最後の晩餐にはまだ早い


浅草「エヴ?‘Et vous?’」

 ネット時代になってから、新規訪問店の情報を事前に知る機会が増え、かえって「ときめき」が少なくなってしまったなと思う。
 TVドラマ「天皇の料理番」で、主人公が祝言当日に妻になる女性の顔を初めて見る場面があるが、昔は店と客の関係もあんな感じだった、当たるか外れるかは当日にならないと判らない(笑)。
 今は情報が氾濫し過ぎている、知識だけで何かその店に行った気になってしまい、当日は「事前情報どおりだった」と安心?するだけで終わってしまう事がある。知らなくてもいい事を知り過ぎたために起きる悲哀で、作家の開高健はこれを「知恵の悲しみ」と呼んだ。 
 「そんなもの見なければいいではないか?」と云われそうだが、営業時間やアクセス等、知っていれば便利な事はある、「何かを得るためには、何かを失わなければならない」のは世の常だ(笑)。

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 この日初めて伺う浅草のフランス料理店「エヴ?‘Et vous?’」は、事前情報の少ない店だった、知ったのはやはりWEB情報で、家からあまり離れていないエリアでランチ処を探していた時に偶然見つけた。
 若い料理人夫妻が一昨年始めた店で、カジュアルな雰囲気のフランス料理、店のWEBページにあった、「食べてキレイになるをコンセプトに、あなたのために心を込めた、お野菜たっぷりの料理をお楽しみください」の文句に惹かれるものがあった、「食べてキレイになる」はもう手遅れでも、「心を込めた」料理なら食べてみたい(笑)。

 店の場所は浅草花川戸、浅草寺裏手の馬道交差点の近くで、住宅街にポツンと建っていて、ちょっと判りにくい場所だ。
 入口には南国を思わせるインテリアで、見た目の雰囲気はフレンチよりハワイかバリ島(笑)。思っていたより広い店内は、カウンターとテーブル席に別れていて、この日はテーブル席に座らせてもらった、目の前には地元客だろうか、小さな子連れのママさん2人がランチを食べ始めていた、子供可の店みたいだ。

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 ランチは税込1,200、1,800、2,300円の三種で、予約する場合は後ろ二種から選ぶ事になる。「しっかりと」と名付けられた2,300円の内容は、前菜、パスタ、メイン、デセール、コーヒーor紅茶で、メインは数種から選べるが、私は迷った末にプラス500円の仔羊でお願いする事にした、フランス料理人の実力は、仔羊の調理である程度判断できると思っているからだ。
 厨房は若い料理人が一人、店内は奥様と思しき女性が一人で担当するが、彼女は盛付等もやっていたので料理人出身だと思う。テーブル席が20にカウンター席4、採光が良く明るい店内は気持ちがゆったりし、浅草に居ながら南仏気分になる(笑)。

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 テーブル上のカトラリーはフォーク&スプーンに箸で、ナイフは用意していない。お願いした白のグラスワインは甲州産との事で、銘柄は訊かなかったが品種はたぶんシャルドネ?
 以下に料理を紹介したい、

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・オードブル(豚肉のリエット、イトヨリのエスカベッシュ、カブの冷製スープ&コンソメジュレ、レタス)

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・バゲット&オリーブオイル(浅草のパン屋だそうだが、美味しいバゲット)

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・ソーセージと野菜のスパゲッティ、トマトソース

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・仔羊ロースト香草風味、エシャロットソース、季節野菜

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・ティラミス、バニラアイス

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・コーヒー

 前菜3種はどれも尖らず穏やかで優しい味だが、背後には確かな技術の裏付けがあるのが感じ取れる、ただレタスはいらない気もした(笑)。
 フランス料理だが組み入れてあるパスタは、簡単に云うと「大人のナポリタン」。失礼ながらあまり期待していなかったのだが結構美味しい、この料理人は過去パスタも相当作って来たのだろうと想像する。
 そして期待と不安の仔羊だがこれが良かった。箸で食べる事を想定し、少し強めに火入れしてエマンセ(薄切り)してあるが、微かに醤油みたいな風味を感じるソースに合っている、付け合せの野菜も美味。テイストは「和」だが、フランス料理のテクニックは外していない。
 デセールはちゃんとした仕事を感じさせる良質なものだった、コーヒーも器が洒落ていて味も良かった。

 期待以上の料理でした、値段も料理2,300円+仔羊追加500円+ワイン600円=3,400円ポッキリの明朗会計(笑)、これなら浅草に急増中の外国人観光客でも支払時に戸惑わない。最後に岡部料理長と少し話をしたが、埼玉のホテル厨房で働いていたとの事で、基礎がしっかりしているのは、それで理解出来た。
 食べ歩きをしていて一番嬉しいのはこうした店を「発見」する事で、情報過多の時代には珍しくなってしまった。
 此処はまた来たい店、ランチなら月一でもいいと思った位、浅草に行くなら並んで食べる天丼より、断然お勧めしたい店だ(笑)。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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