最後の晩餐にはまだ早い


東麻布「ローブ」 (2017年5月)

 GW中の「友、遠方より来たる」シリーズ(笑)、今回も在関西の友人夫妻で、訪問店のリクエストもあり、それが昨年6月末に開業し、直後の7月初旬に訪れた東麻布のフランス料理「ローブ‘L'aube’」だった。
 此の店は夜営業が中心で、毎週金・土だけランチをやっているが、今年開店後初のGWなので、期間中ランチとそれに続くデセールタイムを営業、企画に便乗する事になった。私も冬場に行きたいと思いながらも季節が過ぎてしまい、ようやくこれで念願の再訪問が出来る。
 店に一番近い駅は都営大江戸線の赤羽橋だが、乗換えが不便なので麻布十番駅で待合せ歩いて行く事に、天気は快晴で絶好のフレンチ日和だ(笑)。
 店の入って居るビルは昼間見ても隠れ家的、2階店舗へ上がる階段が一種の「結界」になって、俗世界から非日常空間へトリップする印象。サービス担当の関氏に挨拶し、オープンキッチン近くの席に案内される、劇場なら舞台上手前のかぶりつき席になる(笑)。
 着席後に関氏より料理の、平瀬パティシェールからデセールの説明がある、GW期間中のランチは標準仕様の肉料理が山形豚、これを仔羊または仔牛にプラス料金で差替え可との事なので、私は輸入解禁されたばかりのシストロン産仔羊に決めた。
 続いてデセールだが、通常だとチーズムースと赤果実の一品だが、デセールタイム用のアシェットデセールなら差替えまたは追加可との事、暫し悩んでいたら、平瀬氏より「皆さん食べられるのなら、追加分を3種類分けてお出ししましょうか?」と素敵な提案があった(笑)、これに乗らない訳はなく、即答で「お願いします」と応えてしまった。これはデセールタイム用の準備があったからで、お願いすればやってもらえる訳ではないです(笑)、いかに優秀なパティシェでも材料が無ければ作れません。

MUNU HARMONIE
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・高知レモンのジュース

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・シラスのオムレツ

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・アーティショー、桜肉

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・緑アスパラガス、レモングラス

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・自家製ブリオッシュ2種

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・土佐ジローの卵、長谷川マッシュルーム

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・天草産鱸のヴァプール、鎌倉野菜、ソースヴェルデ

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・シストロン産仔羊、シュクリーヌレタス(+1,400円)

 今橋料理長による第一幕は、レモンジュースの鮮烈な酸味で始まる、「目を覚ませと呼ぶ声が聞こえる」感じだ(笑)。一口サイズだが、シラスオムレツ、アーティショー、桜肉のトリオはよく考えられて、味の印象を残す。続く野菜料理は農業従事経験ある今橋氏の得意分野、春の香りと色が印象深い。玉子料理はおでん種の「バクダン」みたいだが(笑)、シャンピニオンピュレとの相性抜群、これは発想の勝利だと思う。
 魚料理はこの日最も今橋氏のセンスを感じた皿、鱸に添えたソースヴェルデがフランスで味わう時みたいに、各素材が日本的に慣れ合わない香りと味で、「これは南仏」と感じた。
 16年振りと聞く国内での仏産仔羊は盤石の美味しさ、本心を言ってしまうともっと量が食べたかったが、この後のデセール展開を考えると、これで丁度良かった(笑)。

 第二幕は平瀬劇場、まずは圧巻の4品をご覧ください。
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・フロマージュ 赤い果実

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・黒オリーブ タイム(後でタイムのソルベを添える)

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・リュバーブ レティエ

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・花菜ローズ マンゴー

 細かい解説は「蛇を画きて足を添う」になりそうなので止めておく(笑)、味わえなくても見て感じてください、味やデザインで4皿のレベルが高い事は勿論だが、出来不出来の差が無い事にも感心する。去年のブログ総集編で「最も印象深かった一品」として、平瀬氏のデセールを挙げたが、その後超える皿に出会う事を期待しながらも、何処も及ばず相当差があった、日本で彼女を超えるのは彼女自身しか居ないのかも知れない。
 オープンキッチンなので作業が見えるが、この複雑な仕様の4皿をエスプーマや液体窒素みたいな、料理人なら使いがちな飛び道具を使わず(たぶん)、仕上げの殆どが手作業。そして窓からの自然光を受け、彼女がポシュ(絞り袋)を手にする姿は何とも格好いい(笑)、此処にフェルメールがいたら、「絞り袋を持つ女」のタイトルで傑作を描き、数億いや数十億の価値ある絵になるのに残念だと、実に俗な事を考えてしまった(笑)。

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・ショコラ4種(もちろん自家製)
・水出し珈琲

 今橋&平瀬両氏の料理とデセールは前店から通算して3回目だが、更に良い方向へ変化していると思う、そして此処で留まらず進化して行きそうな力量を感じさせる。これから東京で注目すべき一店だと思う。
 関西から柏市経由?で来た友人夫妻も充分満足されたみたいで、今橋料理長、平瀬パティシェール、関メートル、手厚い対応をありがとうございました(笑)。

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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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