最後の晩餐にはまだ早い


赤坂「古屋オーガストロノム」(2016年12月)

 赤坂のフランス料理「古屋オーガストロノム」を初めて訪れたのは今年1月だが、12月初めに早くも5回目の訪問をする事になった。この頻度は何事にも飽き易く持続しない私にしては極めて異例(笑)、過去短くはなかった外食人生でもたぶん2店目だと思う。
 「どうしてそんなに通う、綺麗なマダムでも居るの?」と訊かれても(笑)、「古屋料理長の料理と自分の嗜好が合うから」としか答えようがない。不遜な言い方かも知れないが、私が今美味いと思う料理を知りたいのなら、まずはこの店へ行ってみてください(笑)。
 この日は身内の誕生日祝いをやろうとの話になり、ランチ場所を数店考えたのだが、結局この店に行き着いた、古屋氏には幾つか注文を出してしまったが、お手数かけました。
 平日ランチの席の取り易さや、値段のお得さに慣れてしまうと、サラリーマン時代の土日利用客にはもう戻れない(笑)。現在厨房が古屋氏一人、店内が石橋支配人一人の体制なので、席は全部埋めていないみたいだが、年末恒例の出版物「東京最高のレストラン」で「フレンチ注目店」に選ばれたばかりなので、これからが更に楽しみな店だ。

 まずは当日の料理を紹介したい。
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・モン=サンミッシェル産ムール貝を使った前菜三種(マリネ、ポワレ、スープ)

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・かるく火を入れた鳥取県産白イカと根菜のサラダ仕立て、徳島県産すだちのソース、イカスミのアクセント

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・白はスイス産CHÂTEAU LA BÂTIE2014

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・75度で 13分火入れした大分県産地鶏玉子“蘭王” のウッフアンムーレット、マルケ産トリュフ

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・石川産スズキのポワレ、香草のブールブラン、若布風味の手打ヌイユ

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・蝦夷鹿のロティ、レザンとソーテルヌのソース、 シヴェのシューファルシ

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・プレデセール(柿の黒ビールとアニスのコンポート、ペルノーのソルベ添え)

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・パッションフルーツのスフレ、グラススペキュロース

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・それの‘Joyeux anniversaire’バージョン
・エスプレッソ

 アミューズはこれから始まる料理全体の前奏曲の筈だが、どうにも「やっつけ」としか思えない物を出す店もある中、この店のアミューズは毎回本幕への期待を持たせる出来、特にスープが良かった。
 次の白イカ料理は和食的なセンスも感じるが、食べてみると和食ではない(笑)、イカの食感に合わせた酸味あるソースが印象的だ。続く古屋スペシャリテのウッフアンムーレットは鉄板の美味しさ。
 過去この店で魚料理は黄色いソースが多かったが、今回は初めての緑色ソース、スズキは大型の肉食魚で捕食活動も獰猛と聞く、その身は草食系の柔なソースでは合わない、個性ある香草系が冴えている、イタリア的な「パスタ」ではない「ヌイユ」もいい出来だった。
 肉は年末定番の蝦夷鹿、個体としては少し若かったか?端肉や内臓を使ったシューファルシが特徴的、俗な例えだが日本の中濃ソースみたいな(笑)、甘味あるソースは贅沢で深いが重くない、このソースこそ古屋料理の真骨頂だと思った。
 一人厨房の場合、「あらかじめ焼いたものを切って皿に載せる」的なデセールになりがちなのは仕方ないが、あえてスフレを出した処に、この料理人の「仕事力」みたいなものを感じた、焼上がり時間を逆算して材料を撹拌し焼きをセットする、当然他の料理を作りながらだから、一人厨房だと最もやりたくない作業(笑)、それでも文句なしの出来上がりだった。なお「スペキュロース」とは古屋氏が働いていたベルギー名産のクッキーで、仏ブルゴーニュ地方での名産菓子「パン・デピス」を入れたアイスみたいな面白い印象になる。メインデセール後のミニャルディーズ的な物をあえて出さないのも古屋式だ。

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・古屋料理長の「原点」、ベルギー・パリウにあったレストラン‘Au Gastronome’の写真等が置かれている。

 おそらく今年最後の訪問になると思うが、全5回どれも安定して破綻を感じさせない古典王道料理だった、それも昔ながらの油脂でもっさり重くするのではなく(笑)、極力現代に合わせ減らせるものは減らす工夫を感じる。
 今迄こうした料理は関西、それも和歌山か大阪上本町でないと味わえないと思っていただけに、この店を知ったのは今年一番の収穫だった。来年も続けて訪れたいが、今以上に人気が出て、一見客に喜ばれる様な、流行や見た目の新しさだけ追う料理に変わらない事を祈っている、古屋氏の性格ならそれはないと思いたいのだが。
 古屋料理長、前支配人で現在非常勤勤務?の秋葉氏、石橋支配人、一年間ありがとうございました、少々早いですが、良いXmasと実り多い新年を迎えられる事を願っています(笑)。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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