最後の晩餐にはまだ早い


和歌山「オテル・ド・ヨシノ」(2015関西食べ続け②)

 去年9月に東京で「オテル・ド・ヨシノ」の手島料理長と話す機会があり、次回訪問の話になったのだが、その時「次は鳩をお出しします、今考えている料理があります」との熱いメッセージを既に受け取っていた(笑)、今回の遠征日程が決まった時に、真っ先に連絡を入れたのもこの店だった。
 レストラン利用はこれが7回目だが、過去のメイン料理は、「ジビエのピティピエ(パイ包み)」「牛ヒレのロッシーニ」「クッフ・ド・ブッフ」「ショーソン・オ・トリュフ」「鹿のロワイヤル」「プーレ・ベッシー」の順番だったと思う、まるで「古典料理のデパート」みたいだが(笑)、今年はこれにどんなコレクションが加わるのか、大変に楽しみであると同時に、いくらかの怖さも感じる訪問、さてどんな戦場が待っているか。

 階下のホテルから僅か1分で移動到着、18時半に昨年と同じく一番奥の厨房に近い席に案内される。ここは厨房内特にデセールセクションの作業が全て見られるので、パティシェの勉強をしている人にはピッタリの場所だと思う。去年まで居たビジュアル系?パティシェールは退店してしまったが、後任も若い女性なので、我々親父世代には彼女を眺めていられるという、邪な楽しみ?もある(笑)。
 値段の高い銘柄を飲んでいないからだろう、シャンパーニュは時に悪酔いするため(笑)、メートル兼ソムリエの松岡氏にお願いしたのは、アルザスのリースリング、これで長い宴が始まった。
 まず当日の全料理を紹介したい、

        150227-1.jpg
・アンショワ風味のミニクロワッサン

     150227-2.jpg
・フォアグラのムースを挟んだシュークリーム

        150227-3.jpg
・真サバのマリネ、トマトのジュレと共に

        150227-4.jpg
・ジビエのコンソメ

     150227-5.jpg
・甲殻類のジュレ、足赤エビと雲丹、キャビアを添えて

        150227-6.jpg
・和歌山産平スズキのエトフェ

     150227-7.jpg
・ピジョンファルシ

     150227-8.jpg
・プレデセール(柚子のソルベ、アネットのジュレ、ネーブルのコンポート)

        150227-9.jpg
・四角いプラリネ、トンカフェのアイスクリーム

        150227-10.jpg
・ミニャルディーズ

 食後感を云うと、まるで「無敵を誇った、ハンニバル率いるカルタゴ軍の戦法」だと思った、前菜とコンソメが重装歩兵の先陣で戦闘開始、甲殻ジュレと平スズキが騎兵による波状攻撃で守備側を混乱させ、鳩は最後の象部隊で、相手を踏み潰しにかける(笑)。
 個々の料理では、鯖料理は東京の吉野建氏のビストロ「ラ・トルチュ」同様にサーディン?缶に入れて出される、これは昔ロブションがエシレバターを籠のまま出したみたいに、「俗と聖」あるいは「貧と富」の意外性を表現したものか?鯖の質や白バルサミコを使った締め加減は申し分ない。
 定番ジビエのコンソメは万全、今回はデミタスカップで提供されたが、香りを凝縮するか拡散させるかの違いだが、個人的にはスープ皿の方が好みか。
 続く甲殻類ジュレは新機軸だと感じた、手島料理長は直近にフランスへ行き、主に日本人料理人の店を食べ続けたそうだが、そこから着想した料理ではと推測した。鱸は切り身を海藻等で包み間接調理したもので、「窒息」を意味する仏語を使う、鱸の水分を閉じ込め、海藻類の香りを加えたかったのだろう、この料理も鱸の鮮度と火入れが見事。
 そして主役がヴァンデ産の鳩、手島料理長によると「グラン・ヴェフェールの『レニエ三世』とラ・セールの『アンドレ・マルロー』、2つの料理のいいとこ取りです」との事、1970~80年代に一世を風靡した名料理を基にしたものだ。
 一人丸ごと一羽の鳩の中には、フォアグラ、トリュフ、縮緬キャベツ等で、凄い重量感があって食べても減らない(笑)、軽薄短小なモダンフレンチの対極にある料理だ、ソースも濃い。決して小食だとは思わないが、それでも今回完食は無理だった、でもこのキュイッソンは完璧、フランスでもなかなか出会えないものだ。おそらく料理長は半羽にするか1羽にするかで迷ったと思う、あえて1羽で出したのは、調理に自信があったからだと推測するが、残念ながら受け手はそのレベルに達していなかった、胃袋を鍛え直したいと思う(笑)。
 デセールは以前より繊細で、甘味を抑える東京風になった印象を受けた、個人的にはこの方向は好みだ。

 今回は料理長の気合に完全には付いて行けなかったが、豪壮華麗で稀有な料理である事は充分理解できた、ただ全体の流れからすると、鳩は半羽でもよかった気がする(笑)。最後は手島料理長と暫し歓談、フランスや東京のフレンチ最新事情を色々と教えてもらった。
 サービス陣に交替があったが、以前と変わらず1990年代のフランス名店の、色気ある濃密なアンビアンスを作ろうとする雰囲気を感じた、この店を夜利用するのは一人ではちょっと寂しい(笑)。
 初日から象に踏み潰されたみたいで、今回の食べ続けはあと4日、最後まで身体が持つのか心配になったが、まずは胃薬を飲み、そのままベッドに就寝する(笑)。 

スポンサーサイト

  1. [ edit ]
  2. フランス料理
  3. / trackback:0
  4. / comment:0


 管理者にだけ表示を許可する
 


プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

訪問者

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

« 2017 08  »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -