最後の晩餐にはまだ早い


六本木「ル・スプートニク」(2017年7月)

 東京は店の数が多過ぎて「また来よう」と思いながら、何時の間にか一年以上過ぎていたと云う事もありがちだ、今は時間があるので「忙しくて行けない」と云う事はないが、肝心の活動費が不足している(笑)。それでもランチタイムを中心に細々と動いているので、「あいつ来ないな」と思っている店の人も、もう少しお待ちください(笑)。
 そうした訳で今回は六本木の「ル・スプートニク」、此処も去年9月以来になってしまった。2015年7月に開業したので今月2周年を迎える、次の記事にする店も同じだが、店が安定するにはやはり2年位かかると思う、新規オープン直後は話題にはなるが、過去の経験でも料理やサービスに疑問を感じる事がありがちだ。一店だけ開店直後に行って「此処は凄い」と感心した店があるが、この話は本題から外れるので今回は触れないでおく。

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 梅雨明け前ながら真夏を思わせる日差しの中を12時過ぎに店に到着、去年まで無かった「庇」がエントランスに出来ていた(笑)。 ドアを開けると田村支配人ともう一人のサービス担当女性が迎えてくれる、都内のこのクラスのフランス料理店で女性二人だけのサービス体制は珍しいが、他店とは違う柔らかさも感じた、日本では高級旅館や料亭で女性がサービスに就いてきた伝統があるので不自然さはなく、かえって店の個性になっていいのではないかと思う。
 奥の丸テーブルに座らせてもらう、壁の絵が前回と変わっている、テーブルクロス省略は開店以来変わらず、これは個人的に賛成したい。
 友人とシャンパーニュで乾杯し、始まった夏のデジュネ、まずは料理から、

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・溶岩石の上に一週間熟成の甘鯛、チェンマイレッド(香草)、青林檎

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・ピュアホワイト、雲丹を包んだアオサ海苔

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・花ズッキーニ、毛蟹のファルシ、パプリカのムース

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・鮎のソテー、肝とキュウリとメロンのソース、ミニクレソン

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・新玉ねぎとアカイカ(食べている途中の画像、実際はもっと綺麗です)

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・日向夏のスフレ、フォワグラ、シェーブル、液体窒素フロマージュ・ブラン

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・岩手産真牡蠣のムニエルとハーブ、ラヴィゴット

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・マナガツオのポワレ、モンサンミッシェル産ムールとジロール、サフランカレーソース

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・紀州鴨のロティ、自家製セミドライピオーネとロックフォール、35年物ローズマリー

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・黒い森(ル・スプートニク風フォレ・ノワール)

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・ミニャルディーズ(焙じ茶のブランマンジェ、抹茶と和三盆のシューアラクレーム)
・エスプレッソ

 香草とリンゴを挟んだ旨味を凝縮した甘鯛で目が覚める(笑)、次は牡蠣の天ぷら?と間違えそうな、磯の香りが伝わるフリット。ズッキーニ花のファルシは南仏料理がオリジンだと思ったが、皿上にそそり立つ姿は高橋料理(笑)、味の組み合わせもいい。
 鮎料理は攻めて来た印象、香りが似ているキュウリとメロンとの相性は外れていない。新玉ねぎで一息つけて、次の日向夏&フォアグラはこの日一番印象に残った料理、パティシェ経験ある高橋氏ならではのデセールみたいな一皿だが、発想と味のバランスが見事だ。
 次の牡蠣ムニエルは香草の使い方が大胆、マナガツオは秋山徳蔵氏がよく使った魚と聞くが、上質で繊細な肉質を生かす調理と、淡いカレー風味のソースがいい、高橋氏は割としっかり魚に火を通す料理人だと思う。
 肉料理は紀州鴨、血抜きしない「エトフェ」と聞く、国内でも京都や大阪、北海道等で良質な鴨飼育が行われているが、特に今は欧州からの輸入が途絶えているので、需要はこれから増えると思う。この和歌山の鴨も旨味の強い肉質、低温長時間調理ではなく炭を使った火入れみたいだが、食べ応えも余韻もある、舌の記憶に残る料理だった。
 デセールの「黒い森」は、ドイツのシュヴァルツヴァルトをイメージした、チョコレートとサクランボの菓子が原型、そのル・スプートニク的解釈になっている、木立のイメージは少しやり過ぎの感もあるが(笑)、上質なショコラを土台に、液体窒素を使って温度差を強調、デセールには定評ある高橋氏なので味は抜群だった。
 ランチで品数が少なかったのもあるが、料理間の繋がりが良く、全体に何を食べさせたいのかが明確で、物語性を感じる事が出来た。

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 高橋料理長は見かけジャニーズ系の優男だが、根は九州男児、熱い職人気質があると感じている、前回訪問時の最後に「(私は)未熟者です」と云ったのが忘れられないが、今回は「もっと精進します」との言葉があった、彼の世代からこうした文句が聞けるのが意外だが、本当に料理が好きで毎日厨房に立つ事に喜びを感じる人なのだと思う、私は彼の年齢時には、これ程真剣に仕事に取り組んでいなかったと、今頃反省してしまう(笑)。
 平日の昼だが6卓中の半分が外国人客と思われる英語使用席、田村支配人とサービス担当女性が流暢な英語で対応していたが、増加するインバウンド客に対して、これからレストランでも英語が必須になると思う。
 暑かった一日だが、満ち足りた午後になった、高橋料理長、田村支配人お気遣いありがとうございました(笑)。
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  2. フランス料理
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  4. / comment:2

  1. [ 編集 ]
  2. 2017/08/01(火) 00:04:53 |
  3. URL |
  4. Aoyama
素晴らしいお料理の数々ですね。
行ってみたいと思いました。

Re: おすすめです。

  1. [ 編集 ]
  2. 2017/08/01(火) 07:04:39 |
  3. URL |
  4. オンクレ・トシ
コメントありがとうございます。
今東京でもお勧めのフランス料理です、開店2年経って料理も安定して来たと思います。
最近はフレンチでもモダンスペインや北欧系が混じった料理が増えていますが、
この店は間違いなくフランスがオリジンの料理です。
まずはお得なランチからでも行かれてみてください。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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