最後の晩餐にはまだ早い


赤坂「古屋オーガストロノム」

 2016年のフランス料理店行脚は、去年7月末に赤坂円通寺通りにオープンした新店、「古屋オーガストロノム」からスタートする事になった。
 この店は有名料理人の独立や、企業が後ろに付いたマスコミ先行型の店ではないためか、開店後半年経過しながらも情報が少なかった。私が知ったのは、たまたまネット上でこの記事を読んだからだ。
http://www.eatpia.com/restaurant/Furuya-augastronome-akasaka-french
 紹介されている料理人の経歴と、料理に対する考え方、そして料理画像にとても惹かれるものがあった。ただ過去にも画像を信じて店を訪れ、パネマジ(笑)で酷くガッカリしたケースもあるので、こればかりは実際に行って、自分の眼と舌で確認するのが一番だ。
 この日、既に訪問済みのグルメ仲間に頼んで席を確保してもらい、まずはランチからと初訪問をする事になった。
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 店は地下鉄赤坂駅を出て、TBS放送センター&サカスを左手に見ながら一ツ木通りを進み、円通寺通りを左折するとすぐの場所、同じ通りには「ととや魚新」「アラボンヌー」「ルスティカネラ」等、有名店を含め飲食店が並んでいる、一時代前の赤坂は赤坂駅南側が飲食店の中心地だったが、現在は北側に移りつつある、利用の主役が国会関係や社用系から街場のサラリーマン&OLに替わり、客単価は低くなったが、ある意味健全化しているのかも知れない(笑)。
 店舗はマンションの一階部分、東京の高級飲食店に共通する、あまり目立たない造りなので、注意しないと通り過ぎそう、木製のドアを開けると右側に客席で、角型テーブルだけの18席、左手に厨房だが現在は古屋料理長一人で料理を担当する。手前の4人席に座るが、テーブルクロスのある店で食事するのは久しぶりだ(笑)、外壁にスリットを切り、嵌め込みガラスから外光が入るので昼間は明るい席だ。
 挨拶に現れたのが、サービスを担当する大柄な年配男性、秋葉さんと云う方で、東京のフランス料理界で約40年サービスを担当、半ば引退していたが、この店の開業時に請われて支配人になったと知る、詳しくは後述したい。
 まずは当日の料理を全品紹介する、

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・アミューズ(鹿肉のパテ、カリフラワーのポタージュ、ズワイガニと共に。)

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・自家製パン(右中はイベリコ豚の背脂から作ったサンドゥー(ラード)でパンに塗る)

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・帆立貝のグリエ、4種の人参ピュレ、黒オリーブとパセリのソース、パンデピスのエマルジョン

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・埼玉県産トップラン卵を66℃で40分火入れしたウフアンムーレット、仏産黒トリュフ添え

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・熊本産天然真鯛のポワレ、縮緬キャベツ添え、軽いカレークリームソース

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・イベリコ豚肩ロースのロティ、シェリーヴィネガーソース、レフォールのアクセント

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・奈良県産富有柿の黒ビールコンポート、ペルノーのソルベ

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・洋梨のキャラメリゼ、ヘーゼルナッツの入ったダコワーズ、ピスタチオとショコラのグラス

 この日は寒かったのだが、アミューズの温かいスープを食べて、「この料理人は、客が何を欲しているか判っている」と思った、毎回同じアミューズを出し続ける店もあるが、個人的には季節によって変えて欲しいなと思う、このスープの提供はいきなり料理人のアドバンテージになった(笑)。
 料理全体は画像で見た印象とあまり変わらなかった、古典に範を取り、背骨が太くて肉厚な料理、流行の低温調理や北欧調の簡潔ドレッセ等とは一線を画し、1990年代の本当に美味しかったフランス料理を思い出す。芯と力ある料理の方向性、ソースを重視し油脂も使いながら、現代的に軽さも出そうとする等、和歌山「オテル・ド・ヨシノ」手島料理長の料理と共通項を感じた、この二人は世代的に近いし風貌も似ている?から話しが合いそう(笑)、一度対面させてみたいなと思う。

 料理人が1990年代なら、サービスを担当する秋葉支配人は1980年代からやって来たみたいな人(笑)、客に話を合わせるのではなく、客を自分のペースに惹き込むタイプ、あの時代の名サービスマンは皆似た雰囲気を持っていた。ネットが普及する前は、情報は圧倒的に客より店側が持っていて、客は料理やワインについて教えを乞う立場だった、今は店より客の方が知識や情報を持っている、ただ実体験を伴わない頭の中だけ先行型だが(笑)。
 話の間の取り方、客側に一歩踏み込んだ含蓄ある話題の振り、相手のレベルを瞬時に判断する感覚等、この方と話していると「お若いの、もっと勉強して来なさい」と云われているみたいで、私はずっと「若造」で居られそうだ(笑)。
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 古屋料理長と秋葉支配人のコンビは、私みたいなフランス料理オールドファンには、堪らない魅力がある。営業中に結構利用問合せの電話もかかって来ているし、マスコミ顔出しの少ない店ながら、やはり美味しいものを知っている人は見逃さない(笑)。
 新年早々の佳き店との出逢いは、今年がいい年である事の前兆と思いたい(笑)、また訪れたい店になった。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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