に期待したい作家だ。ただ陶芸家の宿命?として、いい作品を作り名前が知られて来ると、若い時と同じ材料・技法を使っていても値段が高くなってしまう、これは本人の責によらないものだが、それを考えると買うなら今のうちかも知れない(笑)。


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