最後の晩餐にはまだ早い


御茶ノ水「ビストロ・ヌー」(2017年6月) 

 今年1月以来の御茶ノ水(末広町)「ビストロ・ヌー」、「近いうちに、また来ます」と云いながらもう5ヶ月経っていた、行きたい店を回るには東京は店の数が多過ぎる、財布の中身も体力も追い付かない(笑)。
 先日開店6周年を迎えたビストロ・ヌー、3月までサービス担当だった女性が退店、替わって磯貝料理長の奥様が店を手伝う事になった。前任者はバレリーナみたいな容姿だったが奥さんも細い、磯貝氏も痩せているので、皆フランス料理など食べていないのでは?と疑ってしまうが(笑)、太らない体質の人は居るみたいだ、生まれ変わったらそうなりたいものだ。

     170618-1.jpg
 11時半の開店直後に入店、カウンター奥の席に座らせてもらい、黒板メニューを眺める。

        170618-2.jpg
・この日の‘Menu du jour’
 アントレ(前菜)+プラ(メイン)のみだと1,250円だが、この他に「おまかせランチコース」が2種あるので、メイン1皿の方でお願いし、選べる料理は「豚バラとキャベツの煮込み」、デセールは「本日のデザート(ホワイトチョコレートのタルト)」に決めた。

        170618-3.jpg
・グラス提供可能なワイン、選んだのはボルドー白の「デュック・ド・サン・マルタン」

     170618-4.jpg
・自家製カンパーニュ系パン、以前より美味しくなったと思う。

     170618-5.jpg
・レンズ豆のポタージュ(温製)

     170618-6.jpg
・サーモンとアボガドのタルタル

        170618-7.jpg
・鮎のコンフィ、内臓を使ったソース、アスペルジュソバージュ

        170618-8.jpg
・豚バラとキャベツの煮込み(シュークルート)

     170618-9.jpg
・ホワイトチョコレートのタルト、バニラアイス

 店内は何時の間にか満席に、前月に東京メトロの人気フリーペーパー「メトロミニッツ」で紹介されたのも影響ありか。ビジネス街のランチは1時までに帰らないといけないので大変だ、磯貝氏はパリの繁盛ビストロで、夜卓3回転と云う修羅場?も経験しているので、忙しくても動じない、あるいは動じない様にしている、テンパっていないのは立派(笑)。
 サーモン&アボガドのタルタルは高級店でも通用するアントレ、フレンチでは難しい鮎の扱いもいい、シュークルートはアルザス的コテコテな仕上がりと違い、磯貝風解釈でソーセージもジャガイモも使わず軽く仕上げている、殆どの日本人はこちらの方が美味しいと思う筈だ、デセールも良かった。
 
 現れては消える店の多い中で、よく6年続いたなと思う。料理には光るものがあったが、秋葉原の外れと云う特殊な立地と、喫茶店みたいな外観や内装は失礼ながらあまり高級感がないので、フランス料理に「ハレ」の場を期待しやすい日本人に、受け入れてもらえるかな?とも思っていた。
 日本もリーマンショックや東日本大震災を経て変わった、特に富裕層ではない平均的サラリーマンの意識が、消費より貯蓄、贅沢さより実質を求めるようになったと感じている、そうした潮流に此の店は合致したのではと思う。
 「コティディアン」「キエチュード」「ヌー」とランチタイムに利用し、何処も繁盛しているのを見て、やはり日本人が好む味はあると思った。先日NHK-BSでフランスとイタリアで活躍する日本人料理人の特集を観たが、彼等と3店の料理人は大体同世代で、フランスで働いている、欧州に残った彼等と日本に帰って来た3人、ガラパゴス島における陸イグアナと海イグアナみたいに「進化の枝分かれ」をしたと思う(笑)。日本でフランス料理をやるなら、日本人の好みに合わせないと続かず、環境に上手く対応する柔軟さがないと生き残れない。

     170618-10.jpg
 私がこの店を初めて訪れたのは2013年、それから料理の基本線は変わっていないが、細部のクオリティは上がって来ていると感じる。この間に磯貝氏は結婚し子供が生まれ、そして今は奥様と二人で店を営業している、こうした環境の変化は料理人として良い方向へ向かっているのかな?と想像した。店内は昼夜完全禁煙になり、煙が一切NGな人でも、問題なく利用出来る店になった。
 「作家は処女作に向かって成熟しながら永遠に回帰する」は、文芸評論家亀井勝一郎の言葉だが、これ料理人にも当てはまる気がする。「有名になりたい」みたいな厭らしさを感じさせない、今の清新で作為のない料理でこれからも居て欲しいと、店の一ファンとして願ってしまう(笑)。
 私の「第二の故郷」(笑)秋葉原エリアに、良質で財布に優しいこの店がある事は嬉しい、人や店は代替わりしても、東京で一番刺激をもらえる街だから(笑)。


スポンサーサイト

  1. [ edit ]
  2. フランス料理
  3. / trackback:0
  4. / comment:0


 管理者にだけ表示を許可する
 


プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

訪問者

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

« 2017 06  »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -