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最後の晩餐にはまだ早い


外苑前「フロリレージュ」(2015年11月)  

 今年の3月に、南青山から外苑前熊野神社隣の新築ビル内に移転した「フロリレージュ」、私は4月、6月、9月に続いてこれが新店4回目の訪問で、季節は少し早いかも知れないが、春夏秋冬の料理を全部体験出来る事になる。
 今回は以前からお付き合いさせてもらっている、尊敬するエピキュリアンなご夫妻と、やはりグルメで百科事典みたいな知的女性と同行したので、何時にも増して大人の会話と知力が試されるコンヴィヴィアリテな集まりになった、でもフロリレージュなら不足はない、今の東京で美味しいだけの店なら他にもあるが、此処みたいに席に座っているだけで、知能を刺激されるレストランはそう無いと思う(笑)。
 現地集合は19時、加齢に伴って最近夜遅いのはめっきり弱くなり、本音はランチでも訪れたいのだが、この店みたいに土日の予約が取り難いと、2ヶ月先の平日が休めるかどうかは怪しく、せっかく取れた予約をキャンセルにはしない様に、安全策でディネばかりになってしまった、でも店側が本気出すのは、やはり昼より夜だろうと思うが。

 シャンパーニュとノンアルコール白葡萄泡ジュース(笑)で乾杯、オペラ全曲にも匹敵する、滞在3時間半の料理全品をまず紹介したい、

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・投影  蕗の薹

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・落ち葉  烏賊

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・出逢い  牛 蛤

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・コントラスト  フォアグラ

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・想い  牡蠣 蕎麦

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・包む  海老

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・古来  甘鯛

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・分かち合う  塊肉(茨城産青首鴨)

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・リフレッシュ  蜜柑

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・テクスチャー  柿

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・旬  チョコレート

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・ホオズキのパートフリュイ
・奈良かぶせ茶

 この日はオペラの話題で盛り上がったので、それに因んで例えてみたいと思う。
 軽快な序曲は蕗の薹のフリット、真冬はこれからなのに、イメージは早くも春の息吹(笑)。烏賊はレモンソースで軽やかに、これはソプラノのアリア「私の名はミミ」だろうか。
 続く宮崎産経産牛のカルパッチョは、中にクルトンを忍ばせて、いいアクセントにしている、ソプラノに絡む色男テノールが歌う「ドン・ジョヴァンニ」の二重唱「手を取り合って」。
 第一幕を閉めるのはフォアグラ、重厚なバスがザラストロのアリアを詠唱する、季節の栗が絶妙なオブリガートになっている。
 第二幕冒頭は牡蠣、手打ち蕎麦との二重唱は大胆な展開で、「メリー・ウィドウ」から「唇は黙して」、これを箸で食べる。続く海老はその可憐な姿から、ケルビーノのアリア「恋とはどんなものかしら?」。
 魚は甘鯛、良く行われる鱗を付けたまま焼くのではなく、和食みたいに蒸したフィレ身にブールブランと云う古典的な手法、これは夜の女王のアリアかカルメンのハバネラか?(笑)。
 そして肉料理は茨城産の青首鴨(コルヴェール)、塊肉を客に見せて「分かち合う」儀式?の後、エマンセ(薄切り)して盛付けサルミソースで完成、「鴨が餌をついばむ」をイメージした松の実がいい相性を見せる、真打登場と云う感じで、これは「トスカ」から「星は光りぬ」では?
 終幕はあくまでも軽やかに、ミカンの酸味を効かせた冷菓は「私のお父さん」、続く柿とクレープは「こうもり」の「田舎娘を演じる時は」あたり、そして大団円のショコラデセールは「誰も寝てはならない」、もうこれしかないでしょう(笑)。

 つい悪乗りしてしまったが、フロリレージュの料理はどんな音楽にも合いそうな気がする(笑)、それだけの柔軟性があると思う。従来「絶対的」だったフランス料理の世界に、こうした和食的な相対性を持ち込んだのが、新店舗での川手料理だと云える、これには当然賛否あるが、私は21世紀になってからのフランス料理界は閉塞していたと感じていたので、こうした試みは賛成したい。見た目だけ和を導入したフランス料理店もあるが、それらとは一線を画している、何と云っても食べて美味しく見て楽しい(笑)。
 ドリンクペアリンは他のワイン組が羨ましがる程、前回にも増して面白かった (笑)、此処はある意味大人のアミューズメントパークだ。

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 スタッフに新しい人材が増えたので、サービス担当に尋ねたら、3月までの旧店スタッフは料理長以外では、もう2人しか残っていないそうだ、それでいてこのレベルを維持しているのは凄い。これはメンバーが入れ替わっても、グループのポテンシャルを維持する、「AKB48」みたいな21世紀型と云える。「コートドール」「ラ・ブランシュ」「ル・マンジュ・トゥー」みたいな、料理人とサービスによる不変コンビは、やがて消えゆく20世紀型なのかも知れない、本人達は元気で続ける気はあっても、突然親の介護で止めなければならない時が来るのが現代だ。
 レストランの楽しさは相客によって倍増するという、当たり前の事を再認識した、この店に相応しい、気の利いた会話と大人の振る舞いが出来る様、自分をもっと磨かないといけない、そう思った夜だった(笑)。

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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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