最後の晩餐にはまだ早い


麻布十番「ビストロ・コティディアン」(2015年2月)

 寒い季節になると食べたくなるのが、フランス南西地方の郷土料理‘Cassoulet’(カスレ)、私にとって食べたくなるカスレは、本場トゥールーズで食べた物より、麻布十番「ビストロ・コティディアン」の物だ(笑)。
 建国記念の日、休日ランチに選んだのは、その「ビストロ・コティディアン」、須藤料理長から予約時に「ご希望なら、カスレをメインにしたメニューもお出し出来ますが?」との提案があり、そう云われると喜んで賛同してしまう(笑)。「お腹を空かしていらして下さい」との脅し?を受けて、覚悟を決めて麻布十番へ乗り込んだ(笑)。
 いつも平日昼に訪れていたが休日は初めて、麻布十番商店街を見物してから向かったが、若い人達で賑わっていた、でも人が集まっているのは客単価の低いカフェ的な店だけ、それと目立つのが菓子店で、「東京みやげ」に適当な、日持ちしそうな焼菓子類を売る店が増えた、浅草や神楽坂も同様だが、外国人や日本でも地方から来た人達の購買力が、今は何より頼りなのだろう。

 12時ちょうどに店へ到着、2階にある扉を開けてマダムに挨拶し、窓際の明るい席に案内される。スタッフが交替していて、厨房に居た料理人が退店、コックコート姿の若い男性が二人入店し、そのうち一人が店内サービスを担当していた。
 席に着いたら、席上には既に「本日のメニュー」が紙に書いて置かれてあった、これはブロガーにはとても嬉しい心配りだ(笑)。

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 まずはその全品を紹介したい、

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・ブランタード(自家製塩鱈とマッシュポテトのグラタン)

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・長崎産ブリのカルパッチョ、フレッシュトマトソース

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・ブルゴーニュ風エスカルゴ

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・天城山の猪とフォアグラのテリーヌ

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・フロマージュ・ド・テット(豚の頭のカリカリ焼き)、ラビゴットソース

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・フランス産鴨モモ肉コンフィのカスレ

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・チョコレートのテリーヌ

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・自家製サブレ
・コーヒー

 料理長から「少しずつ何品かお出しします」と聞いていたが、決して「少し」では無かった(笑)。フランスの伝統料理が中心だが、これを今の東京に住む日本人の好みに合わせ重くなく、それでいてフランスのエッセンスを失わないよう上手く変容させている。
 ブランタードの後は、雑味を感じさせない鮮度の良い鰤、酸味の使い方が巧く盛付けも美麗、これはビストロではなくガストロ料理だ(笑)、次のエスカルゴは一口ながら、定番のニンニク&パセリバターを使った本格派。続く猪テリーヌも練肉の旨味が際立っている、ガルニのピクルスもいい出来だ。
 この店では初めてのフロマージュ・ド・テット、これが良かった、ラビコットソースの酸味が脂を中和させ、ずっと食べ続けていられそうな気がする(笑)。
 そして真打登場のカスレ、須藤料理長夫妻は昨年の夏休みに渡仏、南西部の「三大カスレ産地」とされる、トゥールーズ、カルカッソンヌ、カステルノーダリを訪れ、連日カスレを食べたそうだ、その熱意と探究心も凄いが、それに付き合ったマダムも偉い(笑)。私も本場物を食べたが、コテコテで濃く塩分&脂分の多い料理だ、これを毎日食べたいとは思えなかったが、オリジンを知らないと判らない部分はある。それを知っていたので、料理が変わったのかな?と思っていたが、私の記憶では以前と殆ど変わっていなかった。
 一年位前に須藤料理長と話した時に、「今のカスレは麻布十番の客層に合わせ、塩分・脂分を抑えてあります」と云っていたが、その方向が決して間違いではないと、現地料理を体験して確信したのだと思う、そのためにお金を使ったのは決して無駄ではなく、「変えない事」に自信を持ったのではないかと感じた。
 この日の料理に合ったデセールはチョコレートだろうと、選んだテリーヌも濃厚で美味、ちょっと昔風のソースアングレーズがまた嬉しい(笑)。

 いや、お腹一杯になりました、あまりにも満たされたため、途中眠ってしまったみたい(笑)、このまま眠り続けられたら、それはそれで幸せな逝き方かも知れない。でもこれだけ食べてもそう苦しくないのは、前菜における酸味の使い方が巧みだったからで、肉食文化がDNAに染み付いていない日本人には、この酸味が何よりポイントになる、私の持論は「酸味を制する料理人は、フランス料理を制する」だ(笑)。

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 この店を始めて訪れた頃と比べると、マダムのサービスがとても柔らかくなり、笑顔が自然になった、開業して4年、すっかりマダム業が板に付いて来た様に見える。
 店名は「日常」だが、この店が提供してくれる上質さは、そう日常的にはない(笑)、この日も満席で、いい店はいつか知られてしまうものだ(笑)。東京が誇れる素敵なビストロの一軒だと思う。
 
 次回のブログ更新は23日(月)の予定です。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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