最後の晩餐にはまだ早い


かつ敏「リブロースかつ」

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 「一番好きな食べ物は何ですか?」
 こう訊かれたら、フランス料理でも寿司でもラーメンでもなく「とんかつ」と答えると思う、これには忘れ難い想い出があるからだ。

 私が小学校4年生の時、学校の授業で描いた絵(水彩)が全国の小学生が描いた絵のコンクールで優秀賞?に選ばれた事があった、本人が知らないうちに担任の先生が出品してくれたものだが、賞状を貰ったのは後にも先にもこの時だけなので、一生に一度の「まぐれ当たり」だった(笑)。その表彰式が日本橋の三越で開かれ母と二人で出席する事になった、その日神田に勤めていた父が昼を一緒に食べようという話になり、行ったのが三越の道路を挟んで向かい側にある「かつ吉」だった、この店はそれから40年以上経った現在も同じ場所にあるが、その時に食べたロースカツの味はまさに「天上の美味」だった、それまで「とんかつ」と言えば家の近くの肉屋で売っている紙みたいに薄く固い物しか知らなかった、それが肉厚で肉汁が溢れ繊細に切ったキャベツと共に、「世の中にこんな美味しい物があるの」と子供心にいたく感激した、今思うとあまり勉強は出来なかった私が表彰された事が父母共嬉しかったのだろう、そのご褒美だったと思う。
 その父も母も既に彼岸へ旅立ったが、いまでも美味しい「とんかつ」を食べると、あの時の親子三人の光景が甦える時がある。

 「あの店は美味しい」と言われるとんかつ店は何軒も訪れたが、東京の名店と呼ばれる店は値段が高過ぎると思う、有名な上野の「とんかつ御三家」にしても何処も一人前3,000円前後だ、今はとんかつ一食に3,000円払うなら、ちゃんとしたフランス料理やイタリア料理店でデザート付きのランチを食べたいと思ってしまう、そして人気のとんかつ店では行列が出来ていたりするから、食べていても落ち着かない。
 支払いが1,000円台でそれなりの満足感があり、カウンターではなくテーブル席でゆっくり食事が出来る店として、最近よく利用しているのが、家から自転車で行ける場所にあるチェーン店の「かつ敏」だ、ここは傘下に回転寿司やラーメン店を持つRDCグループが経営している、1987年に埼玉県寄居に回転寿司をオープン、1999年にとんかつ店業種へ参入、現在は北関東を中心に数店で営業を続けている。
 飲食は個人オーナー店が好きな私だが、ゆったり出来る店の広さがあり、サービスもそれなりに良く、出てくる料理も味が均質化し安心して食べる事が出来るチェーン店の長所は認めざるを得ない、更には無休で営業時間も不変なのもありがたい事だ。
 
 利用する時は平日の昼、それも昼前に行けば空いているしゆっくり時間が過ごせる、この店での注文は、大抵は昼数量限定の「リブロースかつ定食」(1,029円)だ、「リブロース」は本来牛肉だけの名称で最も厚さがあるロース部分を指すが、最近は豚肉もこの呼び名を使う業者がある、肩ロースと通常のロース肉との中間部分になるらしい、ロースカツと比べると少し固めだが、噛んだ肉の旨さはこちらの方があると思う。

 さすがに最近は年齢のせいか以前ほど食べる機会は減ったが、それでも私にとって「とんかつ」は最高のご馳走である事に変わりない、そして或る日突然食べたくなるものだ(笑)。


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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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