最後の晩餐にはまだ早い


綾瀬「手打ちそば重吉」

 私は行きたいフランス料理店があれば、東京に限らず関西や北海道、更にはフランス本国まで出かけるのは苦にならない(笑)、最近は関西にハマっているのでお金の余裕さえあれば毎月でも行きたい位だ。でもこれが寿司や蕎麦となると遠出してまで食べに行こうと思わない、ましてや相当前から予約が必要などと聞くと、それだけで行く気が萎えてしまう、この理由について我ながら不思議に思っていたのだが、最近何となくわかってきた、それは東京下町で育った私には、子供の頃からの感覚として、寿司屋、蕎麦屋は家の近所にあるもので、その日にぶらりと訪れるか出前を注文するのが普段の使い方だとの思いが、身に浸みついてしまっているからだと思う。
 
 昔は情報が少ないと云うより殆ど無かった、浅草に旨い寿司屋や天麩羅屋、千住に旨い鰻屋があったとしても、それを知る事は殆ど無く、ましてやそこまで行く事は考えもつかなかった、我家は大家族であまり裕福ではなかったのもあるが、家族での「ご馳走」はせいぜいデパートの食堂へ行く位だった。
 日本人全体が豊かになり、グルメ情報が氾濫する様になったのは、昭和50年前後からではと記憶している、今まで近所の店しか知らなかった人達が電車に乗って外食に出かける様になった、有名だった店は更に有名になり人が押し寄せ、近所の店は消えていく運命になる、今に続く飲食店の「格差」はこの時代に始まったと思う。

 前置きが長くなったが、我家から自転車で行ける距離に好きな蕎麦屋がある、それが千代田線綾瀬駅近くにある「手打ちそば重吉」だ。雑誌の「東京の蕎麦屋」特集等に時折掲載され、隣駅の亀有にある「吟八亭やざ和」と共に、この界隈では蕎麦好きには割と知られた店だ。
 穏やかな印象の店主は元ミュージシャンと聞く、電動の石臼を店内に備え、これで挽いた蕎麦を昼夜使う分だけ打つ、夜は蕎麦が無くなった時点で売れ切れ仕舞いの店だ。

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 久しぶりに訪れたこの日は平日昼だったので、平日限定のお得な「親子丼ともり蕎麦セット」(1,050円)を注文した、小丼に盛られた親子丼は濃目の甘辛のツユが懐かしく美味しい、これは基本の「かえし」がいいからだと思う、そして「挽き立て、打ち立て、茹で立て」で運ばれてきた蕎麦は以前と変わらず、喉越しと蕎麦の香りに秀でていて美味しかった、この店は蕎麦粉だけの「田舎蕎麦」もあるが、個人的には江戸蕎麦本来のつなぎを使った「二八蕎麦」の方が好きだ、少なくとも冷たい「せいろ」には向いていると思う。
 蕎麦屋の客は概して年齢層が高い、この日も私の他は年配の夫婦と思われる二組、一方は蕎麦が出来るまで静かに日本酒を飲んで待っていた。

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 自分が年齢を重ねたからだろう、最近はまっとうに作った寿司や蕎麦が本当に美味しいなと感じるようになった、特に東京では高い和食店に行く位なら、こうしたあまり有名過ぎず値段も良心的な蕎麦屋や寿司屋を見つけて通いたいと思っている、それが自分の家の近くにあれば、なお嬉しい事だ。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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