最後の晩餐にはまだ早い


大阪・本町「びすとろぽたじぇ」(2015年11月)※玉手で移転再開しました。

 大阪の地下鉄「本町」駅近くにある「びすとろぽたじぇ」は、2011年7月に開業したフレンチビストロで、オーナー料理人は肥田親子、父親は有名調理師学校の西洋料理主任教授だった人だ。
 私はGシェフ(店では父をグランシェフと呼ぶ)が在学中から光栄にも知己になる事が出来、生徒でもないのに授業料なし(笑)でフランス料理の疑問について、色々とご教示をいただいた、私にとっては唯一「師」と呼べる人だ。ビストロ開業後も大阪ながら年に一度は訪問し、「鱸のパイ包みが食べたい」「ジゴ・ダニョー(仔羊モモ肉の丸一本焼き)が食べたい」等、まるで実家に帰った時みたいな我儘な注文を出していたが、その毎に応えてくれて、「大阪の我家」と勝手に思い込んでいた(笑)。
 その店が今年一杯で閉まる事になった、涙が止まらない位に残念だが、店側としても色々と葛藤があったと思う、店は開く時も大変だが、閉じる時も難しい、松井秀喜は「ファンの望むプレーを見せられなくなったから」と引退を表明したが、レストランも「客が望む料理を出せないから」と思った時が、「引き際」なのかも知れない。今が絶好調だとしても、来年、再来年、その先を考えるのが経営者だ。

 閉店前に「お別れ&お疲れパーティー」を開催しようと、在阪の食仲間の呼びかけがあり、単身で東京から駆け付ける事にした、忠臣蔵の時代なら赤穂まで早駕籠5日だが、今は飛行機が1時間半で運んでくれる(笑)。
 普段は日曜休みだが、この日は特別にランチタイム営業をしてもらった、集まった参加者は総勢20名で、皆、食に関してはオーソリティーの関西人、私は唯一の東京人として末席を汚す事になった。
 会費制ビュッフェ、着席・立食は各自の判断?で始まったバトルロワイヤルみたいな会だが、まずは料理を紹介したい。

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・自家製ハム&田舎風豚肉のパテ、リエットのカナッペ(奥)

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・人参のサラダ、根セロリのサラダ(奥)

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・フォアグラのブリオッシュ包み焼き

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・コンソメ

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・スズキのパイ包み焼き(他に鱸形のものあり)

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・豚バラのビール煮

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・仔羊のモモ丸焼き

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・ウッフ・アラネージュ

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・デザート各種

この他に画像に収められなかった料理に
・蕪の冷たいスープ
・ウィンナーのパイ包み焼
・ラタトゥイユ
・鰤のセヴィーチェ風

 私がこの店を初めて訪れたのは、開店翌月の2011年8月だが、料理の印象はその時と殆ど変わらない、フランス的に油脂も塩分も多く使って角を尖らせた味では無く、古典に基づきながらも、穏やかで優しく包容力のある「親父の味」だと思う(笑)。
 どの料理もフランス伝統の調理法に沿った手のかかるもの、中でも「フォアグラのブリオッシュ包み焼き」は、伝説的名店のヴィエンヌ「ピラミッド」でも提供されていたが、恐ろしく手間と時間がかかる名品、フォアグラ、ブリオッシュ、コンソメジュレが三位一体となった突き抜けた美味は、暫く忘れられない体験となりそうだ。
 スズキのパイ包みもジゴダニョーも、過去にこの店で体験したが、おそらくはこの日を最後に、日本では食べる機会はもう無いだろうと思うと、涙腺が緩んできた、こうした料理をプリフィクス5,700円で、当たり前に食べていたのだから、罰が当たりそうだ(笑)、「人は失くした時に、失くしたものの大きさを知る」。

 「2ドリンクまでは定額、あとは各自負担」だった筈が、次から次へワインのコルクが開き、オーナー一家の大盤振る舞いは止まらない(笑)。
 店が終わってしまうのも寂しいが、この日の集まりもずっと終わらないで欲しいと思う程に、賑やかで楽しいものでした。パーティーの類は苦手な私だが、「来るものは拒まない」関西人の温かいサービス精神を目の前にして、飛行機と電車を乗り継いで、ここまで来た甲斐があったと思った。

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 店はいつか終わるもの、人の仕舞い方が葬儀で終わるなら、店の仕舞い方もこうして店を慕う人々に見送られ、盛り上がって明るく終わるのも悪くないと思った(笑)。集まった皆様お疲れ様でした、幹事役を務めていただいたH部先生ありがとうございました、仲間に入れていただき感謝します。
 Gシェフ、シェフ親子、そして目立たずにサポートされていた奥様二人には、とりあえずお疲れ様でしたと労いたい、また何処か別の場面で会える事を願っています。

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 店は12月26日まで営業しています、この記事を読んで「行きたい」と思ったら、「キャンセル待ち」位には何とか間に合うかも知れません(笑)。

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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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