最後の晩餐にはまだ早い


西麻布「ル・セヴェロ・ジャポン」

 パリ14区、モンパルナス駅からそう遠くない場所に在る「ル・セヴェロ‘Le Severo’」は、肉屋出身のオーナー、ウィリアム・ベルネが1987年に開業した熟成肉ステーキで知られるビストロだ。私は残念ながら訪れていないが、知人・友人達は何人か行っていて、「料理は肉しかないが、旨かったよ」との声は聞いていた。
 その名前を冠した店が、今年4月に東京西麻布に開店したとの情報は得ていた、日本人料理長はパリの店で働いていて、ベルネ氏より直接指導を受けているとの事、そして店内サービス担当には旧知の宮脇氏が就いているので、これは行かないといけないなと思っていた。そんな時に、十年近い付き合いになる在関西の有名料理人が東京に来る事になり、何処かで会いましょうとの話になったのだが、幾つか候補店を絞った中に「ル・セヴェロ」の名が出たので、ランチタイムに伺う事に決めた、「行きたい」と思っていると何時か行けるものだ(笑)。

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 店の場所はバブルの古戦場(笑)西麻布、ホブソンズのある有名な交差点から広尾方面へ向かってすぐ右側、外苑西通りに面していて、目立つ赤色の外観なのですぐ判った、少し早めに着いたので、店の周りを歩いてみたが、もうこの名を知っている人も少ないと思う通称「地中海通り」は、昼間なのもあって閑散としている、六本木ヒルズやミッドタウンが開業してから人の流れが変わり、アクセスのよくない西麻布は取り残された印象が強い、まさに「つわものどもが夢のあと」と云う雰囲気だ(笑)。
 12時になり入店、2階の客席に案内され窓際の4人席に座らせてもらう、窓から通りの向かいにある老舗イタリアンの赤いテントが見えるが、此処もバブル遺産に登録したい雰囲気が漂っている(笑)。
 9月末なのに暑い日で、ビールで乾杯した後にメニューをじっくり眺める。

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・ランチメニュー

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・夜のカルトだが昼でも注文可能な料理

 集まったメンバーが濃いため(笑)、カルトから選ぼうかなと思っていたのだが、よく見るとランチメニュー(税込2,500円~)も結構魅力的な内容だ、特に「熟成短角牛」の文字に惹かれた、国産の短角牛生産者が不人気により廃業している実態をニュースで見たので、応援の意味も込めこれを中心に選ぶ事に決めた。
 食べた料理は以下のとおり、

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・パテ・ド・カンパーニュ パリ本店のレシピ 厚切りお肉のテリーヌ(+500円)

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・最近レストランで見る機会が増えた、仏ペルスヴァルのナイフ

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・北海道産熟成短角牛ランプ200g (+500円)

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・私以外の人が注文した 北海道産熟成短角牛サーロイン250g(+1,500円)

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・ブランマンジェ(+500円)

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・レトロ調なカップに入ったコーヒー(メニュー内)

 まず、パテ・ド・カンパーニュを食べて、「旨い、でも日本で食べるパテの味と違う」と思った、すかさず同席の料理人が説明してくれたが、「この香りは、おそらく豚のフォア(肝臓)を使っている、日本では食べ易くするために鶏のフォアを使うが、豚使用は珍しい」との事、さすがである(笑)。ガルニの青菜はサラダほうれん草か?シンプルだがこれもまた妙に旨い、野菜の質とビネグレットの味は申し分ない。
 私が食べたランプは脂身の無い腿からお尻にかけての肉で、過去日本人には「脂がないから」とあまり好まれなかったが、最近の赤身肉指向で注目されている部位だ。熟成香自体それ程は感じなかったが、歯応えと肉の滋味は結構ある、噛んで美味しくなる肉。添えてあるポムフリットが抜群に旨い、WEB情報によると「北海こがね」と云う品種で、これを1年間雪室熟成させた物を使うらしい、日本産の芋でこれだけフリットが旨いと唸ったのは初めて。前菜同様にガルニを一種だけにしたのは、「何を食べさせたいのか」が明快で賛成。
 ブランマンジェは何処か懐かしいテイスト、店の雰囲気同様に1990年代終り頃のパリビストロの味だと思った(笑)。
 失礼ながら予想以上に本格的で美味なステーキだった、これだけ肉自体に味があればソースは要らない、塩&胡椒で充分だと思う、その意味では大阪・長居にある熟成焼肉の店「又三郎」と共通するものがある、違うのは炭焼きかフライパンによる加熱かの調理法位、あそこのオーナーが此の店へ来て、どんな感想を語るか聞いてみたいと思った(笑)。
 料理長は柳瀬充氏、1985年生れなので私から見ればとてつもなく若い(笑)、この日厨房はもう一人の料理人に任せ、宮脇氏と二人でサービスにあたっていたが、それだけ「旨い肉料理」とは焼く前迄に勝負が決まってしまうものかも知れない。

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・退店時に見せてもらった一階の熟成庫

 支払いは「この位かな?」と思っていたより安く、濃厚で熱いグルメ話が続いた事もあり、満足至極なランチになった。店内は平日昼ながら肉好きそうなベテラングルメが来ていて、年配男性客は「安井かずみがいた時代」にも登場する有名人だと思う、さすがは腐っても鯛、いや寂れても西麻布だなと思った(笑)。
 食好きな参加者のおかげで楽しく有意義な午後でした、最適な場を提供してくれた、柳瀬料理長、宮脇さんありがとうございました。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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