最後の晩餐にはまだ早い


赤坂「古屋オーガストロノム」(2016年10月)

 先日の「食べ続け旅行」時にお世話になった札幌の友人が東京に来る事になり、何処かでランチをご一緒しましょうとの話になった。フランス料理が好きなので、店を選ぶのだが東京は数が多過ぎて絞れない(笑)、そこで過去彼が行った店を除き、平日ランチ営業している「私が今、東京でお勧めできるフランス料理店」を5つ選び、参考にブログ画像を見てもらい、その中から行きたい店を選んでもらう事にした、まるで東京五輪における競技施設見直しの複数案提示みたいだが、その5店が何処なのかは、色々と差し障りがありそうなので書かない事にする(笑)。
 結局彼が選んだのは、赤坂「古屋オーガストロノーム」だった、やはり画像だけでもこの店の料理は、本格古典フレンチ好きには訴えるものがあると思う、私は今年早くも4回目の訪問になった。

 朝食に駒沢公園でラーメンを食べて来たと云う(!)彼と、千代田線の赤坂駅で待ち合せ、「赤坂サカス」を少し案内した後に店へ向かう、天気は絶好のフレンチ日和だ(笑)。
 店に近付くとサービスの石橋氏が扉を開けてくれた、道側にスリットガラスがあるので店に来る客が見える、これはなかなかいいアイディアだ。平日昼ながら既に2組が着席し、我々の後にも1組来店したので、この店もフレンチ好きに知られて来たみたいだ。
 古屋料理長にも挨拶しシャンパーニュで乾杯、店にはクラシック料理好きな人物と行くと、あらかじめ伝えてあったのだが、当日の料理は以下のとおり、

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・アミューズ(牛蒡のスープに牛蒡のチップ、天草産マグロのグリエ・フヌイユのソース)

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・自家製パン3種

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・パンに添えてサンドゥー(イベリコ豚ラード&生ハム)、バター、岩塩

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・ハンガリー産フォアグラをテリーヌとポワレ2種の調理で、黒イチジクとイチジクのコンフィチュール、煮詰めたバルサミコ

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・大分県産地鶏玉子“蘭王” 75度で13分火入れしたウフアンムーレット、マルケ産秋トリュフ

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・宮城県産鰆のポワレ、香草風味のシャンパーニュクリーム、天然舞茸のリゾット

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・ブレス産仔鳩のロティとパネ、ジャガ芋と根セロリのピュレ、鳩の内臓を使ったソース

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・プレデセール(柿の黒ビールとアニスのコンポート、ペルノーのソルベ添え)

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・「ダム・ブランシュ」(ヴァニラのグラス、クレームシャンティ、伊ドモーリ72%のショコラショー)

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・エスプレッソ

 アミューズの鮪は質の高いもの、牛蒡のスープも何気ないが印象に残る。冷温2種のフォアグラは調理&アセゾネ(味付け)共に文句なし、店のスペシャリテのウフアンムーレットは、玉子の質でその都度温度と調理時間を変えるみたいだが、今回も抜群の完成度だった。
 魚料理はかなり古典的な皿だが、ソースの旨味が凝縮して、鰆やリゾットと素敵なハーモニーを奏でる。
 仔鳩は2つの調理法、古屋氏は素材を2種以上の調理で出すのが好きとの事だが、他卓の調理もこなしながら、ジャストなキュイッソン(火入れ)に仕上げるのはさすがだ、内臓を使ったソースも現代的に軽くしてあり、ピュレ2種も軽やかで美味。
 デセールも良かった、特にショコラデセールは最高品質のクーベルチュールを使う事により、次元の高いものになっている、なお「ダム・ブランシュ(白い貴婦人)」とは、バニラアイスに熱いココアをかけて食べる、ベルギーではポピュラーなデザート。

 20世紀前半を代表する料理人、フェルナン・ポワン(1897~1955)の決まり文句は「バターを!バターをよこせ!いつもバターを!」だったと伝えられるが、それに通じる話を食後に古屋料理長から聞いた。
 私が「ベルギーで料理長をやっていた時と、今では味付けを変えていますか?」と訊いたのだが、「少し変えている、特にバターの量は違う、向こうではバターは出汁みたいな感覚で量を使うが、日本人はそこまでバターへの耐性がないので抑えている」「特にジビエ料理ではバターを多く使った、自分が調理していると、隣にミシェル・リボット(総料理長)が立って、『ケン(古屋氏の愛称)、もっとバターを入れろ』と必ず云われた」との事。
 随分前の話だが、辻静雄が生前TVの対談番組で「現地そのままの味なんてやったら、客来ないよ」と語っていたのを覚えているが、そのとおりだろうと思う(笑)。
 古屋氏が働いていたのはベルギーでも「ワロン地域」と呼ばれる、公用語は仏語で仏文化の影響の強い地方、現地の人達が美味しいと思う料理を知り実際に作っていた、そして日本人が好きな味も知っている、これが彼の強みだと思う、あとは両方の交差点を何処に持っていくかだ。
 現在厨房一人、店内一人の体制なので、ランチ時に数組の客が重なると、皿出しが遅くなりがちだがこれは仕方ないと思う、丁寧な料理を待てない客は別の店を選んだ方がいい。個人的には店全体の何処かゆったりと緩い雰囲気は、フランスの地方のレストランに居るみたいな落ち着きを感じるので好きだ(笑)。
 友人も料理と店に喜んでくれたみたいで安心した、古屋料理長&石橋支配人ご配慮ありがとうございました。


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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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