最後の晩餐にはまだ早い


大阪・阿波座「アニエルドール」(2016関西食べ続け⑥)

 「コーイン」「オテル・ド・ヨシノ」と、関西では東西両横綱級の店を訪れた後、この2店を超える店はもう思い付かず、今迄毎年訪れていたビストロは閉店しているので、このまま東京へ帰ってもいいかなと思ったが、毎年同じ行動パターンだと進歩がない(笑)、今回は「若い大阪」も体験しておこうと、関西食べ続けの後半戦は2軒のフランス料理店を選んでみた、両店共に若いオーナー料理人で開業後まだ数年の店だ。
 まずは西区阿波座駅近くにある「アニエルドール」からで、開業は2013年8月、料理人は藤田晃成氏、名門調理師学校卒業後渡仏、バスクとノルマンディー地方、最後はリヨンで働いた後に帰国し32歳の若さで開業した、夜でも5,500円のおまかせムニュ1種だけの提供で、すぐに人気店になった。
 私は一年前にある食事会で偶然藤田料理長と会い、少し立ち話をして「今度お店へ伺いますから」と約束していたが、一年経ってやっとそれが果たせる事になった(笑)。

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 店の場所は市営地下鉄の阿波座駅から歩いて5分程、近くには「靭公園」と云う大きな公園がある、ビジネス街なので夜は寂しい雰囲気になるが、その中にある明るい外観のこの店は、新しい事もあって爽やかな外観を見せている。
 ドアを開けるとすぐオープンスタイルのキッチンと客席、フルフラットで段差も仕切りもなく、青山「L’AS」の旧店舗と似ている。客席は12席でカウンターはない、19時の入店だったが既に満席だった、Tシャツ姿の藤田料理長に挨拶し、2人用卓に着席する。

 まずは当日の料理を紹介したい、現在ムニュは6,800円になり、コーヒー等の飲料は別料金。

        
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・安納芋とフォアグラ

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・ヨコワとチョリソー

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・鳥取次郎猪、原木椎茸、ワサビ

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・烏賊、鱈”子“、菊芋、柚子

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・珍しいコルス(コルシカ島)産のピノ・ノワール

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・和歌山産鴨、キャベツ、白インゲン、根菜、“ガルビュール”

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・本日の鮮魚(鳥取活け〆真鯛)、貝、海藻

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・スペイン産鶉、海老、人参、レモングラス

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・イチゴ、蕎麦、フロマージュ・ブラン

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・カカオ、牛蒡、柑橘

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・ミニャルディーズ
・コーヒー

 料理全体の印象は、まず細部までとにかく手をかけていると思った、厨房は料理長を含めて3人でサービスも兼務する、この少数精鋭で此処までやるの?と心配したくなる程にディティールをおろそかにしない、一皿の構成要素も多い。
 味付けは初め浅くてそれから徐々に盛り上げるタイプ、東京の嗜好より若干塩が浅いなと東京人の私は感じたが、大阪のビジネス街で営業し、この夜もそうだが女性客が中心となると、これ位が好まれるのだろう。
 バスク、ノルマンディー、リヨンで働いたと聞くと、もっとコテコテの料理と味付をイメージするが、そこは若い感性で咀嚼し、今の日本に合ったコンテンポラリーな料理にしている。特に魚介類の扱いと火入れは繊細で、さすが関西の料理人だなと感心した、デセールも見かけも味も凝っていて楽しめる。
 反面、全体的にもう少し食材を減らして、何が中心なのかをハッキリさせた方が食後感はさらに増すのでは?とも感じた。ただこれは、直前に行った超重量級フランス料理2店との比較なので、そう思うのは多分私だけかも知れないが(笑)。
 若い料理人は何でも試してみたくなるもの、若さも体力もあるので睡眠時間を削ってでも自分のやりたい事をしがちだ、始めはそれでいいと思う、やがて「引き算」を覚えて行くのだが、これは誰かに言われたからと直すのでは駄目で、まずは自分が「これは必要ない」と考え納得して初めて引き算が成立する。今回では「オテル・ド・ヨシノ」の手島料理長の料理が、皿の上から余計な物を飛ばし始めた印象を持った、彼が40歳なので、藤田料理長もあと5年位経って、料理がどう変わっているのか楽しみだ(笑)。

 満席の客達が引けた後、藤田料理長と色々と話をした、4月からスタッフが2人増える事、将来はオープンキッチンからクローズスタイルのレストランに変えたい意向、そして星も欲しい事(笑)等、これからの抱負を語ってくれた。
 レストランは変容していくものだ、ミサイルみたいな早さで進んでいる現代社会、レストランだけ十年変わらず同じ事やっていては時代に取り残されるだけ、人々が外食に求めるものも急速に変化している、経験も大事だが時代と共に走れる若い感性と体力は必要だ、藤田料理長には大阪を牽引する意気込みで走ってもらいたいなと思う。
 この日は一人ディネだったが、料理長とスタッフ達のおかげで楽しい夜になりました、お気遣いありがとうございました(笑)。
 

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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