最後の晩餐にはまだ早い


外苑前「フロリレージュ」(2016年6月)  

 2ヶ月前の話だが、十年近い付き合いになる北国の友人から電話があり、「6月東京に行くからランチをご一緒しましょう、toshiさんがよく行くイケメンシェフの店って、予約取れるのですか?」との事、「イケメンシェフ」は自称を含めると何人も居るので(笑)、誰の事か?と思ったら、外苑前「フロリレージュ」の話だった。
 「取れるかどうか訊いてみるけれど、もし駄目なら違う店で」と答えたが、今回は一度で電話が繋がり、意外にもあっさりと予約が取れた、あの友人は常に陽のあたる道を歩いて行けるような運を、きっと「持っている」に違いない(笑)。
 2ヶ月は意外に早くやって来るもの、前日に関東地方の梅雨入りが伝えられたこの日、直前まで「塩生姜ラーメン」を食べていた(笑)友人と外苑前駅で待ち合せ、向かうは熊野神社横の「フロリレージュ」、私は今年2回目の訪問だ。
 階段を降りてレセプションの女性に案内され、一番奥のカウンターに着席する、此処は料理長のポジションから一番近い「かぶりつき席」になる(笑)。川手料理長に挨拶し料理が始まるが、今回初訪問の友人に合わせて、通常のランチメニューではなく、11品+αのディナーメニューを事前にお願いしていた、内容は以下のとおり、

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・投影、蕗の薹

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・芽吹き、アスパラガス

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・旨み、骨髄

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・初夏の予感、鮎

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・到来、鮑

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・花ズッキーニ

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・甘鯛の漬け物

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・分かち合う(岩手産ホロホロ鳥)

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・テクスチャー、キャラメル

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・異国情緒、マンゴー

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・旬、よもぎ

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・奈良かぶせ茶
・苺のパートフィロ

 アスパラと牡蠣を使った前菜は、見た目の美しさと味の積層で唸らせる、続く経産牛の料理はまるで上品な麻婆豆腐(笑)、季節の鮎とフォアグラは絶妙な相性で、次の鮑は旧店舗時代の「鮑のビゴリ」の進化系、そしてズッキーニと仔猪はこの日私が一番感心した料理で、和歌山から来た食材を使いながら、優れた「トキオ・キュイジーヌ」にしている(笑)。
 粕漬にした甘鯛をフリットにした魚料理の後は、店のスペシャリテである岩手石黒農場のホロホロ鳥、私は前店から通算すると3回目だと思うが、その都度料理が進化している、決して自作のコピーでは無い(笑)、今回はレバーを使ったソースが秀逸で、やはり創作系でもフレンチならソースが重要。デセールもパティシェールが参入してから、移転時よりレベルが上がって来ている。
 私の席が料理長から近かったので作業を見ていたが、この人は本当に料理が好きなのだなと思った、最後には飴細工みたいな物を試作していたが、その眼はまるで子供が泥団子を作る時みたいに輝いていた(笑)。

 川手料理長は前週スタッフ数人を連れて台北に出かけ、台湾出身で話題の料理人アンドレ・チャンと、彼の店「RAW」でフェアを開催して来た、現地の反響は大きかったそうだが、参加したフロリレージュのスタッフ達も、台湾の潜在的なパワーに圧倒されて得る処が多かったとの事だ。自店の名を知ってもらうだけでなく、スタッフのスキルを高めるためにも、こうした試みはいい事だと思う。この種のフェアには料理長一人で行くケースも多いが、その場合自店はスーシェフ以下に任せる事になる、川手氏みたいに店は閉めスタッフも連れて行くのと、どちらを選ぶのかは料理人の考え方次第だが、一利用客としては店へ行ったら、料理長はやはり居て欲しいなと思ってしまう。
 この日のオープンキッチン内は、人が多く見慣れないスタッフもいたので、ソムリエに尋ねたら、台北「RAW」のスタッフが数人研修で来ているそうだ。隣席には韓国人の料理人らしき二人組、個室には欧州系の外国人団体と、すっかりグローバルダイニング状態(笑)、それでもレストランとして違和感がなかったのは、フランス料理をベースに和の精神を感じさせる料理が、以前からブレていなかったからだと思う。

 退店時にもレセプションで料理長と少し話をさせてもらい、以前から聞きたかった事を聞いてみた、それは「これだけ人気店になると〇〇〇〇みたいに、第2店を出す話にならないのですか?」だが、それには「話はあります、でも(自分が)両方居られないし、僕は料理作っているのが一番好きですから」、つまり誰かに任せるより、自分の店は自らの目が届く範囲で仕事をしたいとの事で、この言葉に店の真の実力と人気の一端を、あらためて知った思いがする。
 北方の友人も期待以上に満足してくれたみたいで、同じキュイジニエとして思う処あったらしく、この夜は寝付けなかったと後で伝えて来た、本人は「食べ過ぎだ」とは云っていたが(笑)。
 川手料理長、札幌話に無理矢理参加させてしまったスーシェフの田原氏、ユニークで且つ楽しいペアリングを考えてくれた、ソムリエの廣田&中村両氏とスタッフの皆さん、ありがとうございました。
 何時かまた行ける様に、「フロリレージュ貯金」を今から始めたいと思う(笑)。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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