最後の晩餐にはまだ早い


中野新橋「タクティー(Tucktty)」

 2011年に始めたFacebook、最近は色々な意味で面倒にもなっているが(笑)、続けていて良かったなと思う事は、現役料理人やパティシェと知り合える事で、彼・彼女達がどんな考えで仕事に取り組んでいるのか、幾らかでも判ると「この人の料理やスイーツを食べてみたい」と思う時がある。
 今回訪れる中野新橋のイタリア料理店「タクティー(Tucktty)」も、Facebookで知り合った松井昭憲氏が料理長を務める店だ。我家からは遠いので、なかなか行く機会がなかったが、この日夕方に麻布十番まで行く用事があり、「その前に松井さんの料理が食べたい」と直にお願いし、訪問が実現した(笑)。
 中野新橋は30年位前に仕事で一度来た事あるが、勿論当時とは駅も街も大きく変わっている、微かに駅の名前になった神田川に架かる「新橋」辺りの風景には記憶があった、街の看板的存在だった相撲部屋も移転し、真夏の白昼な事もあり、人通りは少なく感じてしまった。

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 店の場所は駅から続く道で新橋を渡ればすぐ左手、道路に面しているので判り易い、開業は2007年だが2014年にリニューアルしているそうで、見かけは新しい印象を受けた。店内に入ると年配の女性が居たので名前を告げるが、後でこの方が店のオーナーだと知った、昼の繁忙時間が過ぎてから訪れたのだが、先客が2組食事中だった。
 席に着くと、もう一人サービスを担当する綺麗な女性が、今日のランチメニューについて簡単に説明してくれる、通常のランチメニューは1,500円だが、今日はあらかじめ遠くから行くのでと、松井料理長に無理を言い、スペシャル内容にしてもらった(笑)。

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・鎌倉のメカブ、栃木県ココファームワイナリーのベルジュ、オリーブオイル

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・鎌倉のトマトが美味しいカプレーゼ

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・8月・鎌倉野菜のサラダ

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・佐島の真ダコ、鎌倉の万願寺唐辛子とピーマンのアラビアータ、ストロッツァプレーティ

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・山形豚、肩ロースのワラ焼き、鎌倉のナスとパブリカ、ハラペーニョ

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・急遽、追加で出してくれたカマス料理

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・焼いた鎌倉トマト、ズッキーニ、ミントのソルベ

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・ヘーゼルナッツの香るチョコ“ジャンドゥイヤ”のタルトと鎌倉のビーツ
・イタリア産コーヒー“オペラ・プリマ”

 まずは野菜の味が鮮烈だ、料理長は鎌倉在住で、地元の生産農家から無農薬野菜を直接購入、店までぶら下げて来るそうだが、それだけの価値はある、例えば北海道の野菜に比べると、力強さより味の奥行きや洗練度を感じる、苦味の中に甘味があり、辛味の中に旨味がある。勿論それを生かす調理技術があってこそだが、改めてイタリア料理は「始めに素材ありき、素材は料理なり」なのだなと理解した(笑)。
 パスタ料理の「ストロッツァプレーティ」とは、「坊さん(神父)の首を絞める」と云う物騒な意味の手打ちパスタ(笑)、麺を両掌で捻って成形するのでこの名が付いたそうだ、ソースと絡んで美味、やはりイタリア料理店では生パスタを食べたくなる。
 台風の影響で鮮魚が入らなかったと事前に説明あったが、「今、魚が届きました」と急遽出してくれたのがカマス料理、魚介も鎌倉の漁師と直接取引し、店まで車で運んでもらっているそうだ、生産者(漁師)⇒店⇒消費者(客)が最短ルートで構成されるので、これは美味しくない筈がない(笑)。
 野菜を使ったドルチェも良かったし、予想の上を行く上質なランチだった、そして支払いは、都心のスタイリッシュ系イタリアンと較べたら申し訳ない位に安い。

 また「古い」と云われそうだが、松井料理長は「ヒデとロザンナ」のヒデさんに少し似ている(笑)、「グラナダ」「サバティーニ青山」等の名門イタリアン出身で、サバティーニ時代は、現「ジャニコロ・ジョウキ」の内野料理長と同じ厨房で働いたそうだ、喋り方は穏やかだが、生産者を盛り上げようとする熱い気持ちに満ちている。
 この料理長を信頼して、全て任せている女性オーナーも立派だと思った、採算や利益追求以上に、何とか地元を盛り上げたい気持ちがあるからだと思う。
 そしてサービスを担当する女性が優秀、私がレストランオーナーならスカウトしたい位(笑)、接客、喋り、間の取り方等、高級店でも通用しそうな対応で、「この人のサービスなら、もう一度来てみたい」と思ってしまう、「最近、女性ばかり褒めていないか?」と勘繰られそうだが、慢性人材不足のこの業界で、一生懸命働いている彼女達はとても素敵だと思う(笑)。

 正直に言うと、訪れた後に「一回行っておけば十分」と思う店はある、料理だけでなくサービスも含めて「これ以上は進歩しないな」と感じた店、片付けコンサルタントの近藤麻理恵さんが言う「ときめかない」店がそれで、この店はもっと進歩しそうだし「ときめく」店だった、また何か用事を作って、いや他に用事が無くても行きたいなと思った(笑)。
 爽やかで美味しい午後になりました、スタッフの皆さんありがとうございました、気分の良くなった私はこのまま麻布十番へ向かう事に。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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