最後の晩餐にはまだ早い


稲荷町「キエチュード」(2015年8月)

 食仲間から「稲荷町『キエチュード』で、食事会があるので参加しないか、美女も来る」とのお誘いを受け、そう云われると断る理由はないと、親父心丸出しで参加する事になった(笑)。
 「キエチュード」は今年5月17日に開業し、これで訪問は3回目、江戸時代の吉原遊郭では、同じ相手方に対し一回目の登楼は「初見」、二回目を「裏を返す」と云い、三回目以降を「馴染み」と呼んだ、今でも使われている言葉「馴染み客」は此処から来ている、これで私もこの店に関しては馴染み客になった(笑)。

 上野方面からだと近道もあるが、御利益ある様にと下谷神社の大鳥居の下をくぐって入店する。この日はお盆休み明けの月曜日、飲食店には厳しい日だったみたいだが、こうした日にレストランを利用するのが、本当のグルメと云えるかも知れない(笑)。
 美女と美男?が揃った時点で、爽やかなソーヴィニヨン・ブランで乾杯し、今宵のディネがスタートする、料理は夜のおまかせムニュからで、内容は以下のとおり、

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・ジャガイモ シソ オレンジ

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・フォアグラ カラメル 黒にんにく

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・ムール貝 夏野菜 オリーブ

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・マナガツオ 緑豆 トウモロコシ

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・仔羊 レンズ豆 プチトマト

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・フロマージュ・ブラン ジュニパーベリー

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・桃 ブドウ ホオズキ

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・ミニャルディーズ

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・コーヒー
 
 私はこの店へ6月第1週と最終週の2回訪れていて、一ヶ月半間が空いていたが、料理は少し変わっていて、生硬さが取れてしなやかさが増したと感じた。
 フォアグラは見た目も味も精度の高いもの、野菜料理も洗練度を増し、魚料理は以前塩昆布を塗してソース代わりにしていたが、今回のマナガツオは正統的にバターを使ったソース、塩昆布もそれなりに面白かったが、やはりフレンチはソースあってこそで、今回のスタイルの方が好みだ(笑)。
 肉料理は仔羊ロティ、ニュージーランド産だそうで、コンベクションによる加熱だと思うが、均質に火入れされ、しっとりといい出来になっている、やはり肉は4~5人分位で調理するのがベストだと思う、ガルニのレンティーユの扱いがフランス的だし、プチトマトにはクミンの香りを付して、エキゾチックな風味も出している。
 デセールも良かった、甘さの中に混ぜる酸味の使い方が巧みで味が単調にならない。

 全体的にはライト感覚で、ワーグナーやヴェルディ的な重厚華麗さより、エリック・サティやプーランクのような軽妙洒脱な印象、5,000円と云うムニュ価格を考えると、高級食材はそう使えない筈だが、それでも食べ終わった後には結構満足感があり、料理構成とスパイス等の使い方には非凡なセンスを感じる。以前の記事にも書いたが、荒木料理長はウクライナやモロッコ等、フランス以外のそれも珍しい土地で働いているので、その経験がプラスになっているのでないかと思う。
 この夜集まった美女・美男は、食については相当経験を積んだ人達だが、料理とサービス、店のアンビエンスは概ね好評だったので、私も安心した(笑)。

 荒木料理長は1981年生れ、80年代生れは「ビストロ・ヌー」磯貝、「ジャニコロ」内野、「Bio-s」坂本各料理長と同世代、彼等に共通するのは肩の力が抜けて自然体で飄々と仕事をしている事、そして皆喋りが穏やか、彼等より前の1970年代生れの料理人が、もっとテンション高くしているのとは対照的だ(笑)。
 日本の飲食業の将来については、人材難から悲観的になる事もあるが、少なくとも料理人に関しては、こうして新しい才能が出現している、あとはサービスそして一番必要なのは、もっと客側が成熟する事か、ネット上の店評価点を頼って店回るのは、もう卒業したらどうなのだろう?(笑)

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 この夜はグルメの分野だけでなく、豚の膀胱を蹴った話(笑)等、濃い話が続いて楽しい夜になりました、誘っていただいた皆様、そして素敵な場を提供していただいた荒木料理長とサービス担当の清水さん、ありがとうございました、また伺わせてもらいます(笑)。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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