最後の晩餐にはまだ早い


麻布十番「ピッツェリア・ロマーナ・ジャニコロ」(2016年3月)

 去年新規訪問した店の中では、料理とデザートが鮮烈だった点で三指に入れたいのが、麻布十番のイタリア料理「ピッツェリア・ロマーナ・ジャニコロ」、ようやく2回目の訪問が出来た。
 今の東京は次々と新店が登場するので、定期的に訪れていた店に「行ってみたい店」を加えると、次の訪問が前回から1年以上経っていたと云う事もありがちだ、更には「今度行こう」と思っていたら、何時の間に閉店していたと云うケースもある(笑)。それだけ店の数に客の数が足りていなくて、熾烈な競争状態になっている。これからは決まった数の客を取り合うのではなく、今までレストランに来なかった客層を開拓する必要がありそうだ、少ないながら「子連れ客OK」の店も現れているのは、店側がそうした点を考慮して来たのだと思う。

 前回は予約しないでフリの訪問だったが、今回は前日に予約して行く事に。花粉症が酷くてマスクをしていたが、ガラス入りドアの前に立っただけで、オーナー兼サービスの渡邉氏が気付いてくれた、さすがは高級店の青山「サバティーニ」出身だけあって、一度でも来た客を忘れていない(笑)、プロは顔だけでなく身体全体の雰囲気で覚えるらしい。
 厨房に近い席に案内されて内野料理長に挨拶する、今回も前回同様に通常のランチメニューではなく「おまかせ」で事前にお願いをしていた、その内容は以下のとおり、

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・アーティチョークの世界

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・ローマ近郊の白、ソーヴィニヨン種

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・マテ貝と白いんげん豆

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・香草を巻いた豚のロースト、ポルケッタ

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・オーナーが見せてくれた、一本焼き上がった状態

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・桜海老と蕗の薹、ドライトマトのスパゲッティ

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・苺のスープに溺れた水牛のモッツァレラ・

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・チョコレートのヴァリエーション

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・エスプレッソとキャラメル(もう一品あったが画像撮り忘れ)

 アーティチョークは伊語で「カルチョーフィ(Carciofi)」、ウィキペディアによると15世紀のナポリ近辺で本格的に栽培が開始され、その後ヨーロッパ全土に広がったとあるので、イタリアが本家本元になる、アスパラガスと同じく春を告げる野菜、フリットがまるで筍の天ぷらみたいで「春が来た」と思った(笑)。続くマテ貝と白いんげんの料理は野菜の扱いが秀逸。
 肉料理は豚の三枚肉をロール状に巻き、蜂蜜と白ビネガーで調味しながらローストしたと聞く、あとで夜用に焼いたものを見せてくれたが、この艶は頬ずりしたい程(笑)。古代ローマ時代には蜂蜜をよく料理に使ったと文献で読んだが、この料理も古代にルーツを辿れるのかも知れない。味は酢豚みたいに甘味と酸味のバランスで豚脂身の旨さを引き立たせる料理、添えられた野菜も美味だし、何を食べさせたいのか明確で「こんな料理が食べたかった」と思わず膝を打ちたくなる(笑)。
 これで終わりかな?と思っていたら、通常のイタリア料理の順番をあえて外して出たのが桜海老と蕗の薹のパスタ、海老の出汁が細いスパゲッティーに絡まり病み付きになりそうに旨い、乾麺でこれだけ感嘆したのは初めてかも知れない(笑)。
 ドルチェが美味しいのも特筆すべきで、この日の2品は客単価2万位の高級店で出しても通用しそうと思った、内野料理長が全て作るそうだが、優れた料理人脳とパティシェ脳を両方持てる人は意外に少ないものだ。

 内野拓料理長は1980年生れ、調理師学校は出ておらずイタリアでの修行歴もない、学生時代にアルバイトで飲食に関わった事から料理に興味を持ち、青山「サバティーニ」で料理人歴をスタート、そこでサービスをしていた渡邉氏と出会い、この店をオープンして5年になる。
 マンガが大好きで尊敬する人は鳥山明と公言するこの料理人、ポロシャツを着て料理する姿は現在でもアルバイト学生に見えなくもない(笑)、決して広いとは言えない厨房で作るのは、人真似でなく皿の上で小さくチマチマとしない料理とドルチェ、何か突き抜けているものを感じさせる、これは新世代の新感覚料理人が現れたなと思う (笑)。
 独立するにあたって、内野氏をパートナーに選んだオーナーの渡邉氏の眼力も凄い、前回来た時はこの料理人の実力ならピッツェリアではなく、十分リストランテで通用する筈だが?と思ったのだが、今回少し考えを改めた、1,000円のピッツァランチも出すし、客の要望次第ではこうした本格的なメニューも同時進行で対応できる柔軟性、これから東京で生き残るのは、こうした店なのかも知れないと思った。

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 レストランでは初回の訪問で良くても、再訪問では「前回の方が良かったな」と思う事は多い、これはファーストインプレッションの新鮮さを超える事が難しいからではと思うのだが、今回再訪問して前回の料理印象を更に上回った、それだけこの料理人には将来性がありそう、現在第二店も計画中との事で、今後ますます楽しみな店になると思う、「グリグリ」「コティディアン」もあるし、やはり麻布十番に住みたい(笑)。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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