最後の晩餐にはまだ早い


神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」(2014年10月)

 フランス帰りの知人から、お土産を渡したいから昼間の時間で何処か場所をセッティングしてくれとの依頼があった、何の事は無い要は「行って来た自慢」をしたいらしい(笑)。私も2009年を最後にフランスへ行っていないので、直近の料理傾向がどうなのか興味あり、真面目に店探しをする事にしたのだが、結局はこのブログでお馴染みの、神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」でお願いする事になった。
 佐藤料理長に「(料理に)うるさい人間と一緒なので、予算は問わないから?フロリレージュに匹敵する位の料理を出して欲しい」と、また無理難題をふっかけた(笑)。

 最近東京のフランス料理店では、平日ランチタイム縮小の方向にあると感じている、有料ドリンクを飲む客が少なく身入りの悪い昼間は店を閉め、その分夜から店によっては深夜の時間帯まで営業し、客単価UPに期待しようと云う「戦略」を取る店が多くなった、東京の高額テナントや原材料高騰の現状を考えると仕方の無い事だとは思うが、写真が綺麗に撮れ、且つ概ね夜に比べて低予算で済むランチは、ブロガーにとっては魅力が大きいので、続けている店は応援したいなと思う(笑)。

 この日、佐藤料理長が考えてくれた特別メニューは以下の通り、

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・キャベツのスープ、牡蠣のポシェ

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・ビーツのモザイクとサンマ、ケールの落ち葉

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・自家製フォカッチャ

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・長ネギとマダコのエチュベ、春菊のアリゴ

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・秋のフルーツのフリカッセ、フォアグラのアイスパウダー

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・鰈のムニエル、イタリア産栗のヴルーテ、ローズマリーの香り

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・ペルドロールージュとフォワグラのキエフ、その腿とブルガー小麦のリゾット、トリュフソース

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・熊とコルニションのアリュメット

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・温かい人参のケーキ、早生みかんのパルフェグラス

 個々の料理を説明すると、アミューズとして出たスープは、キャベツの風味が牡蠣と舞茸をうまく引き立てている、次のサンマとビーツは面白い組合せで、青魚特有の風味にビーツが意外な相性を見せる、葱と蛸は「おでん」みたいな和的なものを感じさせ日本人が好きな味だ。
 フォアグラ料理は新機軸、フルーツをソテーしてパコジェットでパウダー状にしたフォアグラをかけながら食べる、これは面白い、そしてアイデア倒れにならずにちゃんと料理として完結している、この日一番印象深い皿だった。
 料理長得意の魚料理はオーソドックスな手法だが、イタリア産の栗がいいアクセントになっていた。
 ペルドロー(山鶉)の料理はキエフ風カツレツのスタイル、ガルニにトルコ料理で使われるブルグールを使ったのはいいアイデアだ。
 そして「おまけ」に出してくれたのが「熊」(笑)、狩猟を趣味にしている人が撃ったものだそうだが、初体験の味で野性味とはまさにこれ、上手く表現出来ないので「熊の味」だったと言っておく(笑)。なお「アリュメット(allumette)」とはマッチ棒の事で、この大きさに切る事を呼ぶ。
 デセールもなかなか良かった、特に人参のケーキが秀逸。

 この店も開店3周年を迎え、過去には施設面でのトラブルもあったが、ここへ来て料理人がやりたい事がハッキリ形になって来たのかなとの印象を受けた。私は開店当初から知っている訳ではないが、それでも料理は変わって来たと思う、神楽坂の客層と嗜好、それに自分の料理をシンクロさせる事に迷いがなくなった気がする、皿上からも余計な物が少なくなった、これは「フロリレージュ」の記事にも書いたが、ある種の自信の現れにも感じる、全般的にいい料理だった。
 現在人材不足から、ランチタイムは料理人一人で全て対応しているが、客数を絞っている事もあり、料理は滞りなく出て来る。今はそれなりのサービススタッフを雇うにはそれなりの出費が必要だ、人を雇った経費は当然料理価格に反映する、客はサービス面には目を瞑ってリーズナブルさを求めるか、相応のお金を払ってでも丁寧なサービスといい環境での食事を望むのか、二者択一しないといけない時代になったと思う、原宿の高級レストランを利用した後だっただけに、余計それを感じた。
 スマイルは0円かも知れないが、スマイルをしてくれる人は0円では雇えない(笑)、良質なサービスを得るには対価が必要なのだと云う事を、日本人はもっと理解しないといけないと思う。

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 今のフランスの料理傾向にあまり魅力を感じていなかったので、もうフランスへ行く事は無いかなと思っていたが、現地の話を聞き特に日本人料理人の活躍を知るにつれ、久し振りに行きたいなと思い始めている、でも現在の円安&ユーロ高は何とかならないものか(笑)。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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