最後の晩餐にはまだ早い


稲荷町「小山生菓子店」

 今回記事にする和菓子店は、上野稲荷町「キエチュード」を前回利用した時に見つけ、何とも昭和チックな店構えに惹かれた、その時は外観を見ただけだが、今回キエチュードでのランチ後に寄ってみる事にした。
 店の名前は「小山生菓子店」、場所は下谷神社とキエチュードがある道から1本浅草寄りで、この界隈は結構古い建物が残っている。WEB上での情報では、太平洋戦争時の空襲を奇跡的に免れた一帯だそうで、レトロな建築が好きな人には、昼間の散歩をお勧めしたい場所だ。

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 店名の「生菓子」だが、私が子供の頃は単に「菓子」と呼ぶ時は煎餅やあられ等の干菓子を差し、もち米や小豆餡を使う日持ちしない物は「生菓子」で、売っている店も違った、その名残だと思う。ちなみに生ケーキ等は「洋菓子店」、子供専用は「駄菓子屋」だった。
 店の開口部は西向きなので、日除けで日差しを避けている、今はエアコン万能の時代だが、昔は食べ物を扱う店はこうした工夫をしていた。
 入口に近いガラスケースの中には饅頭や団子が並び、上にはいなり寿司やのり巻きを入れたパックを置いている、和菓子店でいなり寿司や赤飯等を売るのは、東京和菓子店のスタンダード。
 ケースを見ていたら、店奥から女性が出てきた。WEB情報では「おばあさんが一人で店番している」とあったが、この方をそう呼ぶのは失礼、私と年代は変わらないと思う、せめて「おばさん」でしょう(笑)。
 この方に「初めて来ました、古い店ですね、写真撮っていいですか?」と訊いたら、女性は「昭和3年(1928年)から続いている、(撮っていいけど)私は撮らないでね」との応えだった(笑)。

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 雑然とした店内、奥が作業場でその前には歴史博物館にありそうなレジスター(笑)、その手前の空間はおそらく食堂として使ったのだろう、昔の和菓子屋ではかき氷やあんみつ等を食べるスペースがあった、すぐ近くの下谷神社参拝者の休み処になっていたと思う。

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 何処かから譲り受けたのだろうか?「稲荷町 与志乃家」と書かれた木箱が積んであった。店内はお世辞にも奇麗とは云えないので、潔癖な人にはお勧めしないが、私はこうした雰囲気は懐かしく惹かれてしまう(笑)。
 店前に自転車が置いてあったので、店主の住まいは別にあり、朝に主人が作りに来て、昼間は奥さん(たぶん)が店番しているのではないかと思う。

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 買い物をして店を出たら、道の向かいにある内科医院の建物に気付いた、此処も相当な時代ものだ、私が幼少時代を過ごした墨田区の向島界隈にも、こんな感じの町中医院があった。

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 この日買ったもの全部、総額で税込950円だから安いと思う、それぞれの紹介を。

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・いなり寿司(1個100円)
 「正調東京下町いなり」と云う印象、中身は詰め過ぎだったが、私の母親が作っていた物に似ている(笑)。照りとツヤを出すために油揚げをザラメで煮る店もあるが、これは普通の砂糖を使っていると思う。

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・のり巻き(1本90円)
 下町伝統の具はかんぴょう煮で細巻きタイプ、釣りが「鮒で始まり、鮒で終わる」なら、のり巻きは「かんぴょうで始まり、かんぴょうで終わる」、私も年齢を重ねてこの美味しさが身に染みる(笑)、酢飯は伝統の甘口。

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・生姜
 この生姜の甘酢漬けが、また泣ける(笑)。

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・みたらし団子(1本120円)
 昼間買って夜に食べたのだが、団子部分は硬くなり始め翌朝には結構硬くなっていた、これは昔ながらの搗いた餅を使っている筈。最近は団子でも大福でも、餅粉を練って片栗粉やトレハロースを加え、長時間硬くならない様にしている物が多いが、硬くなる団子は本物感がある(笑)。

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・漉し餡団子(1本120円)
 東京伝統の漉し餡が美味しい、この餡だけ舐めていたい位(笑)、最近若い人達に小豆餡が好まれないとも聞くが、嫌う前にこうした本物を味わって欲しいと思う。

 東京下町育ちの私には、泣きたい位に懐かしい店構えと味、もっと早く来るべきだった(笑)、昼のみの営業だがキエチュードや下谷神社に来る時には寄ってみて下さい、昭和に戻れる店です(笑)。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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