最後の晩餐にはまだ早い


綾瀬「手打ち蕎麦重吉」(2017年7月)

 私の母親は信州長野の生れだが、名産とされる蕎麦はあまり食べなかった。母から聞いた話では、昔から蕎麦は山間地で農作物が少ない地域の食べ物で、他の県内では米や小麦加工品を食べるのが一般的だったそうだ。昭和のグルメブームで蕎麦が人気になり、今では長野でも蕎麦は高級作物扱いされているが、収穫量としては北海道や茨城県に比べたら少ない。反対に父親は東京下町育ちなので蕎麦好きだった、特に「名店巡り」みたいな事はしていなかったが、地元の蕎麦屋から出前を取る事が多かった。
 食べ物の好みは、その人が生育した場所や環境、親の嗜好等で決まるものなのだろう、私自身は東京圏に生まれ、幼い頃からの東京育ちなので蕎麦好きだ、勿論饂飩も食べるが、「どちらが好きか?」と訊かれたら、やはり蕎麦と答える。

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 私と同じ蕎麦好きの身内から、「綾瀬の重吉に行きたい」との話が出て付き合う事になった、「重吉」はこのブログでも取り上げているが、綾瀬が自慢出来る蕎麦の名店、ミュージシャン出身の店主が昼夜打つ蕎麦は本格派だ。
夫婦二人で始めた小さな店だが、蕎麦好きに知られて来て、最近土日は席待ち客が店外に並んで居るのを見る、真面目にやっている店が認められるのは嬉しいが、反面あまり有名になり過ぎないで欲しいなと、勝手な思いも持ってしまう(笑)。
 久しぶりの木扉を開いて、電動石臼がある側の椅子席に座る、まずは何を食べるかだが、品書きは、

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・冷たい蕎麦(「休止中」は田舎せいろだと思う)

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・温かい蕎麦

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・セット物(平日昼限定)
 やはり蕎麦だけでは寂しいかなと、「天丼セット」(税込1,200円)をお願いしてしまった(笑)、この店はご飯ものも美味しい。

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 開店時間の11時過ぎに入店したが既に2組先客が居て、この後も次々と来店し満席になった。客層は電車に乗って来たと云う感じではなく、おそらく地元周辺の人達だろうが、フリで入ったのではなく、この店を目当てに来た客だと思う。
 店内の配膳を担当するのが小柄な奥様、暖簾でよく見えないが、厨房には店主ともう一人居る様子で、息子さんが手伝っていると聞いた。

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 待つ事暫し、まず運ばれて来たのが蕎麦つゆと薬味、この店は高価な物ではないが、なかなかセンスのいい器を使っている。

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 先に天丼が来た、勿論待って居られず先に食べ始める(笑)。海老2本と茄子としし唐、江戸前の胡麻油を多く使い揚げた天ぷらとは違い、軽めの仕上がりで美味しい、ご飯の質もいい。以前に同じ天丼を食べた事あるが、仕上がりは良くなっている気がした、厨房が2人になり分業で余裕が出来たのかも知れないと思った。

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 そしてお待ちかねの「せいろ」、店奥に蕎麦産地を知らせる紙が貼ってあるが、この日は常陸(茨城)との事、東京の蕎麦店で使用する蕎麦は茨城産が多い。
 細く固さのある江戸前蕎麦、伝統の「二八」だと思う、喉越しは申し分ない。新蕎麦が出回る前の夏場は、国内産を使う手打蕎麦店には厳しい季節だったが、今は冷蔵技術が進んで、一年中味は安定していると思う。
 此の店は蕎麦つゆもいい、辛口で後に残る嫌な甘さがなくそれでいて辛過ぎない、「キレがいい」とは、こうした蕎麦つゆを指すと思う。

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 最後は蕎麦湯で締める、単なる茹で汁ではなく、後で蕎麦粉を加えるポタージュみたいな蕎麦湯、つゆを割ってもお互いに上質なので最後まで美味しく飲める。
 久し振りの「重吉」だったが美味でした、最近自転車で行ける範囲の蕎麦店を回ろうと未訪問店も訪れているが、やはりこの店は頭一つ抜けていると思った。蕎麦だけでなくご飯物も美味しいのが、非酒飲みの私には嬉しい(笑)。

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 すっかり気分が良くなり、甘味が欲しくなって入ってしまったのが、近くのスーパー内にあった「サーティワンアイスクリーム」(笑)、過去十年以上は利用していなかった、迷った末に選んだフレーバーはチョコレート(カップで税込350円)で、これが意外と云っては失礼だが美味しかった、甘いだけでなくビターな風味も感じさせる。
 コンビニが台頭し、何処も競争相手が多い中で何とか生き残ろうと、商品改良に努めているのだなと、妙に納得した(笑)。
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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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