最後の晩餐にはまだ早い


大阪・北新地「グランシャン」(2016関西食べ続け⑧)

 大阪最後の夜は、以前からお付き合いさせてもらっている、尊敬する関西食のオーソリティー二人と同席出来る事になり、大阪を代表する繁華街北新地にあるフランス料理店「グランシャン」に集まる事になった、私は初訪問になる。店のオーナー料理人は太田浩氏、日本ではホテルダイニング出身、その後渡仏し、カンヌの名店「ムーラン・ド・ムージャン」やPARISの「ロブション」、更にはロンドンやスイスでも働き、計8年を欧州で過ごし帰国、2012年5月に開業した、店名は名字に因み「大きい田」の仏語訳。
 ホテル時代には大阪「コーイン」の湯浅、京都「MAVO」の西村両料理長と働いたそうで、その興味からも以前から訪れてみたいと思っていた店だ。

 北新地は過去天ぷら店へ行くため何回か来た事あったが、すべて昼間で夜は初めて、雨の中を地図見ながら歩いていたら道に迷ってしまった(笑)、こうした時にスマホがないと自分が居る場所が判らなくなる、仕方なく店に電話したら、マダムが道順を丁寧に教えてくれた、忙しい中ご迷惑をおかけしました。
 店はBARが多い雑居ビルの3階、歓楽街中のビル階上となると、札幌ススキノのフランス料理店「サヴール」とロケーション的に似ている。少し前なら夜咲く花や蝶が毎夜舞っていた場所だろうが(笑)、長引く不況のせいか静かな気配だ、ドアを開けると笑顔で迎えてくれたのが電話で対応してくれたマダム、コートをあずけて客席に案内された。
 カウンターだけの8席、この夜は土曜夜という事もあり満席だった。先着の二人に挨拶をして始まった新地ディネ、まずは料理を紹介したい。

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・アミューズブッシュ(グジェール、クレソンのフィナンシェ)

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・コンソメジェルミニ、オゼイユ

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・高知のフルーツトマトと車海老のタルタル、キャビアを添えて

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・2種のカネロニ(蟹とマッシュルーム、ほうれん草・イカ)

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・ラパンと魚介のソーセージ、パイ包み焼き

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・ブルターニュ産コート・ド・ヴォーのロースト

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・フロマージュ2種

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・ヴァンショーのシャーベット

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・色々なショコラのヴァリエーション、キャラメルとグラスを添えて

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・ミニャルディーズ
・アンフィージョン

 料理全体の印象は、やはり「コーイン」と共通な傾向を感じた、主役がハッキリしていて料理の背骨がしっかりしている、欧州での8年は大きなキャリアになっていると思う、お客として研修生で行っていた訳ではなく、重要な戦力になっていただろう事は想像出来る。モダンスパニッシシュや北欧色に染まっていない頃の、正調フランス料理と云う印象。
 最近の東京ではまず出る事ないコンソメジェルミニは「固めていない茶碗蒸し」(笑)、ベースのコンソメがしっかりしているので美味、「ラパンと魚介のソーセージ」はこの日一番印象的だった料理、「黄金の1990年代」を思い出すみたいな古典ながら、食べてみると決して古さを感じさせない。
 肉料理のコート・ド・ヴォーも的確な火入れにより、次元の高い皿になっている、料理全体に何処か南仏を感じさせるのが、この料理人の特徴かも知れない。
 料理全体のクオリティの高さに比して、デセールが少し弱かった印象がする、でもこの狭い厨房で、熱い料理とコールドを作るとなると、おのずと限界があると思うが。

 痩身の太田料理長は、大阪の料理人としては珍しく寡黙なタイプ、半袖のコックコートを着て、柳刃みたいな細い包丁を持つ姿は一見寿司職人みたいに見える、「桜花」の森田料理長と並んだら、殆どの人が森田氏の方をフレンチ料理人だと思う筈(笑)。全て客の目の前で作業をするが、食材の扱いや盛付等とても丁寧で余計なノイズが聞こえない、勿論スタッフを注意叱責する声もない、これはオープンキッチンでは必須だと思うが、それが出来ない料理人が居る。スタッフは料理長とマダムの他にサービス兼任の男性2名、計4名で8席の客を相手するので手厚い体制だ。
 これは料理とは直接関係ないが、新地と云う場所の特殊性について、よく東京銀座と比較されるが、私が夜行き帰りに歩いた印象では、銀座だけでなく新宿歌舞伎町や𠮷原のエッセンスも加わっていると思った(笑)、人間の根源的な欲望が渦巻く街、訪れる客層もかなり特殊であろう事は想像出来る。余計な事かも知れないが、この街で将来も今のスタイルでフランス料理店を続けていくのは、最良の選択なのかとなると少し不安も感じた。おそらく太田氏もそれは判っているだろうと思う、やがては次のステップがありそうな気がする、その時料理がどう変わっているのかも楽しみだ。

 食の同士二人との会話は何時にも増して濃かった、アウェーの私は静かにしているつもりでいたが、どうも料理それも20世紀のフランス料理の話になると、つい口角泡を飛ばして喋ってしまう(笑)。
 楽しい夜になりました、何処かでこの続きをまたやりたいものです、太田料理長ありがとうございました、次は街がもっと静かなランチタイムにでも、こっそり伺いたいと思います(笑)。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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