最後の晩餐にはまだ早い


麻布十番「グリグリ」(2014年11月)

 この日のランチは、9月初めに超グルメメンバーを集めたディナー以来の、麻布十番のフランス料理「グリグリ」で、内輪の祝い事をするために集まった。私以外はこの店初訪問で且つフランス食旅行から帰ってきたばかりのメンバーもいたので、彼等がこの店の実力をどう評価するかの楽しみ?もあった。
 朝から晴れ渡った絶好のランチ日和(笑)の中、地下鉄麻布十番駅から商店街を歩いて六本木方面へ向かう、この道は神楽坂通りと似ているが、観光地化と云う点では一歩遅れている様に見える、これはつい最近まで麻布十番に地下鉄が通っていなかったのでアクセスが悪く、それがために昔ながらの商店街の雰囲気が残ったからだと思う。
 現在は南北線と大江戸線が開通し、更には近くに六本木ヒルズが開業した事により人の流れが変わり外国人も増加、国際都市東京を代表する街の一つになりつつある。

 お馴染みになった正面壁が緑に覆われたビルの2階、昼間なので明るい陽光が店内に差して夜とは違う雰囲気だ、例えば「フロリレージュ」は窓が無い事もあって、昼夜の印象はそう変わらないが、この店は昼と夜で雰囲気が違うのが面白い、フランス・ローヌやスペイン・バスク等太陽光の強い地方で働いていた伊藤料理長の料理イメージには、昼の方が合っている様な気もする。

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 いつもどおりの癒し感漂う穏やかな口調のマダムに挨拶して着席、この日料理長のおまかせで出してもらったランチメニューは以下のとおり、

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・アミューズ(イカ墨と米のチップ&白イカ、カカウェットのギモーブ、エルブドプロヴァンスのサブレ&ラルドコロンナータ)

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・サツマイモのムース、薔薇とピンクペッパーの香り

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・シャンパンで蒸した北海道昆布森の牡蠣と帆立とジロール茸、シャンピニョンのコンソメ

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・ラングスティーヌのビスクとエストラゴン、バターナッツのベルランゴ(ラヴィオリ)

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・ヒラスズキのヴァプール、ソースアルベール・レジェ

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・オーストラリア産仔羊のロティ、ジュ、蕎麦の実と海藻バター

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・ブールショコラのショーフロワ

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・ショコラマカロン

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・エスプレッソドゥーブル

 この店を初めて利用した時は、ランチ時でも同じテーブル内で前菜二種とメイン料理が全て違った、3人で行けば3×3で9種類料理が出たが、この日は全て同じもので、私達のテーブルだけでなく隣のテーブルも同様だったので、提供の仕方を変えたと思われる、前のやり方も面白かったが、どちらかと云えば面白がる事が出来るベテランングルメ向けなので、一般的なのはこちらの出し方だろう。
 アミューズの見た目の面白さと変化ある食感は毎回に同じ。牡蠣と帆立は丁寧に取られ滋味溢れるコンソメがポイントで、日本の秋冬を代表する貝類が引き立っている。続くビスクとヒラスズキの皿は「これがフランス料理だよ」との料理長からのメッセージにも受け取った(笑)。
 肉料理はオーストラリア産の仔羊、現在南半球は春なので季節物だ、フィレ身に羊脂を巻きローストする事によって、直火のダメージを和らげると共に脂の香りを移す技法、火入れが悪いと脂の嫌味が残る可能性あるが、さすが経験値のある料理人だけあって、見事なキュイッソンだった、「ブルターニュ」を意識したソースもジュの旨さを感じさせ、オーストラリア仔羊を見直す程のいい料理だ(笑)。
 デセールは価格高騰中のチョコレートを多用したもの、ドーム状に作ったチョコレートをホットチョコレートで溶かして壊す、濃さの中にも軽やかさがあって美味。ミニャルディーズのマカロンもショコラ味、これランスのマカロン風で巨大だ(笑)。

 私はこの店の初訪問が去年の8月で、以来4回目になるが料理は少しずつ変わって来たと感じている、全体にシンプルになりソースを重視したフランス的、それもスペインや日本や北欧の影響が少なかった時代の、軽さに逃げないフランス料理のいい部分を受け継いでいると思う。
 書店で立読みした料理専門誌に伊藤憲料理長の記事があったが、フランスの「ピック」とスペインの「マルティン・ベラサテギ」の三ツ星2店で働いた経験はあるが、自分のオリジン、目指す処はあくまでもフランス料理だと語っていた、それが十分理解できる料理だった。
 この店を利用した食仲間が「野菜が少ないのでは?」と言っていたが、野菜が食べたかったら野菜料理専門店へ行けばいい(笑)、生野菜をそのまま皿盛りにする様な料理は料理長が出したくないのだろう、個性の一つとして認めていいと思う。

 素敵な料理で優雅で充実した午後になった、伊藤料理長夫妻ありがとうございました、フランス帰りの人達も「この料理を出せるなら、PARISでもやって行ける」と、満足して帰りました(笑)。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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