最後の晩餐にはまだ早い


芦屋「オステリア・オ・ジラソーレ」(2017関西食べ続け⑥)

 関西3日目の午後は大阪から西へ向かい、一旦JR灘駅まで出向き、兵庫県立美術館で開催されていた「アドルフ・ヴェルフリ-二萬五千頁の王国」展を観る、ヴェルフリはスイス出身のアール・ブリュット(生の芸術)の作家で、精神病院に収容されながら描き続けた「物語」は圧巻、「妄想の大伽藍」との説明があったが、妄想だけで此処まで描けるのは天才としか云い様がない、絵画だけでなく作曲も手掛けた、残念ながら会期は終わってしまったが、興味のある人は「アドルフ・ヴェルフリ」をWEB検索してみてください、独自の世界を知る事が出来る。
 その後芦屋まで戻り、駅前のショッピングセンターで夕方まで時間を繋ぐ、東京人の私は「芦屋」と聞くとまず高級住宅地を連想し、そのため東京と鎌倉位の位置関係なのかな?と漠然と思っていたが、実際には大阪からは何と云う事もなく近かった(笑)。

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 周りが暗くなり冷えて来た頃に駅から南へ向かい、住宅街にあるイタリア料理「オステリア・オ・ジラソーレ」を目指す、今回初訪問をとても楽しみにしていた店だ。関西に在って東京で名前が知られているのは、南側の県にあるイタリア料理店だが、交流がある関西の食仲間達が高く評価しているのはこちらの店だったからだ。
 人の多い大阪から来ると、歩いている人が少なく夜は寂しい雰囲気も感じる道沿いに店はある、ファサードの青い照明が独特の雰囲気、南イタリア料理の店だが、これだけ見るとNYのイタリアンみたいな印象(笑)。
 ドアを開けると其処はバールの造りになっていて、レストランはその奥、こうした店の仕様はスペインのバル&レストランでも見たので、おそらくイタリアにも在り、それを取り入れたのだと思う。奥の内装はシックで落ち着いた雰囲気、壁の絵等所々に忍ばせたイタリアのテイストが心憎い。店名に‘Girasole’を使うイタリア料理店は東京にもあるが向日葵の事、そうソフィア・ローレンの「ひまわり」(笑)、「オ」を入れるのが正しい使い方か。
 この店の近くに住み、常連になっている食友人とのディナー(伊語ではcena)なので、店側も相当本気になっている筈だ。まずは料理全品について紹介したい、 

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・オリーブとビスコッティ

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・お米とキャベツの煮込みと牡蠣を包んだモルタデッラハム

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・自家製酵母から起こすと聞いた自家製パン(美味しい)

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・この日グラス提供可な白ワイン4種

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・ミル貝のカルパッチョ、フリアリエッリとカリフラワーのクレマ

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・イイダコと蕪、里芋のフリット、ブラッドオレンジヴィネガーで

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・マナガツオの炭火焼、赤ワインと玉ねぎのソース

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・手打ちのパッケリ、潮の香のソース

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・鳩の炭火焼、ニラとレバーのソース

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・フォンダンショコラと栗のスープ、マスカルポーネの雪見仕立て

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・カンノーロ
・エスプレッソ

 前菜4種と秀逸な自家製パンを食べ、この料理人は何を表現したいのか、客に何を感じ取って欲しいのか理解出来たと思った、魚介はどれも近海物みたいで、複雑な味付けや余計な調理より、素材の本来持っている力を生かす方向で提供する。
 ミル貝料理は同じカリフラワーを使った「オテル・ド・ヨシノ」の、「甲殻類のジュレ、カリフラワーのクリーム」を連想したが、繊細さではあちらだが、ストレートで鮮烈な旨さはこちらだなと思った。
 パスタはこの日最も印象に残った料理、パッケリとは極太の筒状パスタで、魚介の旨味を凝縮したソースは辛味を忍ばせて癖になる美味しさだった。「レバニラ炒め」を連想させる鳩料理は面白い、炭火焼は美味だがニラの量はもう少し抑えた方が鳩の肉味を生かすかも知れない。
 ドルチェも良かった、伊語では「パスティッチェーラ」と呼ぶそうだが、料理兼務の女性が作った品は、見かけは地味だが味に関しては今回の食旅行では最上のデザートだった。このパスティッチェーラは若く眼の輝きがいい、これからもっと伸びると思う。

 漁師の親父が捕った魚や貝を奥さんが料理する、やがてそのマンマが作る料理が近所で評判になり皆が集まって来る、客の「マンマ、お店出したら?」の言葉から始まった店が繁盛し、家族も手伝い口コミで有名になり遠くからも客がやって来る。こんな南イタリアでのリストランテ誕生物語を連想させる、この日の料理だった。
 料理長は杉原一禎氏で1974年兵庫生れ、名門調理師学校卒業後国内イタリアンを経て渡伊、おもにナポリ中心の南イタリアで働く、2002年に帰国し地元で独立開業、2007年に現在地へ移転した。
 食後に話をさせてもらったが、「きょうの料理」に出演しているアンドレア・ポンピリオ氏(日伊ハーフ)に少し似ている(笑)、上背があり体格がいいのでコックコートが似合うし、たぶんスーツ姿もピッタリだと思う、この日隣席の男女客と何故か映画「ゴッドファーザー」話で盛り上がったが、帽子を被って葉巻を銜えたら、あちらの世界でも通用しそうな雰囲気がある(笑)。
 「関西一のイタリアン」なのかどうかは、料理を評価する人次第だが、「関西一イタリア人的な料理人」ならトップ争い間違いないと思う(笑)。

 この夜は風が冷たく寒かったが、南イタリアの陽光と青い海を感じさせてくれる骨太な料理で、帰り道の寒さも忘れる楽しくて美味しい夜になりました。料理長とスタッフの皆さんありがとうございました。
 また関西でリピートしたい店が増えてしまった、これは困った事だ(笑)。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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