最後の晩餐にはまだ早い


映画「二ツ星の料理人」

 6月11日に全国公開される、料理人とレストランをテーマにした映画「二ツ星の料理人」、ありがたい事に試写会に参加する事が出来、先日飯田橋にある配給先の(株)KADOKAWAの会場で公開前に観させてもらった、なかなか面白い内容だったので、このブログで紹介したい。
 ただ「映画を観る」と決めている人には若干「ネタバレ」になるので、読まない方がいいかも知れない(笑)、「観ようかどうか迷っている」人にはご参考までに。
 まずは簡単なあらすじからで、

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 パリで外国人ながらミシュラン二ツ星を獲得していた凄腕料理人が、酒・女・薬で身を持ち崩した末に忽然と姿を消した。死んだとも思われていたこの男が、3年経って現れたのがロンドンだった、その間ずっとアメリカ地方都市のレストランで牡蠣の殻剥きをしていたのだ。
 パリ時代のレストランオーナーの息子が開いたフランス料理店を訪れ、「自分を雇えば、この店をミシュラン三ツ星にする」と云い張って、半ば強引にシェフの座に就く。
 パリ時代の同僚、街場で見つけた女性料理人達を集め、いざ三ツ星店へなるため邁進するのだが、3年間には料理界のトレンドも調理技術も変わっていたので、なかなか思い通りに仕事が進まない、彼に付いて行けないスタッフに苛立ち、調理場で怒鳴り散らし皿を投げる等、散々なスタートになってしまった。
 その後何とか体制を整えマスコミの評価も上がるが、パリ時代から引きずっていた私的トラブルに見舞われる、そんな時店に現れたのがミシュラン調査員らしき男性二人客、料理長は大慌てで彼等に料理を出すのだが、果たしてその評価はどうだったか、三ツ星は取れるのか?
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 以下は個人的感想で、
 「ミシュラン評価は絶対」「三ツ星になれるためなら何でもする」みたいな価値観は、もう十年前に終わったと思うが、それでも「三ツ星」をメインテーマにしないとこの映画は成立しなかった、その点では上手く筋立てをしている。
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 主役の料理人アダム・ジョーンズ役を演じるのが米国人俳優ブラッドリー・クーパー、デビット・ベッカムにアンディ・ガルシアを混ぜたみたいなイケメンなのが、ちょっと現実離れしているが(笑)、この役に必要なダーティでキレやすい料理人らしさは出ていた。
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 共演者では、シングルマザーの料理人エレーヌ役のシエナ・ミラーがとても良かった。料理する演技は本気度が漂っている。
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 厨房の臨場感を出すためのセットや調理道具等は本物、TVと映画を較べてはいけないが、「天皇の料理番」のセットとはだいぶ違う(笑)。主要配役以外の調理スタッフは全て料理人を使い、キャスト全員がこの映画のために、実際に長時間厨房トレーニングを重ねたそうで、この辺りはプロの料理人が見れば私以上に感心する筈だ。
 主人公は、実在の英国人料理人ゴードン・ラムゼイをモデルにしたとの事、彼の下で働いたマーカス・ウェアリングが映画のチーフコンサルトなので、この本物感が可能だったと思う。
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 これもし日本映画なら、主人公のパリ時代のエピソードや、アダムとエレーヌの関係について、もっと時間を取りウェットな感情を入れようとするのだが(笑)、それは必要最小限にして、判り易いエンターテインメントにしたのが成功したと思う、一言で云えば「フィクションの面白さ」だ。
 あまり詳しく書けないが、映画の結末が、日本的な「和を以て貴しとなす」みたいになるのがちょっと意外な感もあったが、今世界中に欠けているものがこれなので、かえって受けるのかも知れない。
 あえて言えば、原題の‘ADAM JONES AT THE RESTARANT’を「二ツ星の料理人」にしたのが、映画の内容から考えると、もう一捻り欲しかった気もする(笑)。
 特に料理人、レストラン関係者、レストラン愛好家には観て欲しい、お勧めしたい映画だと思う。

・「二ツ星の料理人」
6/11(土)より全国ロードショー
配給:KADOKAWA
公式サイト:http://futatsuboshi-chef.jp/ ・ここで予告編が見られます。
Artwork © 2015 The Weinstein Company LLC. All Rights Reserved.

※なお今回のブログに掲載した映画のスチール画像は、㈱KADOKAWA映像営業部から提供を受け、ブログへの掲載許可を得ています、画像等の無断転載はおやめください。
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オンクレ・トシ

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一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
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