最後の晩餐にはまだ早い


青井「松月」

 私の友人にも一人居るが、飲食店の二代目は本当に大変だなと思う。昭和40~50年代位なら、これからも日本は右肩上がりで成長し、人口も増加していくと皆思っていた。ところが今は超少子高齢化社会、特に若年労働人口の減少は深刻だ、この状況で店を引き継いでも、従来と同じ事をしていたら先細りするのは目に見えている。町中で蕎麦店、鰻店、とんかつ店、和菓子店等、個人経営の飲食店が後継者不在により閉店しているのは、仕方のない事だと思う。
 それでも何とかしようとする二代目が居る、今回紹介するのはそうした店の一つで、「松月(しょうげつ)」という名の蕎麦店、店の場所は足立区弘道で、交通はつくばエクスプレス「青井」駅か東武スカイツリーライン「五反野」駅になり、どちらからでも10分は歩く、五反野駅前から続く商店街が終わった処で、目の前には都立江北高校がある。
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 WEB情報では先代時代は出前もあるごく普通の街場の蕎麦屋だったが、二代目になって方針転換、自家製粉による手打蕎麦を提供する店に変えたとの事だ、亀有にある人気蕎麦店「吟八亭 やざ和」も同じケースだったと思う。
 自転車で店の前は通った事があり存在は知っていたが、店構えからかあまり入ろうと云う気にならず、今回WEB上でこの店の蕎麦を褒めている記事を見たので、興味を持ち行ってみる事に、我家からは自転車で行ける距離だ。
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 11時半の開店直後に店へ着いたら、店内から鯉口を着た若い男性が出て来た、この人が二代目みたいだ、鯉口とは昔から男性が着ていた和装用下着で、七分袖で入れ墨みたいな絵柄が描かれたものは、江戸の粋として愛用された、名前の謂れは袖口が鯉の口に似ているためで、私が子供の頃の東京下町では男性のスタンダードな仕事着だった。今では着る人を殆ど見なくなったが、大谷田「蕎」の主人も着ていたので、愛用している人は居る。
 店前には各種のメッセージ?を書いた紙や黒板が置かれている。

 店内に入りテーブル席に座って昼の献立を眺める。
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・「店主一押しメニュー」

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・「選べるデザートセット」

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・「本日のミニ丼セット」

 結構種類が豊富、あらかじめWEB上で調べていたので、初回なのもあり「店主一押しメニュー」から一番先に書いてある「鴨汁そば」(税込900円)をお願いする事にした。ミニサラダか白米or五穀米のライスがサービスされるので、炭水化物過剰摂取にならない様(笑)、サラダにしてもらった。店内は中年女性が一人で担当している。

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 店前にも色々な注釈があったが、店内の壁一面にも同様に「お品書き」や「注意書き」が所狭しに貼ってある、「大丈夫かな?」と心配にもなるが、この店主はたぶん言語で相手に意思を伝えるより文字にする方が得意なのだろう、私も同類なので理解は出来る(笑)。だいぶ前だが上野に意味の分からない貼り紙を書く飲食店主が居て、ネット上では「電波系」と揶揄されていたが(笑)、此処の店主が書いたものを読んでいたら、中身はとても真面目だった。

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 運ばれてきた鴨汁そば、第一印象は「量が多い」(笑)、大盛ではなく普通盛だが、他店なら大盛以上の量がある。その理由についても壁面に注釈があり、「(量が多いのは)家族経営のため、お待たせしてしまう場合があります、少しでも満足して頂きたい為、頑張っています」と書いている。

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 まずは蕎麦を一口、おそらく二八割だと思う、色は白っぽく加水多め?で少し柔らかいが、十分蕎麦の味がする、山盛りにするのではなくこうして横に並べるのは水切りが良くなるし、食べ易くていい。
 鴨汁は蕎麦つゆに合鴨切身と長葱を入れたものだが、辛過ぎず甘過ぎず味のバランス良好、蕎麦の風味が強くないので、これに浸ける事で相性が良くなる。薬味は山葵でなく柚子胡椒、これも鴨の脂分と合うと思った。

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 サービスで出た揚げ蕎麦、香ばしく美味でした。

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 最後は蕎麦湯で締め、濃いのでおそらく後から蕎麦粉を足していると思う。

 予想以上に美味しかった(笑)、これで900円は安いと思う、インテリアに凝った有名蕎麦店の風味の強い蕎麦とは違い、親しみ易く肩肘張らずに食べられる。
 考えてみればラーメン店の「つけ麺」が一杯800~900円、それと競合する訳だから、幅広い年齢層客を呼ぶには何をすべきかと、この若い店主は考えたと思う。
 別のメニューを食べにまた来てみたい、地元にも私の知らない良店はまだありそうだ(笑)。
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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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