最後の晩餐にはまだ早い


新橋「スブリム」(2016年4月)

 気儘なリタイア生活が何時まで続けられるのかは、預金残高の減り具合次第だが(笑)、平日昼間に動けるのはありがたい、レストラン特に人気店はランチタイムが狙い目だからで、まずは予約が取り易い、次いで価格面でお得だ、更にはブロガーとしては昼光の方が綺麗な写真が撮れるし、帰りの電車では大抵座って帰れる(腰の悪い私には、これが一番ありがたい(笑))と良い事が多い。
 この日、身内から退職と誕生日の祝いランチをしようとの提案があり、何処へ行こうと悩んだのだが、結局皆のアクセスがいい新橋の「スブリム」を選んだ、私は2回目の訪問になる。
 昨年10月30日に開店し私は翌月訪れている、1982年生れの若い料理長の料理は、フランスに北欧テイストが混ざった感覚で、面白さはあったがムニュ内の繋がりに少し硬さも感じた、経験豊富な山田オーナーが居るので、そうした点が5ヶ月経ってどう変化しているのかに興味があった。

 初めてレセプションに訪れた時は道に迷ったが、3回目それも昼間だと迷わない、店を通称「マッカーサー道路」と呼ばれる環状2号の北側ではなく、道を挟んだ南側にしたのは正解だったと思う、雑多な飲食店街を抜けて少し歩き、更には店前には神社と公園があるので、俗な環境から意識が逃れられるからだ(笑)。
 12時丁度に入店するが同時に1組来店、その後も来客があり、個室以外の4つあるテーブルは埋まった、レストラン飽和状態の東京で、平日昼席ながら好調な集客ではないか、既に料理マスコミ等でも注目され始めている。

 山田オーナーと加藤料理長に挨拶し、魚&肉料理両方ある6,500円(一方だと4,500円)のムニュをお願いする、料理は以下のとおり、 

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・ロイロム モルト

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・蕪

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・紀州うすい 自家製フレッシュチーズ

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・「エスキス」のパン・ド・カンパーニュ

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・アオリイカ セロリ パセリ

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・フランス産リ・ド・ヴォー アスパラガス

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・和歌山産ヒラスズキ オニオン 牡蠣 タラゴン

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・オーストラリア産仔羊背肉 スモーク

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・苺 ナッツ エルダーフラワー

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・栗の蜂蜜(フィナンシェ)

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・エイブルスキーパー
・エスプレッソ

 ロイロムは北欧で使われる白マス卵の事、鶏卵殻型容器に入れたのは蕪のポタージュ、「紀州うすい」は和歌山産のえんどう豆、これを自家製チーズと合わせ銅鑼鉢みたいな和の器に入れた前菜は、特に印象的な一品だった。
 イカとセロリは相性のいい組み合わせだが、スライサーで削った薄いセロリが面白い。油の中でコンフィ状に火を入れたと説明あったリ・ド・ヴォーは、関西で使う「油かす」みたいな食感、旬のアスパラガスが美味。
 料理長は和歌山で働いていた縁で、和歌山産の食材をよく使うが、ヒラスズキの食味感は抜群、低温調理ではなく皮目も身もしっかり焼き旨味を引き出している、牡蠣ソースも相性よかった。
 豪州産仔羊はポピュラーな食材だが、柔らかく火入れし、スモークした事により一段グレードの高い料理になっていた、上に乗せた苦味のある黒キャベツも効いている。
 デセールは割とあっさり目で、味的にはもう一工夫欲しいかな?とも感じた、最後の北欧風エイブルスキーパーは、日本のタコ焼き器で焼いたそうだ(笑)。

 ムニュ全体では前回より料理間の繋がりがスムーズになった印象、フランスと北欧がたまたま同席していた感じから、より融合して来たと思った。日本、フランスとデンマークで働いた料理人が日本へ帰り、学んだものを咀嚼して自分の料理にする、私は北欧のレストランは未訪問だが、加藤氏の料理は随所に「ああ、これは北欧のエッセンスだろう」と感じさせるものがある、少ない構成でピュアな美味しさを食材から引き出そうとするのは、和食にも共通性がある。
 前記事の「古屋オーガストローム」とは対照的だが、それぞれ存在感のある料理、こうして欧州最前線から帰って来た料理人達が東京の第一線で活躍し始めると、客としては嬉しいが、既存のレストランにとっては脅威でしかない(笑)。

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 失礼ながら一見茫洋として掴み処のない印象の加藤料理長(笑)、「項羽と劉邦」なら劉邦タイプだが、彼みたいな人が結局勝者になるのかも知れない、彼以下の厨房スタッフも皆若い、これからも料理は進化するだろう事は間違いないと思う。
 オーナーになって、すっかり貫録のついた山田氏も、不可思議なジョークは減ったが(笑)、これから東京を代表するオーナー兼ソムリエとして活躍してくれるだろうと期待している。
 気になった点だが、店内が少々殺風景な事、これが北欧調なのかも知れないが、レストランならもう少し「ときめき感」が欲しい気がする、進化が期待出来る店なので、次に店がどう変わっているのかも楽しみだ(笑)。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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