最後の晩餐にはまだ早い


六本木「トレフ・ミヤモト」(2016年12月)

 一度訪れてブログ記事にした後、「また行ってみたい」と思いながら、それが果たせない店が幾つかある。仕事を辞めてからは、レストラン行は平日ランチが増えたので、平日ランチ営業をしていない店や一人では訪れ難い店等は、どうしても後回しになってしまう。
 約2年半前に訪れた六本木「トレフ・ミヤモト」もその一店で、宮本料理長の王道直球フレンチと、バブル景気以降の東京で生き抜いた?貴重な体験談にも得る処あったので、もう一度行きたいと思いながら叶わないで居た、今回友人からの誘いがあったので、ようやく再訪問する事が出来た。

     161214-1.jpg

 前回は夜だったが今回は昼利用の土曜日、店前にある出雲大社東京分祠をお参りしようと思ったが、階段がキツそうなので、その下で良縁をお願いする事で省略(笑)。
 店はテラス席があるので、フランス式に夏場は此処で食事するのもいいと思う、以前11月に訪れたフランス・リヨンで、ストーブ出したテラス席で、厚いコートを着てステーキ食っているフランス人を見たが、あれ日本人になかなか真似出来ない(笑)。
 ドアを開けると迎えてくれるのはマダム、若々しく2年半前と見かけ全然変わっていない、私もそして後から客席に出て来た料理長もそれなりに年齢を重ねたが、歳を取らないマダムはフランス人に多く、この店はフランスそのままなのかも知れない(笑)。

 友人も到着し、始まった料理は以下のとおり、
        161214-2.jpg
・アミューズ三種(ラタトィユのタルトレット、紅芯大根のマリネ&鶏胸肉の燻製、パテ・ド・カンパーニュ)

     161214-3.jpg
・トウモロコシのクーリ、じゃがいものクレープ、キャビアルージュ、本海老

     161214-4.jpg
・炙った氷見の寒ブリ、青海苔のソース、金沢野菜

        161214-5.jpg
・スペシャリテのクロメスキ(フォアグラとトリュフのソースコロッケ)

     161214-6.jpg
・スズキと白海老のポーピエット、ソースアルモリケーヌ 金時草、かぼちゃのフラン

     161214-7.jpg
・京都産エトフェ鴨のロティ、パースニップ、トランペット茸、マコモダケ、アピオス

        161214-8.jpg
・栗とチョコレートのクレームスフレ

     161214-9.jpg
・ミニャルディーズ(塩キャラメルのマカロン、安納芋のプティガトー、ヌガーブラン、夏みかんの皮のコンフィ)

        161214-10.jpg
・料理合わせて5種類出た、全て自家製(!)のパン

 まずは「手をかけた」アミューズで客の心を掴む。次のじゃがいもクレープの料理はモダンな料理デザインと野菜の旨さが際立つ。旬の寒ブリは青海苔を使い和的な皿だが、食べてみるとやはりこれはフレンチだと納得する。フォアグラとトリュフのコロッケは追加料金だが、この店へ来たらやはりこれを食べないと(笑)。
 続く魚料理も単純に切り身をポワレしたのではなく、相当手をかけていて、蠱惑的なソースが「これがフランス料理だ」と、思わず呟きたくなる(笑)。
 京都の鴨は最近他店でも使い始めているが、鳥インフルエンザにより輸入鳥類が制限される中で貴重な国産二本足、肉の旨味も感じるし、これから楽しみな食材だと思う、この料理もソースが魅力だ。
 そしてデセールはビストロではない、ガストロノミーレストランならでのア・ラ・ミニッツなスフレ、特に冬場はこうした熱いデセールは嬉しい。

 久しぶりに宮本氏の料理を味わってみて、以前に比べ味も盛付も、古典を底に敷きながらも、より現代的な感覚を加えていると感じた。後で本人が語ってくれたが、若い世代の料理人達とも積極的に交流し、お互いに刺激を得ているとの事で、これが料理に表れているのではないかと推測した。
 フランスでも古くから営業している名店では、時に若い料理長を抜擢する事で料理を新しくする工夫をするが、オーナーシェフで料理長を変えられない場合は、自分が変わるしかない(笑)、これは難しい事だが、宮本氏は過去の実績がありながらも、同じやり方を続けるのではなく、時代に合わせて「変容」している様に見えた。
 C・ダーウィンの名言「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない、唯一生き残るのは変化できる者である。」を思い出してしまった。

 店内は宮本夫妻が集めたアンティーク類が随所に飾ってあり、カトラリーやプレートも長く使われて来た物が多く、「今集めたばかりです」みたいな薄手な処がない。「日本料理は空間を買う、フランス料理は時間を買う」との言葉を聞いた事があるが、この店で流れるゆったりした時間はお金を払う価値がある。
 最後に仕事を終えた宮本氏と話したが、同行者のリクエストにより「マサイ族にフランス料理を食べさせて、殺されそうになった話」を、再度聞いてしまった、本人は思い出したくなくても、これ何度聞いても面白い(笑)。
 次回は「勝どきにあった、お化け屋敷的内装のフランス料理店『クラブ・ニュクス』で、本当に出た?幽霊の話」をしてくれるそうで、興味のある方はお知らせ下さい(笑)。
 宮本料理長、マダム、遅い時間まで美味しい料理と楽しい話をありがとうございました、次回はこんなに間をあけずに来たいと思います。

スポンサーサイト

  1. [ edit ]
  2. フランス料理
  3. / trackback:0
  4. / comment:2

フォワグラのクロメスキ

  1. [ 編集 ]
  2. 2016/12/14(水) 18:46:03 |
  3. URL |
  4. Georges
私の知る限りフランスはヴェズレーにあるレスペランス、マルク・ムノー氏のスペシャリテだと思います。30年ほど前にこのレストランを訪問してクロメスキや本物のチュルボを堪能しました。
確か息子さんがパリで「クロメスキ」という名のレストランをやっているはずです。

Re: フォワグラのクロメスキ

  1. [ 編集 ]
  2. 2016/12/14(水) 19:34:06 |
  3. URL |
  4. オンクレ・トシ
ご教示ありがとうございます。
大阪の「カランドリエ」にも同じ料理ありますね。
こうした料理は大体同時発生的に生まれますが、フォアグラとトリュフをコロッケにする発想自体は、日本人ではなかなか思い付かない、おそらくフランス人だと思います。


 管理者にだけ表示を許可する
 


プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

訪問者

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

« 2017 11  »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -