最後の晩餐にはまだ早い


御茶ノ水「ビストロ・ヌー」(2017年1月) 

 2017年のフレンチ訪問第2弾は、私の「第二の故郷」である秋葉原至近の「ビストロ・ヌー」でした。
 十代の頃からオーディオショップ巡りやレコード&CD漁りをしていた懐かしの場所は、此処十年ですっかり様変わりしてしまったが、「夢は今もめぐりて 忘れがたき故郷」である事に変わりない(笑)。
 その秋葉原の外れ神田明神下に、2011年3月店主の母親が営業していた喫茶店を改装し開業したこの店も間もなく6年を迎える。私の初訪問は2013年1月だが、以降ランチライムが殆どながら、半年に一度位利用している、我家からのアクセスがいいのも大きいが、何より秋葉原へ寄るついでに行けるのが魅力だ。

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 この日も平日のランチタイム、磯貝料理長には事前に行く旨連絡はしていたが、11時半の開店直後だったので、いつもどおり開店一番乗り客になった。
 磯貝料理長とモデルみたいにスタイルがいいサービス担当の彩さんに挨拶、この二人結構人並み以上に食べるそうだが、全く太らないのは、食べた分だけ身重になる我身には羨ましい限りだ(笑)。

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 いつものカウンター席に座り、黒板メニューを眺める、前菜+メイン+コーヒーが標準仕様でプラス料金の料理もあり、デザートも追加注文可能。更に2種類の「おまかせ」メニューがあって、私はいつもの2,700円(税別)の方を選んで、メインは目にして真っ先に惹かれた「エゾ鹿のカイエット」(∔1,000円)でお願いする事にした。
 料理は以下のとおり。

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・ジャガイモと白子のポタージュ

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・近くにある「三井製パン舗」のカンパーニュ

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・大山地鶏のバロティーヌ

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・コルシカ産Francois Labet Pinot Noir2013(グラス880円)

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・サーモンのマリネ、カリフラワーのクレーム、ビーツ

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・北海道産エゾ鹿のカイエット

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・ホワイトチョコレートのムース、キャラメルのグラス、ショコラマカロン
・コーヒー

 白子の風味が感じられる冬のポタージュの後は鶏のバロティーヌ、中のフォアグラの扱いを含めいい仕上がりで提供温度も的確、パテ、テリーヌ、バロティーヌ系料理は一番料理人のセンスが問われる物だ。
 サーモンマリネは次の料理を考慮してか軽めの仕上がり、生のビーツと合わせるのは面白いと思った。
 そしてこの日の主役がカイエット、フランスの郷土料理で元は豚肉を使うが、羊や他の肉類でも作られる一種のハンバーグ、表面を豚の網脂で包むのが特徴、磯貝氏の話では今回、鹿の端肉、豚首肉、牛脂が主な構成との事だ。しっかりした大きさと強めの味付けで、かなり食べ応えのある料理になっている、過去他店で肉団子みたいな小さなカイエットもあったが(笑)、練肉の旨味を感じるにはこの位の大きさは欲しい、ガルニの扱いも良かったし、これは「ヌー」スペシャリテとして残したい料理だ。
 食肉一頭中の一番良い部位を客に提供するのもフランス料理なら、言葉は適当かどうかだが「廃物利用」的料理で、素材の積み重ねにより味の構成を高め、お金の取れる一品にするのもフランス料理の一面、こうした料理がちゃんと作れるなら本物だ。
 デセールもこの店へ来始めた頃に比べて格段に良くなっている、その場で回すパコジェットで作ったキャラメルグラスが特に秀逸だった。

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 この店がフランス料理のあまり似合わない街で続いて来たのは、同業他店に比べリーズナブルだと感じるのもあるが、それ以上に質の高い料理を提供して来たからだと思う、秋葉原は安いだけの飲食店なら他にも沢山ある。同じ場所で続けていると料理がマンネリ化し、常連客以外には魅力を感じない店になる事もありがちだが、1981年生れの料理長の若い感覚により、料理には古臭さや停滞感がない。
 バーテンダー出身と云う珍しい経歴を持つ磯貝氏、「私の料理学校は三省堂」と話す、つまり三省堂本店で買った料理本で料理を学んだと云う意味で、だからと云って料理本を読めば皆が料理人になれるわけではない(笑)、学習努力と実践が実っているのだろう。

 内外装にお金をかけたスタイリッシュな店内、真っ白なテーブルクロスとナプキン、黒服を着た男女の慇懃なサービス、お子様サイズの上品料理を味わうのが良いレストランと思う人にはお勧めしないが、普段着で行けるカジュアルな雰囲気、旨いフランス料理を財布の中身をあまり気にしないで食べたい人には、今上り坂にある料理人が居るので注目していい店だと思う。
 特に秋葉原に買物に行った時にはランチに寄ってみてください、場所的にも穴場です(笑)。 

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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