最後の晩餐にはまだ早い


大阪・南森町「香味」(2017関西食べ続け⑤) 

 何かを食べ、その移動だけではあまりにも芸がないと思い(笑)、大阪3日目は少し観光的な事もしておこうと、向かったのは中之島にある大阪市立東洋陶磁美術館、陶磁器好きに垂涎の朝鮮・中国の名品ばかり収めた、旧安宅コレクションを土台にした美術館だ。

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 現在開催中の特別展「台北國立故宮博物院―北宋汝窯青磁水仙盆」が目的だった。
 http://www.moco.or.jp/exhibition/current/?e=366    
 汝窯とは中国河南省にあった宮廷用の窯場で、北宋時代(960~1127)に最も栄え主に青磁が焼かれた、独特の色合いは「雨過天青」と呼ばれ、雨が上がって雲間に見える透き通った青空の色に例えられる。
 北宋青磁の代表類型が、器の中で水仙を育てたとされる楕円形の水仙盆、勿論宮廷で使われた物だ、この世界的名品が4点、台湾の故宮博物院から貸し出され、更には後年景徳鎮で焼かれたレプリカと、元々東洋陶磁美術館の所蔵だった水仙盆も加えて計6点が特別展示されている、やきもの好きとしては必見の展覧会だ。

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 会場は2階で、一番目立つ部屋に陳列されていた、中でも海外初公開の無紋(貫入がない)の大型盆は「人類史上最高のやきもの」との説明がある、史上最高かどうかは別にしても、これは見る価値のある歴史的逸品、深く吸い込まれそうな奥行き、滑らかな質感と今焼き上がったみたいな色の鮮やかさは「凄い」としか表現できない、照明に工夫はあるが、自然光の下ならもっと素晴らしく見えるだろうと思った。当時の技術で青磁の完品を作るのは大変難しく、一個の完成品を得るために無駄になった未完成品は相当数あった事だろう、製作に関わった職人達の情熱にも思いを馳せる。
 これだけの名品が日本で一堂に揃う事は、おそらく二度ないと思うので、興味のある人は見逃さない様に、会期は3月26日迄です。

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 この日の夜は芦屋まで出かけるので、ホテルのある天王寺まで戻るのは面倒、何処か近くでランチと思い、向かったのは昨年も昼に訪れた南森町の「中国菜 香味(シャンウェイ)」、中之島から歩いて行ける場所だ。
 入店は開店時間の11時半直後で一番乗り、矢谷料理長に挨拶して奥のテーブルに座らせてもらった。

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 「本日のランチ」(税込850円)は3種類、選んだのは日替りの「牛肉と色々野菜のオイスターソース炒め」に。
昼休み前なので他の客は居なかったが、食事中に続いて来た、大阪地方裁判所が近いからその関係者が多いらしく、13時迄が勝負時だ。

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・牛肉と色々野菜のオイスターソース炒め

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・主菜部分

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・玉子スープ

 「551蓬莱」でも感じた事だが、大阪中華は総じて一口目はあっさり目、普段刺激味に慣れている東京人には少し塩気が足りない印象もする、だが食べ続けて居ると味のベースになる湯がしっかりしているので、この薄味が必然になって来る、前半より後半勝負と云う感じだ、牛肉喰いの伝統が東京よりあるので、中国料理での牛肉の扱いも長けている、高温で炒めても硬くならず、味が抜けないよう工夫がされている。
 最近はスーパーでも見かける中国野菜のターツァイ(搨菜)だが、元は千葉県柏市の老舗中華「知味斎」が使い始め、他の中国野菜と共に近隣で栽培もしていた、矢谷氏はその店で働いていたので、中国野菜使いに関しては正統派、美味しい理由がわかる、この日のターツァイは矢谷氏の父親が栽培している物と聞いた。
 玉子スープも上品な上湯が特徴的な優しい味でした。

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 店の在る場所は官庁街なので、昼は850円の定食だけだが、夜席はかなり本格的な中国料理も提供している、入口に近い円卓では先日食の専門家達がマニアックな料理を堪能したと聞く(笑)。関西へ行くとなると、どうしてもフレンチ等のヨコメシ系中心になってしまうが、一度この店の本格料理も食べてみたいものだ。
 作った料理人の人柄が偲ばれる優しい味わいの料理、ご馳走様でした。去年はランチ延長戦として、続きで近くにある本格手打蕎麦「荒凡夫」へ行ってしまった、今年も髪は少ないながら、後ろ髪惹かれる思いだったが、夜も考えて自制する(笑)。
 私はこのまま梅田駅まで歩き、夜の食事のため芦屋へ向かう事に、関西食の修行(苦行?)はやっと道半ばです(笑)。

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Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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