最後の晩餐にはまだ早い


南花畑「そば政」

 「路麺」と云う言葉がある、「路傍の麺」から付けられたと云うのが定説で、元々は立ち食い蕎麦店全般を指していた、東京の場合「蕎麦店」と云いながらも饂飩も提供する店が殆どだが、饂飩だけを提供する店は路麺と呼んでいない気がする。
 また最近は女性や高齢者への配慮から、椅子を備えた店も増えているので、厳密な定義は曖昧だが、大体以下の様な店が路麺の分類になるみたいだ、
・ワンコイン(500円)以下で蕎麦一杯が食べられる。
・原則食券か手渡しで料金前払い、飲料水はセルフサービス。
・丼等を運ぶのは客側が行う、店側の人間は厨房から離れない。
・注文から出来上がりまでが早い。
 要は「安い・早い・旨い」が原則で、サラリーマンには強い味方となる飲食店である事は間違いない(笑)。
 路麺には熱烈なファン達が居て、「ロメオタ(路麺オタ)」とか「ロメンダー」と呼ばれている(笑)、彼等(女性のロメオタ居るのかな?)が書いているブログやサイトも結構あり、私も時折見ているが、これが「ラオタク(ラーメンオタク)」と呼ばれるラーメンフリーク同様に、マニアックな人が多くて面白い(笑)。
 WEB記事を読んでいる内に、私の地元でこうした路麺ファンに賞賛されている店があるのを知った。それが今回紹介する足立区南花畑にある「そば政」だった、我家から自転車で何とか行けそうな距離なので、天気の良い平日休みに出かけてみる事に、店は土日が休みだ。

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 場所は足立車検場の近く、交通アクセスはよくない。一番近い駅はつくばEXの六町駅だが、歩くと30分近くかかる、あとはバスだが、客の殆どは地元民か車検場関係の人間みたいだ、営業時間は朝7時半から15時頃までで、その日分の蕎麦がなくなると早仕舞いするとの事だ。

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 店入口の看板には、蕎麦類の値段が掲げてあるが、これだけ見たら値段安めの街中の蕎麦店と云う感じだ。
 建付けのよくない引戸を開けると、入口直ぐの場所に券売機とセルフの冷水機。「天ぷらが美味しい」とWEB情報にあったので、「天ぷらそば」か「天もりそば」と迷うが、「天丼」の文字に惹かれて、結局「天丼セット」(720円)に決めた。食券を出すと「温かい蕎麦、冷たい蕎麦どちら?」と訊かれたので、もりそばでお願いした。

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 店は夫婦(たぶん)二人だけで営業している、建物は相当年季を積んでいるが、厨房器具等は手入れが綺麗にされている。
 カウンターのみの14席、10時の入店時は半分位の客入りだったが、その後次々と客がやって来て、ほぼ満席になった。車検場関係者だろう、つなぎの作業服を着た男性客も数人居るが、乳児を連れた若夫婦も入店して来て、ちょっと驚く。
 まず感心したのは、天ぷらを注文の毎に揚げている事で、これだけで街中の路麺店で見る、揚げ置きした天ぷらとは次元が違う。

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 短めの待ち時間で出て来たのが、天丼ともりそばのセット、第一印象は「量が多い」(笑)、こうした店ではセット物を頼むと、それぞれが半分の量である事が多いが、此処ではそれぞれが十分に一人前ずつある。

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 まずは蕎麦からで、厨房の奥に製麺機が見えるので、機械打ちながら自家製麺みたいだ、加水率が高めでわりと柔らかな麺、蕎麦の香りはあまりしないが喉ごしはいい。蕎麦粉と小麦粉6:4位の配合だろうか?ツユは辛めの江戸風、WEB情報ではご主人は藪系蕎麦店で働いていたとの事で、藪の流れを汲むものかも知れない。

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 蕎麦だけならそれ程驚かないが、天丼が凄かった。内容は海老(小さいが)2本、キス、イカ、さつま芋、揚げたてを江戸前の黒い丼タレに絡める、辛口の味付けで「江戸前天丼はこれだ!」と思わず膝を叩きたくなる、ご飯の質もいい、この天丼だけで東京都心なら800~1,200円は取れそうだ。

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土瓶に入った「そば湯」

 蕎麦も天丼も「かっ込む」と云う言葉を使いたい程、夢中になって食べてしまった。何処か懐かしい味で、子供の頃に出前でよく食べた、東京下町の蕎麦屋を思い出す。これは予想以上に実力のある店だ、「路麺」のカテゴリーには納めきれないし、そうかと云って、セイロ上に少量の蕎麦が乗った趣味系高級蕎麦店とも違う、でも「また行きたい店」である事だけは間違いない(笑)。

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 この記事を書くにあたり再訪問する事に、注文は同じ天丼セットだが、寒い日だったので「かけそば」にしてみた、麺が柔らか目なので、どちらかと云えば冷たい蕎麦の方が好みだが、でもこれもなかなか美味しかった。
 値段も含めて考えれば足立区が誇れる名店だと思う、ご主人はお年を召しているが、この先も続けて行って欲しい、そう願う店だ。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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