最後の晩餐にはまだ早い


新富町「メゾン ミッシェル」

 パリ北駅近くに「サン・ヴァンサン・ドゥ・ポール」と云う、いたって地味な外観の教会があるが、その前の建物に入っているビストロ「シェ・ミッシェルChez Michel」は、ブルターニュ地方出身の料理長が経営する人気店だ。
 私は1999年と2001年の2回利用し、特に初回の舌平目料理は、過去フランスでの魚料理ベスト3に入れたい程秀逸だった。「パリでこんな旨い魚料理が食べられるとは驚き」と認識を変える程だったが、どうやら日本人料理人が料理したのではないかと思っている(笑)。
 シェ・ミッシェルは日本人料理人を受け入れてくれる店だった、現在は当局の取締りが厳しくなったが、以前は料理人達が「パピエ」と呼ぶ労働許可証が無い状態、つまり「モグリ」でも働かせてくれた時期があったみたいだ、東京の某三ツ星店の料理長も居たと聞く。
 そのシェ・ミッシェルで働いていた料理人達が日本に帰って来て、オーナーシェフとなり自店を開業している、京都「コム シェ ミッシェル」、東京銀座「シンバ」がそうだが、今年4月に中央区入船の「メゾン ミッシェル」が加わった、昼営業もしているので「これは行かないといけない」と思い、平日ランチタイムに伺う事にした。

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 店の場所は地下鉄なら有楽町線の新富町駅が一番近い、日比谷線では八丁堀と築地の中間程、私は八丁堀から歩いたが5分位だった。事前情報で見ていたが新しいビルの2階で、階下には蕎麦店、それも立ち蕎麦チェーンと云う珍しいロケーションだ(笑)。

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 2階に上ってドアを開くとそう広くはない店内、サービス担当の女性に名前を告げてカウンター席に座らせてもらう、テーブル席と合わせても16~18席位、前日すんなり予約出来たので、空いているのかな?と思っていたが既に満席、平日昼なのもあるが、女性それもかなり高年齢の方が多かった。

 ランチメニューは1,500、2,500、3,500円(税込)の三種で、予約する時は2,500円以上が必須、折角遠くから?来たので、魚・肉両方含む3,500円の方に決める。

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 前菜とメインは手元の印刷メニューと季節の黒板メニューから選ぶ、「伊勢海老の一尾丸ごとロースト」(+3,600円)には惹かれたが、諸般の事情で割愛し(笑)、選んだのは以下の料理。

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・アミューズ(豚のリエット、白バイ貝)

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・ドメーヌは忘れたがソーヴィヨンブラン種の白ワイン(750円)

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・スープ・ド・ポワソン(帆立、イカ、ソバの実が入った鮮魚のスープ)

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・アナゴの蒸し煮と茄子、枝豆、バルサミコソース

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・ハーブ豚肩肉のロースト、季節野菜

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・濃厚なチョコレートのクネルとプラムのソルベ

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・エスプレッソ

 アミューズのリエット&貝は「シェ・ミッシェル」と同じだが、貝はもっと小粒だった、スープ・ド・ポワソンもメニューにあったと思う、この店のスープは魚のエグ味を削がず、油脂もあまり感じさせずに、レストラン料理として洗練され過ぎていなくて好みだ。
 アナゴ料理は魚を知り尽くした日本人料理人ならでは、相性がいい茄子との組合せも良好。黒板メニューにあった仔羊を食べてみたかったのだが、残念ながら品切れだったので、選んだ豚ロティは安定の美味しさ、野菜の質と扱いも良好。
 デセールはフランス的に味の濃いチョコレートクネルが印象的だった。

 料理長は小山道順氏、和食出身だがフランス料理に転身し、フランスでは「シェ・ミッシェル」以外にも各地で働いている、帰国後「ロアラブッシュ」副料理長、「モザイク」料理長を経て独立した。
 フランスとは食材も客層も違うので、「パリと較べて料理はこうだ」みたいな言い方はしない方がいいと思うが、日本での料理長経験があるので、日本人の好みを知っている。「俺は客に媚びない料理を出す」と気負っても、客が来ない事には不戦敗だ(笑)、客層に合わせ料理も変えていると感じた、それが間違っていない事は満員の客席が証明している。
 後から予約なしで入店して来たリピーターと見える中年女性、カウンターに座ってシャンパーニュを飲み、私がスルーした「伊勢海老の一尾丸ごとロースト」を注文、平然と一人で完食し、見ているだけで「凄え!」と圧倒された(笑)、こうした客がさりげなく潜んでいるのが、東京の銀座や月島にも近いこの界隈の怖い処だと思う。

 厨房はもう一人男性が手伝い、店内は若い女性が一人で担当する、この人がとてもキュートで感じが良く、接客に一生懸命さが伝わって来る、私を含めたオジサン達のファンが付きそうだが、客側も含めて今日本のレストランを救うのは女性達だと思う(笑)。
 最後はこの女性と料理長の丁寧な見送りを受けて退店、どちらがいい悪いではなく、料理よりもこうした対応がパリと東京の一番の違いかも知れない(笑)。
 画像を見ながら記事を書いていても、「また行きたいな」と思えるいい店でした。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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