最後の晩餐にはまだ早い


西片「石井いり豆店」

 文京区西片にある「石井いり豆店」の創業は明治20年(1887)、因みにこの年に何が起きたかウィキペディアで調べたら、・ヴェルディ「オテロ」の初演・所得税法公布・中央気象台発足・ヴィクトリア女王在位50年式典等がある、同年に生まれた著名人は、バーナード・リーチ、アルトゥール・ルービンシュタイン、マルク・シャガール、ル・コルビュジェ、折口信夫、中山晋平等がいる、「シャボン玉飛んだ」の中山晋平が生まれた年に始まった店が、現役で続いているのは奇跡的だ(笑)。

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 此の店を利用する様になったのは比較的最近で、職場から近く店の存在は知っていたが、店舗が古び暗くて入り難い雰囲気があり、いつも前を素通りするだけだった。ところが「何か適当な手土産を売っている店が、自分が買いに行ける範囲にないか?」と、ネット上で調べていたら、店の豆菓子を推奨している記事を見つけたので、ある日思い切って入店し、豆菓子類を数点買い土産に持って行った処、予想以上に喜ばれたので、それ以来私の定番になった(笑)。2月の関西旅行時もこの店の菓子を持って行ったのだが、概ね好評だったと思う。

 店の人に聞いたのだが、創業当時は店前の言問通りは今の半分位の道幅で、その道に沿って建っていたが、道路拡張に伴い現在の位置にセットバックしたそうだ、残念ながら建物自体は創業時のものではなく、昭和になってから建て替えたらしいが、それでも店内には昔の商家の雰囲気が残っていて、昨年札幌「開拓の村」で見た、明治開拓時代の北海道商家にも似ている。実際住んで居るかは不明だが、住居と製造と販売が同じ場所で、店頭にも機械がありその場で豆を煎っている。

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 店内には商品である豆菓子が数種類平置きしてある、そのレイアウトが簡潔で綺麗、色合や季節感を考えてあり見て楽しい、この画像は2月に撮ったものだが、一番目立つ場所には雛あられが、この少し前には豆まき用の豆が並んでいた。豆菓子がメイン商品だが、他にも「かりんとう」や「あられ」等も置いてある。

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 毎回何を買おうか迷うのだが、「お土産にするので」と云うとキチンと包んでくれる、この包み紙がシンプルながら、「江戸の粋」を感じさせてくれる洒脱さで、とてもいい(笑)。

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 この日買ったのは、まずは「いそふね」と名付けられた豆菓子、誰かが「たこ焼きの味がする」と云っていたが(笑)、海苔と青海苔の香りが特徴的、個人的にはこの店で一番好きな商品。

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 豆ではないが「かりんとう」、今の東京では「麻布かりんとう」や「日本橋錦豊琳」みたいなお洒落系かりんとうが人気だが、それらとは違い昔ながらの駄菓子的印象、私が子供の頃食べていた、上品ではないが遠い記憶を呼び覚まし笑顔になれる味だ(笑)。

 テナント料、人件費、原材料費が上がり続けている今の東京では、レストランに限らず、食べ物を扱う店の入れ替りが激しく、10年どころか5年持てば「長く続いている」と云われる(笑)、それが120年以上続いているのは、本当に凄い事だ。
 「食べ物屋と屏風は広げると倒れる」と云うが、この店は支店も出さずデパートにも出店せず通販もやっていない(筈だ)、商品を買うには実際に店へ行って選ぶしかない、昔ながらの販売方法を貫いているが、それが長続きした何よりの理由だろう、人が食べる物は、その食べ物を作っている人から買うのが最善の方法だ。

 この店がある言問通りの並びには、地味ながら佳店と呼びたい飲食店が並んでいる、根津方面へ向かう隣にはオムライスで知られる「ツムラ」、更にはブランジェリーの「アトリエ・マヌビッシュ」に、ブログでも紹介したアップルパイの「マミーズ」がある。反対方行の白山通りへ向かうと、暴走族みたいな名前の人気ラーメン店「信濃神麺烈士洵名」等があり、隠れたグルメスポットだ。本郷台地を上がると、昔から「西片町のお屋敷街」と呼ばれる界隈になる、東大に近いので学者や医師が多く住んでいて、彼・彼女達に支えられた店が存続してきた、店と客は切り離せない関係がある。
 この近辺に行く事があれば、お土産購入にお勧めしたい店、ただし日曜・祝日が休みなのでご注意を。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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