最後の晩餐にはまだ早い


札幌・ススキノ「サヴール」(2015札幌食べ続け⑦)

 毎年の「札幌食べ続け」ではリピート店だけでなく、出来るだけ新規訪問を一店入れる様にしている、未知の料理人との出会いは自分の視野が広がる事になるし、簡単に云えば「浮気心」でもあるのだが(笑)。
 私の好きなのは夫婦二人で営んでいる小規模店だが、実はこれが東京では少なくなっている、私がフランス料理店に通い始めた頃は、こうした店は赤坂「ビストロ・サンノー」等数多かった、「北島亭」も「ひらまつ」も元は料理人夫妻が中心で始めた店だ、減ったのはPARISでも同様みたいで、これは夫婦の形態が都会から変わりつつあるのでは?と推測するのだが、詳しい事はわからない。
 札幌にはまだこのタイプの店が多くある、その理由を知りたいのもあって、今回は小規模店中心に回る事にした、そして最後のランチに選んだのが、ススキノにあるフランス料理店「サヴール」だった、知人の料理人からお勧めがあった店でもある。

 料理人は金田二朗氏、神奈川出身で箱根、フランス、東京のフレンチで働いた後、札幌の有名フレンチ「ル・ヴァンテール」の料理長を経て、2012年に此の地に独立開業した、一緒に働く奥様はパティシェールで、吉野建氏の「ステラマリス」(小田原&PARIS)で働いていたそうだ。
 店の場所は繁華街ススキノの真ん中、それも雑居ビルの2階なので、これまで訪れた札幌西部のフランス料理店とは、雰囲気がかなり違う。似たビルが多くあり迷ってしまったが、手書き黒板による店の案内を見つけ、やっと店が判った。

        151118-1.jpg

 2階に上り店舗の扉を開けると、眼の前にオープンキッチンとカウンター席、左奥には椅子席があるが、全体的な印象は寿司屋や天麩羅店みたいな造りだ、名前を告げて「カウンター席でいいです」と予約時に言ってあったので、そのまま料理長前の特等席?に座り、料理長に挨拶する。
 ランチメニューは税込2,160円と4,860円の2種で、せっかくなので「スペシャル」と名付けられた後者をお願いした。
 まずは料理から紹介したい、  

     151118-2.jpg
・アミューズブッシュ(帆立のグリエと茗荷)

        151118-3.jpg
・‘Vin en verre ’から選んだのは、奥尻ピノ・ロゼとボーヌ・ゴワ・ヴァニエ

        151118-4.jpg
・南瓜のポタージュ

        151118-5.jpg
・羊アキレス、タン、ネック、脛肉など温かいサラダ仕立て

     151118-6.jpg
・クネル~北海道~(白身魚、帆立貝のムースに甘海老、タラバ蟹、生雲丹)

     151118-7.jpg
・足寄永井ファーム三歳メス馬バラ肉のグリエ

        151118-8.jpg
・選べるデセールメニュー

        151118-9.jpg
・バトン・ド・ショコラ“フランボワーズ”

     151118-10.jpg
・コーヒーとミニャルディーズ

 北海道食材が並んだ料理で、店のコンセプトも「北海道のフランス料理」を前面に打ち出している、全体的な印象では他の札幌のフランス料理店とは、少し味の方向性が違うかなと感じた。札幌フレンチの特徴を一言で云えば、「乳脂肪分を多く使い、豊富な道産食材の本質を崩さない料理」と感じていた、フランスなら北部ノルマンディーの料理に近い印象を持っていた。
 金田料理長は酸味を積極的に使う、この点では東京的だ、例えば東京の料理人が札幌にフェア等で招かれて、道産食材でフレンチを作れと云われたら、これに近い料理になるのでは?とも思った。
 スペシャリテのクネルは、本場リヨンで食べた物よりかなり軽く作ってあり現代的だ、食べ続けだったので別の魚料理にしようかとも思ったのだが、選んで正解だった(笑)。仔羊・鴨の選択もある中から選んだ足寄産の馬肉は、東京で出回る熊本産に較べるとより野趣と旨味がある、これも選んで正解。
 デセールの味、ビジュアル共に秀逸で、このレベルなら東京・大阪の高級店でも通用すると思った。

 サービスの女性が明るく笑顔を絶やさず、邪魔にならない程度に話しかけてきて好印象だった、今東京では慢性的なサービス人材不足だが、彼女なら東京でも人気者になれそうな気がする(笑)、席数21に対して厨房4人+サービス2人はかなり手厚い体制だ。
 金田料理長は一見ラグビーの五郎丸選手似(笑)、気難しそうな印象もあったが、話してみると穏やかな口調ながら、料理に熱い人なのが判る。スタッフに的確な指示を与える姿は、さすが高級店の料理長経験を積んでいると思った。
 雑居ビル内のロケーションなので、店へ入るまで「ときめき感」が湧かないのが少し残念な点だが、料理・デセール・サービスどれもバランスが取れていて好印象、また訪れてみたい店だと思った。

 今回訪れた札幌のフランス料理店は4店、うち2店は料理人夫妻だけ、残りの2店も夫妻が中心になって営業をしている、どの店も家庭的な温かさがあって、夫妻の家に招かれているみたいな安心感があった。家族のあり方が変ろうとする現在、昔ながらの最小単位で店を続けるのは、ある意味古いやり方なのかも知れない、でも料理はやはり「人」だなとあらためて思った、そして店が成熟するには、ある程度の年数が必要だと云う事も理解した、「名店」は一朝一夕では決して出来ないものだ。
 東京とも大阪とも違う、独自の進化を遂げている札幌フレンチだが、私は大好きだ、自分が動ける内は出来れば毎年通いたいと思っている(笑)。

スポンサーサイト

  1. [ edit ]
  2. フランス料理
  3. / trackback:0
  4. / comment:0


 管理者にだけ表示を許可する
 


プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

訪問者

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

« 2017 08  »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -