最後の晩餐にはまだ早い


神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」(2015年1月)

 栃木県芳賀郡茂木町にある「うたし農園」は、有機農法に取り組んでいる農園で、農薬や化学肥料を一切使わず、農地に生える雑草も極力取らない農法を採用している。「雑草を取らない」と、地中の養分が取られてしまう様に素人は思うのだが、理論どおりに行かないのが自然界の面白さで、実際にこうした農法で野菜を作っている農家は他にもあると聞く、畑の様子を紹介したブログがあるので、まずはこれを見てください。
http://morimaru2014.hatenablog.com/entry/2014/05/29/222916
 雑草と作物の区別が付かないが(笑)、若夫婦が営むこの農園の野菜が、とても美味しいとの噂は聞いた事があった。私は焼物が好きなので、たぶん茂木町からそう遠くない、益子の陶芸作家のブログではなかったかと思う。
 「うたし」の名前は、「うれしい」「たのしい」「しあわせ」と感じられるような農業や生活をして行きたいとの、夫婦の思いからだそうだ。
 その農園の野菜を、私がよく行く神楽坂のフランス料理店「オー・トレーズ・ジュイエ」で使い始めたとの情報を得て、早速ランチタイムに伺ってみた、勿論佐藤料理長には、事前にこの野菜を食べたいと伝えてあった。夫婦二人でやっている農園なので、元々収穫量は少ない上、冬場で生育が遅いので、入荷する量は限られるみたいだ。

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 12時ちょうどに入店し窓際の本棚前に座る、この席はたぶん初めてだと思う、並んだ料理本を見ると、さすがに「NOMA」の本はないが(笑)、ラルースやエスコフィエの仏語本等、佐藤氏も独学派料理人だが、よく勉強しているみたいだ。
 まずこの日の料理を紹介したい、

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・うたし農園の温かいサラダ、小海老のアッシェ、アヴォカドのソルベ

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・Chateau du Coing de Saint-Fiacre Muscadet Sevre-et-Maine Sur Lie Comte de Saint-Hubert1997(長い!(笑))

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・フォカッチャ(改良版)

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・鱈のロティ、バスクのポーリング

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・仔羊肩肉のグラチネ、白菜のア・ラ・クレーム

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・ココナッツとベリーのタルト、サフランのグラス添え

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・エスプレッソ

 まずは第一の目的だった農園野菜は、大根類、蕪、人参の冬野菜がメイン、葉野菜はチコリであとは失念(笑)、アヴォガドのソルベをソースにするが、添えられたのは小海老のハンバーグ?まずは何と云っても野菜の味が濃い、濃いだけでなく苦味やエグミと云った野菜が本来持っている味がある、今迄にも有名農園の野菜は食べて来たが、それらとは少し違い、とても野性を感じて、食べられる事を拒否するような強さがある、個性的なので好みは別れるかも知れないが、私は惹かれた、但し塩を振っただけでも味が際立つので、かえって料理は難しいと思う、佐藤氏は経験豊富な料理人なので、その辺りは充分理解していると思う。
 続く鱈の料理も、鱈より「インカのめざめ」が特徴的、これは北海道から来たものだそうだ、なおポーリング‘Pouring’とは米国の抽象画家J・ポロックの表現技法の事で、日本で云えば「垂らし込み」にあたる。羊肩肉は煮込、トマトの酸味と白菜のクリーム煮を上手く使い、無難だが食べ応えのある料理になっている。
 デセールはちょっと盛り込み過ぎた印象もあるが、各パーツの味は良かった。毎回出していたフォカッチャを改良、焦がした小麦粉を混ぜたそうで、これはなかなか美味しい、レストラン用の冷凍種パン等を使うより、こちらの方が断然いいと思う(笑)。
 この日の料理は特に野菜の印象が強烈だった、この野菜が食べられるなら、毎月来てみたいなと思った位だ(笑)。

 かなり昔の話だが、フェアのため来日した、パリ「ランブロワジー」の料理長、ベルナール・パコーがインタビューで、「料理は食材を超える事は出来ない」と、語っていたのを覚えている、つまり自分の料理に使うには、日本の食材には不満があると、暗に言いたかったのだと思う。それから20年以上経った筈だが、若い層を中心に食肉や野菜作りに真摯に取り組む生産者が増えた、高級レストランのメートル職をなげうって有機野菜作りをする人も現れた(笑)。
 私は行っていないが、日本での「NOMA」料理は殆ど国産食材を使用していると聞く、海外から有名料理人が来ても「日本の食材は駄目だ」とは、もう云わせなくて済みそうだ(笑)。

 なお「オー・トレーズ・ジュイエ」で「うたし農園」の野菜が食べたかったら、収穫量、入荷量が限られるので、予約時に確認した方がいいです、なお野菜だけなら同じ神楽坂にある、この「E-to」でも販売しているとの事だ、
http://jam-studio.jp/e-to/
 これも毎日あるとは限らないみたいで、確認してから行った方がいいと思う。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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